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食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第十一章 The・Hero
533/800

533食目 アラン四天王との戦い

 アラン四天王との戦いは始まった。こちらは数で勝るが、ここは連中の本拠地であり、増援が来ることが予想される。よって早期決着が望ましい。


「ムセル!【フルバースト】!」


『レディ』


『輝夜!【M・フィールド発生装置】起動!』


『っ!』


 纏めて吹き飛ばしてやんよぉ!


 俺はラスト・リベンジャーの全兵装を一斉発射、早期決着を試みる。決まれば再生だのなんだのと細かいことなど関係なしに連中は消し飛ぶことだろう。

 超火力の破壊光線と小型ミサイルがアラン四天王を蹂躙せんと襲い掛かった。


「やらせないよぉ!? 鬼仙術〈廃水口〉!」


 水色のツインテールをなびかせ、水の四天王イナオツが前方に踏み込んだ。

 彼女が作り出したのは巨大な水の膜、それが回転し大渦となる。それはラスト・リベンジャーが放った攻撃を全て飲み込んで消えてしまったではないか。


「ふきゅん!? なんだとぉ!?」


 この現象に、流石の俺も「ふきゅん」と鳴かざるを得ない。俺の目論見はイナオツの活躍により、残念ながら失敗に終わってしまったのである。ちくせう。


「えへへ~私の鬼力の特性は【飲】。全てを飲み込み……そして吐きだす。おえっ」


 イナオツが大きく口を開ける、とそこから先ほど俺が叩き込んだラスト・リベンジャーの砲撃が飛び出してきたではないか! なんだこいつはっ!? いいかげんにしろっ!


「おなじ所にいるかよっ!」


 俺は慌ててスラスターを吹かして横っ飛びに近い形で回避する。少しでも判断が遅れていたならば、全滅していたのは俺たちの方だった。


「動かないでよ~!」


 冗談ではない、攻撃を飲み込んでカウンターのごとく反撃してくるのは厄介極まる。伊達に四天王を名乗っているわけではない、ということか。


『エルティナ! 迂闊に【フルバースト】は使うな!』


「分かってる!【タンクモード】じゃ、小回りが利かない! 皆、飛び降りろ~!」


「「「「ぎゃ~!?」」」」


 俺は強制的に皆をラスト・リベンジャーから降ろし【コンバットモード】へと移行する。追加装甲が瞬時に変形し、ラスト・リベンジャーは人型へと変形を完了させた。


「見せてやる、ラスト・リベンジャーの真の能力を!」


「ひっひっひ、そんなガラクタに何ができる?」


 狙いは最も面倒臭いとされる土のスカレッチオだ。間違いなく、こいつが四天王の司令塔。頭を潰してしまえば、あとの連中は組しやすいはず。


「ザインは水の変態を! リックとウルジェは風の痴女を! ブランナは火のアフロを押さえてくれ! こいつは俺がやる!」


 仲間たちの実力を疑うわけではないが、俺がどれだけ早くスカレッチオを退治できるかで被害は変わるはずだ。


 何故なら……きたっ!


「初代セイヴァー様、迎撃をっ! ケイオックは彼を魔法で支援!」


 うねりを上げて赤黒い大蛇が決闘場へ侵入してきた。今回は一匹だが最大三匹まで襲いかかってくるはず。こいつに対処できるのは【ザ・セイヴァー】を持つ初代セイヴァー様だけだ。

 赤黒い大蛇の出現位置が悪ければ最悪死者も出かねない。これは厄介だぞ。


「桃先輩、ムセル、輝夜! いくぞっ! GO、ラスト・リベンジャー!」


 大型ランドセルの八基ある大型ブースターが咆哮を上げる。殺人的加速が生まれ、その勢いのまま俺はスカレッチオに突撃した。


「こい! 小娘っ!」


 スカレッチオは体のあらゆる個所を刃に変え飛ばしてきた。俺はそれをヘビィマシンガンで撃ち落とす。

 土の刃はかなりの速度だが、今まで魔導装甲兵と戦ってきた経験がそれを撃ち落とすことを可能にしていた。


「その程度でっ!」


 自分の攻撃が防がれてしまったことを即座に認識したスカレッチオは攻撃を中止、回避に専念する。


「ちっ! 口だけではないということかっ!」


 プルルの陰に隠れがちだが、GDの扱いは俺だってなかなかのものなのだ。それに、俺には超絶優秀なサポートが三人もいる。それに加え……。


「ひゃんひゃん!」


「うっきー!」


「ちゅん!」


 超大型ランドセルに設置された雪希、炎楽、うずめ専用の席、そこから自動的にぶっ放される反則レベルの特殊攻撃がスカレッチオを襲う。


 凍れる白い吐息、それを回避しても今度は灼熱の槍が飛んでくる。だが、それで安心してはいけない。

 ラスト・リベンジャーの得意なレンジはミドルレンジからロングレンジ、この位置であれば強力な兵装が撃ち放題なのだ。


「ええい! この火力お化けめっ!」


「やかましい! 軟体生物!」


 俺の攻撃を体を自由に変形させて回避するスカレッチオ。だが、ヤツは俺の攻撃をかわすので精一杯のようだ。

 なんせ、命中すれば問答無用で木っ端微塵になる攻撃ばかりだからだ。この戦い、一見すれば派手なこと極まりない。しかし、その実態は一撃決着というものだ。


 スカレッチオは自在に身体を変化できる。つまり、ラスト・リベンジャーの僅かな隙間を通して、俺に致命傷を与えることが可能なのだ。

 それゆえに、俺は立ち止まることは許されないし、攻撃に当たるわけにもいかない。


「ふきゅん! いい加減に当たれ!」


「冗談ではない!」


 と、ここでスカレッチオが足をもつれさせた。きたっ、最大のチャンス到来だ!


った!」


「ちぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」


 間髪入れずメガモモキャノンをバランスを崩したスカレッチオに叩き込む。当たれば決着だ!


「させないわよ! しっかりなさいスカレッチオ! アラン四天王の名が泣くわよ!」


 その時、風が動いた。後一歩というところで風のバリバリーナが長い髪を使用してスカレッチオを持ち上げてメガモモキャノンの命中を妨げてしまったのだ。


「助かった! これでも、くらえいっ!」


 バリバリーナの長い髪に持ち上げられたまま、スカレッチオが無数の土の刃を飛ばしてきた。俺は回避を試みるもラスト・リベンジャーが付いてきてくれない。これは攻撃による硬直現象だ。


 ぬかった! メガモモキャノンの一瞬の硬直を狙われた! 回避っ……当たる!?


「させねぇよ! 回れ、ドリルランス!」


 リックが俺の前に躍り出て、新兵器【ドリルランス】の穂先を高速回転させ土の刃を粉砕せしめた。なんと、彼は高速で飛来する大量の土の刃を槍一本で防いでみせたのである。


 恐るべきは彼の成長速度だ。もう俺の知るリックは一秒後にはいないのでは、と錯覚させるには十分であった。


「余計なマネを! バリバリーナ、あれをやるぞ!」


「あら、珍しい。人の手を借りるのは嫌なんじゃなかったの?」


「アランの敵なら、手段は択ばんよ」


 スカレッチオはそう言うと自身の肉体を粉々に砕いてしまったではないか。


「自爆っ!?」


『いや、あれを見ろ! 風のバリバリーナにスカレッチオの肉体が纏わり付いてゆく!』


 桃先輩の言うとおり、全裸だった風のバリバリーナがスカレッチオという鎧を身に着けていたのである。まさか、彼女が全裸だったのは、これが理由かっ!


「鬼仙術〈風土合身〉バリレッチオ! さぁ、ここからが本番よ!」


「ふきゅん、合体だとぉ!?」


「受けなさい、鬼戦技〈乱れ斬土〉」


 二人の合体によって、ただでさえ高い陰の力が更に強くなった。そして、その攻撃も苛烈になっている。彼女の長い髪の先端には土の鋭い刃が装着されており鋭さが増しており、その切れ味は軽く掠っただけでラスト・リベンジャーの装甲を削いでしまうほどだ。


「リック! 当たるんじゃねぇぞ!?」


「分かってる! でも、こうも数が多いんじゃ攻撃ができねぇよ!」


 そう、とにかく手数が多い。それもそのはず、髪の毛の数だけ攻撃できるのだから。こちらとしては堪ったものではない。


「それなら纏めてしまえばいいのですわ! このように!」


 苦戦している俺たちの下にブランナが乱入してきた。そして、彼女は体を霧に変化させバリレッチオの髪に纏わり付いて、彼女の髪を纏め上げてしまったではないか。どういう理屈かは分からないが、霧なのに物質に干渉できるようである。


 これなら反撃のチャンスが訪れる! なんだっていい、反撃だ!


「押さえ続けることができればな! 鬼仙術〈火遁暴〉!」


 火のビルガンテの指先から超高熱の光線が放たれブランナを焼き切った。堪らず肉体を元に戻す彼女。その右腕は無残にも消滅していたではないか。


「鬱陶しいですわ! 物凄く鬱陶しいですわっ! 貴方!」


 忌々し気にビルガンテを睨み付けるブランナは瞬く間に右腕を再生し終える。夜の吸血鬼の能力は鬼すら上回る超パワーなのだ。

 だが油断は禁物である。


「ブランナっ!」


「エル様っ!?」


 俺はラスト・リベンジャーの右肩に装備されているアンカークロ―をブランナに射出。彼女を捕らえ、すぐさま引き寄せる。


「シャァァァァァァァァァァァァッ!」


 間髪入れずに彼女がいた場所を赤黒い大蛇が通り過ぎていった。あと少し行動が遅ければブランナは全てを喰らう者もどきに食い殺されていただろう。

 いくら吸血鬼といえども、吸血鬼の【再生能力】ごと食ってしまう赤黒い大蛇にやられてしまえば滅びは免れない。


「あ、ありがとうございます! エル様!」


「ブランナ、油断するな!」


「はいっ!」


 赤黒い大蛇は既に二匹に増えている。いくら初代セイヴァー様が退治できるとはいえ、次から次から湧いて出てきてしまっては、じり貧になる一方だ。なんとかしなくては。


「攻撃を一点に集中させるか? いやそれじゃあ……」


「エル様! 攻撃が来ます!」


「っ!?」


 ビルガンテの熱光線が迫る、俺は無意識的にそれを回避。難を逃れる。


『エルティナっ! 今おまえは何をしたっ!?』


 驚愕の声を出す桃先輩。俺はただ単に回避しただけである。そんなに驚かれるようなことをした【覚え】はない。


「え? 普通に回避しただけだけど?」


『そんなわけがあるか! ビルガンテの熱光線はおまえの心臓部分を貫通していたんだぞ!』


「マジか!?」


『マジだ!』


 桃先輩の衝撃の告白に、俺は恐る恐る左胸を見る。そこには傷一つ無いラスト・リベンジャーの装甲があるだけだった。見間違いじゃないのかな?


「な、なんだそれはっ! 俺の〈火遁暴〉が命中しただろうが!」


「見間違い」


「えっ?」


「見間違いだと言っているアフロぉ!」


 油断大敵、ピンチの後のチャンス。俺はキョトンとしているビルガンテにヘビィマシンガンを叩き込む。


「はい、残念でした! イナオツちゃんですよ~!」


「お呼びじゃねぇ!」


 またしても、水のイナオツに攻撃を飲まれカウンターで弾丸を返却される。初めはただの変態だと思っていたが、蓋を開ければとんでもない変態だった!


「あははははは! 迂闊だね!」


 バリレッチオが自由になった超危険な髪をこちらに向けてきた! 回避するには多過ぎる!


「奥義!【雷光散滅】!」


 真横から無数の轟雷が放たれ、バリレッチオの長い髪を焼き尽くす。堪らず後ろに下がるバリレッチオとイナオツ。


「御屋形様はやらせぬ!」


「ちっ! 私の髪を……! 覚悟はできているんでしょうね!?」


 すぐさま髪を再生させるバリレッチオ。どうやら何度でも髪は再生できるようだ。

 だが、ここで俺は違和感を感じ取る。


 何故、ザインの一撃はバリレッチオの髪を焼き尽くせたんだ? すぐ隣にはイナオツがいたというのに。


 そして、俺は一つの賭けに打って出る。超強力なチームワークを誇るアラン四天王の牙城を崩すために。

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