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食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第九章 神級食材を求めて
452/800

452食目 二人だけのダンス

 リルフちゃんが生まれてから暫しの時が過ぎた。季節は秋から冬に移り行こうとしている。俺たちにとっては夏の情熱的な賑わいが失われ、少しばかりセンチメンタルな気分に浸るところであるが、一部の子供たちと水の上位精霊であるルリティティスさん、その娘である雪希とリルフちゃんは過ごしやすくなったと喜んでいる。


 季節が移り替わろうとも、俺たちのやることは変わり映えがするようなものではなかった。相も変わらず、プルルのために神級食材を求めてあちこちを駆けずり回り、そのおこぼれに預かっていたのだ。

 数々の冒険をこなしてゆき、そのお陰で今ではベテランの冒険者達から『ベテラン冒険者』と呼ばれるようになっていた。


 また、この頃から俺は桃師匠に剣術を習うようになっていた。とはいえ、簡単な型の構えと素振りを繰り返す毎日である。


 この修行は基本的に桃師匠と二人きりでおこなっているので、精神がゴリゴリ削れてゆく。そこで俺はチゲを巻き込み少しでも削れゆく精神の保護をおこなうという小賢しい手に出た。

 そして、あっという間に俺を追い越してしまったチゲによって、俺の精神は致命的な損傷を被ることになってしまったのだ。がっでむ。


 この修行に興味を持ったのか、炎楽も木の枝を手に取って俺たちのマネをしている。楽しそうに木の枝を振っているだけであるが、なかなかどうして素振りが俺より早い。

 俺は赤ちゃんにすら劣るというのか、ふぁっきゅん。


 毎朝恒例のランニングであるが、これにも新顔としてフェンリルの幼体である雪希が参加するようになった。


 これがまた走る速度が速い上にとんでもない体力を誇っていたのだ。

 その可愛らしい容姿からは想像がつかないほどの身体能力に、なめてかかっていた俺とメルシェ委員長は地獄の宴を満喫することになった。

 これではおヒップが調子に乗って成長を再開させてしまう。


 ちなみにメルシェ委員長は既に手遅れなので放置しておくことにした。

 おぉ、でかいでかい。


 そして、プルルの容体であるが……こちらも順調である。着々と神の肉体へと作り替わっているようで、最近の彼女はなんだか神々しく見えてきた。これが女神か。


 このままの調子で事が進むのであれば、プルルはきっと助かることだろう。そのためにも、俺たちはもっと神級食材を集めて料理のレパートリーを増やさねばならない。

 それは彼女のみならず、俺たちにとっても有益なことであるからだ。



◆◆◆



 季節は巡って春。今日は俺の誕生日だ。

 去年の誕生日はそれはもう酷いものだった。鬼は現れるは、シグルドの野郎がリベンジしてくるわで、楽しめる要素が一切なかったのである。


 その後も赤ちゃんになってミルクしか飲めない日々を送り散々な目に遭った。今度こそは無事に誕生日を終えたいところである。


 しかし、残念ながら……今年の誕生日も混沌が鎌首をもたげ、すり寄ってきていることが判明した。ラングステンの聖女たるこの俺には、もう平穏な誕生日というものは存在しないらしい。

 去年、挨拶に来た連中がまたしても挨拶にくるらしいのだ。


「はい! 姿勢が崩れておりますわよ!?」


「おごごごご……刻が見える」


 一週間前から、みっちりとザマスさんから指導を受けて、超豪華なドレスを身に纏った俺は聖女というよりはお姫様に近い。

 なんでいつもの聖女の服じゃないんですかねぇ?


 とはいえ、言葉使いこそ直りはしないが、礼儀作法だけはきっちりとマスターした俺を見て、ザマスさんは一応の合格点を与えてくれた。

 彼女いわく、去年よりは言葉使いもマシになってきているそうだ。俺にはその違いが分からない。


「少し気が張っておりますわね。やることは去年と変わりません、エルティナ様であれば大丈夫です」


「そうだと、いいんだけど……ね」


「エドワード殿下もサポートしてくれますわ」


 それが一番の問題だ、ということに気が付いていないのだろうか? 今年も一波乱ありそうである。


 今年も参加者の名簿にはクウヤ、ムー王子、リマス王子……いや、リマス王の名が連ねられていた。だが、ドロバンス帝国の皇子であるラペッタの名が無かった。体調でも崩したのだろうか?


「さぁ、本番でございますわ。いってらっしゃいまし」


「うん、いってきます」


 俺の護衛も務める少し豪華な侍女の姿をした女性騎士達に誘導され、俺は会場へと赴いた。







 豪華絢爛な料理たちがテーブルの上に並び、それらを容赦なく貪っているのはおバカにゃんここと、ライオット少年だ。去年も同じ光景を見た気がしないでもない。

 そして、こっそり料理をタッパに入れて〈フリースペース〉に入れているのは元上級貴族のシーマだ。その圧倒的な庶民の行動に涙を禁じ得ない。


「今日はまた一段と綺麗なお召し物を身に纏われておりますね」


「あぁ、聖女の服がマシだと思えるほどには恥ずかしい」



 俺の返事にミレニア様が苦笑いをした。いくら俺が女物の服に慣れているとはいえ、純白のドレスに黄金のティアラとかどんな拷問だよ、と心の中でふきゅんふきゅんと文句を言う。

 このドレスを選んだのは他ならぬ王様だ。だが断るわけにもいかなかった。あまりにも彼の顔が真剣だったから。


「そのドレスはウォルガングが自分の娘のために用意した物だそうです」


「え? でも王様は息子しかいないって……」


「えぇ、公式ではそうなっておりますね。彼の娘は生まれてすぐに亡くなったと聞いております」


「……」


「貴女が着られるようになったから引っ張り出したのでしょう。あ、この事はウォルガングには言わないように。口止めされていますからね」


「わかったんだぜ」


 ミレニア様からこのドレスの事情を聞かされ、それを着るのが恥ずかしいと言った自分が恥ずかしかった。事情を伝えることができなかったがゆえの真剣な表情の意図を、俺は察することができなかったのだ。心を大切にする桃使いとして落第と言えよう。


「ほら、そんなに暗い顔をしてはいけませんよ? 今日は貴女のお誕生日なのですから」


「ふきゅん、顔に出てた?」


「えぇ、でも大丈夫ですよ。いつもどおり、笑顔でいればいいのです。それはきっとウォルガングの望むことでしょうから」


「そっか、そうだよな」


 謁見のトップバッターはミリタナス神聖国教皇のミレニア様だ。彼女が一番最初だったのは俺にとって幸いだった。二回目とはいえ、今回もまた緊張して表情が無表情になっていただろうからだ。


 続いての謁見は何故かエドワードであった。彼は俺のドレスに釣り合うような純白の紳士服を身に纏っている。何か嫌な予感しかしない。

 終始にこやかな笑顔のまま謁見時間終了まで他愛のない会話をし、その後に当然の権利のように俺の隣に並び立つ。やはり、エドワードの狙いはここにあったようだ。


『今回も僕がサポートするから安心してね、エル』


『お手柔らかに頼むんだぜ』


『任せてよ。あぁ……エル、可愛い。このまま結婚式をしてしまおうか?』


『……』


 エドワードは〈テレパス〉にて他者に声が聞こえないよう気を遣い協力を申し出てきたのだが、その際に心の声というか野望というか欲望がだだ漏れであった。どうすればいいんだこれ?

 もはや、前回の二の舞になる気がしてきた。嘘だと言ってほしい。


 暫くの間は穏やかに謁見が続いた。それは大人ばかりだったということもあるが、以前と比べて彼らの俺に対する態度が大きく変わっていたということが大きな理由になるだろうか。


 彼らは俺をラングステンの聖女としてではなく、どうやら聖女エルティナとして見てくれているようなのだ。つまりは俺のことを『皆のための聖女』として扱いたいようである。


 困っている者がいれば、俺は分け隔てなく助けに行く覚悟をもっているので、それは望むところである。だが、中にはやはり自分の所有物にしたいと思う者がいたし、俺の身を心配するあまり極端な思考に走る者もいるのは確かだ。

 そして、その問題の人物との謁見の時がやってきた。


「お久しぶりです、エルティナ様」


「お久しぶりです、ムー王子」


 イケメンの羊獣人ムー・ラー・ブレバム。南西の諸島連合国家、ブレバム統一王国の第一王子だ。そして、初対面でいきなり俺に求婚してきた強者でもある。


 彼とは鬼が襲撃してきた際に共闘しており素の俺を知る人物だ。

 というか、前回の参加者の殆どは素の俺を知っており、中には謁見中に無理をしなくてもいいですよ、と気を遣ってくれる者すらいた。

 一応は公式の場ですから、とやんわりと断りを入れたが、きっと嬉しさのあまりに満面に笑みになっていたと思われる。


 彼は本気で俺を狙っているらしく、小まめに手紙を送ってきているそうなのだが、その殆どは王様やエドワードの手によって検閲されて黒く塗りつぶされてから渡されるので、まともに文章を読めた試しがない。


「また一段と綺麗になられましたね。外見はもちろんのこと、内面からの美しさが表に現れてより一層に魅力的に感じます」


「ありがとう、ムー王子。嬉しく思います」


 俺は笑顔で彼に対し礼を述べた。すると、彼は表情こそ崩しはしなかったものの顔を赤らめたではないか。社交辞令だったのだが、思わぬ効果に俺も動揺を隠せなかった。


『エル、油断しないで。せっかくダメージを与えたのに、きみも顔を赤らめては意味がない』


 いつから謁見は戦いになったんだ、と激しくツッコミたい。

〈テレパス〉にて注意を促してきたエドワードの言葉で我に返り、気を引き締める。当然、ムー王子もいつもどおりの爽やかスマイルを取り戻していた。


 途中、何度かエドワードとムー王子が火花を散らす場面があったが、比較的穏便に彼との謁見は終了した。ムー王子の名残惜しそうな表情が印象に残っている。


 続いてはティアリ王国の国王となったリマス・アイル・ティリスとの謁見に入る。彼に対してはエドワードも緊張を解いた。


 現在ティアリ王国は主にラングステン王国の援助を受けて復興中である。他国の中には援助と見せかけて内から支配を目論んでいると牽制する国もあったが、王様はそのことごとくを無視してティアリ王国に手厚い援助をおこなっていた。

 その献身的な王様の態度は他の国を動かし、今では多数の国からの援助を受けて急速に復興が進んでいる。


 そんな中にあって、リマス王も支援をおこなってくれている国を訪れて礼を述べる日々を送っているという。若干六歳の王は自国の民のために幼い身を粉にして奮闘しているのである。


「エルティナ様! エドワード様! お久しぶりです!」


「ふきゅん、元気にしていた? リマス……様」


「最近は大変そうだね、リマス様」


 俺とエドワードは時間さえあれば親善大使としてティアリ王国に赴いていた。そして、ついでにとばかりケガや病気で苦しむ者を治療して帰国しているのである。

 その際には若手ヒーラーを連れて行き、現場というものを経験させるようにしていた。


「はい、でも私の苦労で民の生活が少しでも楽になるのであれば、これほど嬉しいことはありません」


「そっか、でも無理をしたらダメだぞぉ。何かあったら俺たちに相談するんだぁ」


「そうだね、他の王族たちでは相談できない事でも、僕たちならどうにかできるかもしれないし」


「その時はお願いします!」


 そう言ってリマスは俺たちに頭を下げ、顔を上げた時には満面の笑顔になっていた。その笑顔につられて俺たちも笑顔になる。

 リマスの人生は間違いなく苦難の道となるだろう。でも今の彼は沢山の仲間と家臣たちに支えられている。

 そして、そのことをよく理解している彼ならば必ずや王道を逸れる事はない、と信じることができた。


 全ての謁見が終わり会場が和やかな雰囲気に包まれ始めた。各国の要人達は親交を深め合い、テーブルの上に並ぶ見事な料理に驚愕することとなった。

 そう、そこに並ぶ料理は全て神級食材を使った料理たちなのだ。


 舌が肥えているであろう貴族階級たち。だが、彼らの予想を遥かに超える別次元の味に、ある者は身を震わせ恍惚の表情を晒し、またある者は全身から力が抜けたのか座り込んで放心していた。


「……やり過ぎたか?」


「力を入れ過ぎたね。ちょっと刺激が強過ぎたかもしれないよ?」


 実は俺も調理に携わっていたのだ。

 主な調理はエチルさんと王宮料理人たちであるのだが、神級食材は繊細な部分というか捻くれている部分があるので、そう言った箇所は俺が処理を施している。

 逆に言えば、そこさえ処理を施せば、俺以外の者が料理できるようになるということだ。


 神級食材の味を初体験した王宮料理人たちはその味に驚愕した。いずれも最良の味を求めて世界各国を旅した筋金入りの料理バカたちである。

 そんな彼らが神級食材を調理できるとあって色めき立たないわけがなかった。


「皆さん、私はエルティナ様からこの食材たちを預かって日々調理していますが、基本的に感謝の心を忘れなければ誰にでも調理可能です。難しい部分は既にエルティナ様が調理を済ませてくれていますので、存分に腕を振るってください」


 エチルさんがそう説明すると、料理人たちはすぐさま調理を開始した。その光景と言ったら筆舌に尽くし難い。


 何故、複数の包丁が宙を舞うんだ。後、興奮し過ぎだ。その奇声を上げるのはやめたまへ。まてまて、そのバトルアックスを何に使うつもりだ? あぁっ!? フレイベクス肉がとんでもない姿にっ!


 どうやら、ここの料理人たちは奇人変人の集まりだったようだ。そんな中で優雅で軽やかにダンスでもするかのように調理するエチルさんは間違いなく天使だった。

 その調理には王宮の料理人たちも認めざるを得なかったらしく、彼女を引き抜こうと交渉を持ちかける者が現れた。

 しかし、エチルさんはそれをやんわりと、しかしはっきりと断ったのである。

 私はヒーラー協会食堂の料理長ですから、と。


 その言葉に全世界の珍獣がふきゅんと鳴いたのは無理もないことであった。


 テーブルに並ぶ料理の中でも特に驚かれていたのは、俺が作り上げた『カレー春巻き』であった。


 作り方はカレールーを湯葉で包み春巻きの皮で巻き油で揚げる。最初に中火でじっくりと揚げ、仕上げに強火で一気に揚げて皮をパリパリにするのがコツだ。

 具は少し迷ったが、細切りにしたニンジンとフレイベクス肉、玉ねぎというシンプルな組み合わせに留めることにした。元々がカレールー自体が未知の味なのだからシンプルな方がいいだろうとの判断だ。


「いやはや、先を越されてしまいましたね」


「ふっきゅんきゅんきゅん、どや」


 悔しそうな言葉とは裏腹に、フウタの表情はそれはそれは大層な笑顔であった。


「春巻きにカレールーを入れるというシンプルな発想は好感が持てます。これならば、少量でもカレーを堪能できますからね。それに……カレーライスを味わえるという期待が高まるというものです」


「フウタには帰りにスパイスの実を分けてあげるから、子供たちにカレーライスを作ってあげるといい。きっとみんな喜ぶと思うぞぉ」


「えぇ、きっと喜ぶと思います。うちの家族は美味しい物に目がないですから」


 そういう彼は父親の側面をもつ顔を俺たちに見せた。普段は飄々とした優男を演じているようであるが、ふとした時に素の顔を見せる時がある。それがまた魅力的であり、女どもがころりと陥落するわけだと納得することになるのだ。


 どうやら、今年の誕生日は穏やかに終わりそうである。でも、こういう時には終わり際になってとんでもない事件が発生する可能性があるので気を抜いてはいけない。

 

 ……なんてことはなかった。


 結局、何事もなく俺の誕生パーティーは大盛況の内に幕を閉じたのである。

 こんなに穏やかで平穏な終わり方をしてしまって良かったのだろうか? 反動が怖い。







 各国の要人たちが用意された宿泊施設へと戻り、誰もいなくなったパーティー会場。そこで俺と王様は二人だけで向かい合っていた。


 俺は引き続き王様が用意してくれた純白のドレスと黄金のティアラを身に付けている。


「よく似合っておるな、エルティナ」


「ありがとうなんだぜ、王様」


 王様は一礼をして手を差し伸べた。俺はその手の上にそっと手を置く。

 王様のゴツゴツとした、まるで石のような手の感触。それは彼が歩んできた人生そのものだ。


 想像を絶する苦難の道だったのだろう。何度も辛くて苦しくて泣き叫んだことだろう。それでも、彼は王として皆の先頭に立って歩み続けてきたのだ。


 彼は己の苦痛を、そして悲しみを曝け出すことを良しとはしない。いや、できないのだ。

 何故ならば、彼は『王』であるからだ。


 彼がそのような感情を晒してしまえば民は不安に駆られてしまう。だから、王様はその全ての感情を抱え込み、決して人前で表に出すことはない。

 それは、とても辛く苦しいことだ。


 でも、王様だって人間だ。限界が無いわけじゃない。


 テーブルや飾りが片付けられて殺風景になった広い会場の中央に移動し俺と王様は踊る。

 明かりを灯すのは中央のシャンデリアのみ。それゆえに中央以外は薄暗い。また音楽などは無い、コツコツという靴音だけがBGMだ。

 

 踊り慣れている王様とは違い、俺は踊り慣れていない。拙いステップは見る者に失笑を与えるだろう。だが、この場に至っては、そのようなことはどうでもよかったのだ。ここには俺と王様しかいないのだから。


 交わす言葉は無い。何故なら言葉は無粋。交わすべきは心と心。重ねるべきは優しき想い。


 やがて俺の頬に熱き滴がぽたりぽたりと落ちてきた。とてつもない重荷を背負い続けてきた漢の流す感情の滴だ。俺にできることはそれを受け止めること。

 たとえ、俺のための涙でなくとも受け止めなくてはならない。


 一人くらい、いてもいいはずだ。『王』の感情を受け止める者が。


 やがて、二人だけのダンスは終わり、王様は俺を抱きしめた。やはり言葉は無い、なくとも感じる彼の想い、そして決意。

 少し息苦しかったが、それは王様の愛情ゆえのこと。よって耐える。


「エルティナ、そなたはわしの宝じゃ」


「ありがとう、王様」


 その短い言葉に、どれほどの想いが込められているのだろうか? 未熟者の俺では到底計り知れない。

 俺と王様は手を繋ぎ静かに会場を後にする。誰も知りえない、二人だけの秘密ができたのである。


 こうして、俺の九歳の誕生パーティーは幕を下ろしたのであった。

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