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食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第一章 珍獣と聖女と仲間達
31/800

31食目 戦力増加するよ!

エティル家の一件から、数日が経った。


俺は早速、自身の戦力増加を計り、せっせと小道具や実験を繰り返していた。

実験場所はヒーラー協会の裏の空き地だ。

人も殆ど来ないし、超近いので便利っ!


様々な試行錯誤の結果、しょうもない結果になったものも多々あったが、

中々に使える『魔法技』もできていた。


「ふふふ……いける! 今の俺は小賢しいと思う!!」


俺は小賢しい魔法技を沢山作っていたのだ。

具体的には、落とし穴とか閃光手榴弾モドキとか……

主に嫌がらせの魔法技が大部分を占めている。


『魔法技』とは、俺のショボイ頭脳をフルに使って開発した、

日常魔法を組み合わせることによって発動する嫌がらせ魔法である。


基本的に全ての工程を日常魔法で構築し、簡単に発動できるようにしたものだ。


落とし穴は、『アースブレイク』と『ゼログラビティ』で作ってある。

『落とし穴』を発動すると『アースブレイク』で穴ができ、

余剰な土を砂に変えて『ゼログラビティ』で浮かせておく……といったところだ。

まあ、設置場所が丸わかりになってしまってるので、

改良の余地が満載なのだが……。


試しに落とし穴設置場所に乗り、きちんと落ちるか試したら……落ちた。

浮かせていた大量の砂と共に。

出るのにエライ苦労したが、効果はバッチリだったのでまずは満足。


閃光手榴弾は日常魔法、『ライト』のみで作ってある。

察しのとおり、『ライト』とは暗いところを明るく照らす魔法だ。

魔法世界の懐中電灯、といったところだな!


発動すると、野球ボール程度の光の玉が出てくる。

俺はそれを暴走寸前まで魔力を込めて投げつける!

という力技に出たのだ。

それは成功し、辺り一面はとんでもない閃光に満たされた。


そして俺は……暫く目が見えなくなった。

目を瞑るの忘れてたんだよ(一敗)。


後、忍術とかも再現できるものはしてみた。

日常魔法を上手く使えば、再現できるものもあったからだ。

ただし、身体能力が必要な術は失敗に終わった。


仕方ないね!(震え声)


しかも、役立ちそうな忍術は小道具いっぱい使うから、コスト面できっつい!

仕方ないね!(血涙)


そんなこんなで……暫くの間、戦力の増強を図る俺であった。


◆◆◆


『感じる……』


雨が降り注ぎ、時折稲光が辺りを照らしている。


我は王都フィリミシアが一望できる丘に陣取り、

とある人物を見つめていた。


『あの者を……取り込めば、父を討った者に対抗できるかもしれぬ』


あの者が持つ魔力は計り知れぬ。

もしかしたら、父を超えるほどの強さが手に入るのではないのだろうか。


『我が彼の者と相対する日は……近いのやも知れぬな!』


無謀にも挑んできた弱き者の骸を踏み砕き、我はその場を立ち去った。

必ず食らって、我が血肉としてくれよう。


◆◆◆


時は流れ、俺は七歳になった。

色々とあったが……平穏な毎日だ。


そうそう、タカアキとエレノアさんに子供ができた。

生まれるのは、もうちょっと先だそうな。

エレノアさん似だと良いね!(暗黒微笑)


ティファ姉は女の子を出産した。

超可愛い! ティファ姉似で、緑の髪を授かって産まれた女の子!

ビビッド兄は、男泣きしてた。




そして……生まれる命あれば、去る命がある。


デイモンド爺さんが亡くなった。

彼は最後の最後まで『ヒーラー』であった。


以前の姿が見る影もなくなり、その姿を見て愕然としていた俺を、

デイモンド爺さんは最後の力を振り絞って励ましてくれたのだ。

ヒーラーとして、俺の心を癒そうとしてくれたのだ。


この時、俺はデイモンド爺さんから大切な『ヒーラーの心得』を受け継いだ。


あの時、無茶をさせなければ……こんな結果にはならなかったかもしれない。

俺は泣いた……人目を憚らずに。

この世界に転生して、初めて掛け替えのない仲間を失った。

俺はこのことを……生涯忘れないだろう。


皆で少しずつ、お金を出し合って建てた小さな墓。

そこには、デイモンド爺さんの名が刻まれていた。


周りにもさまざまな小さな墓が並んでいる。

いずれも『魔族戦争』で死んでいった、名も無き英雄達の墓。

デイモンド爺さんもまた……英雄の一人なのだ。


「さようなら……デイモンド爺さん」


一生をヒーラーに捧げ引退しても尚、

命を救うために命を燃やし尽くした偉大なる先輩に別れを告げる。


貴方のことは絶対に忘れないよ……デイモンド爺さん。




後は……ミランダさんのことだ。

うへへ、遂にやりやがった!

アルのおっさんが、ミランダさんを口説き落とした!


やっと、幸せになれる時が来たんだよ!

アルのおっさんもがんばったなあ……やはり、緻密な策略が功を奏したのだろう。

その甲斐あって、晴れてゴールインというわけだ。


結婚式には、大勢の知り合いが駆けつけた。

なんといっても、勇者のパーティーメンバーだったからな!


タカアキ夫妻を始め、フウタ夫妻も総出で駆けつけた。

フウタ嫁い過ぎぃ! 修正されて!!


結婚式は穏やかな雰囲気で滞りなく行われ、滞りなく終了した。

良かった良かった……。


◆◆◆


季節は春! 色々あったが俺も無事に一学年上がった。


そして……今日から、いよいよ実戦訓練の日だ。

入学から一年、日々の訓練の成果を試す時がきた。


といっても……相手は野兎や、弱い魔法生物が対象である。

増えすぎた、害獣退治の側面もある。

俺達まだ、ガキンチョだしね!


「では、六人パーティーを組んで野兎を五匹狩ってきてください」


結婚して休暇中のアルのおっさんに代わり

俺達の担任を務めることになった、黒エルフのスティルヴァ三十七歳独身。

彼女は我がクラスの副担任でもある。


一言で言えば……エロい、エロすぐる!

黒髪の艶のある、サラサラのロングヘアー。

褐色の肌に溢れんばかりの豊かな乳房。

キュッと締まった腰に、むしゃぶり付きたくなるような臀部。

モデル並の容姿である。

正に熟れた女! 昔の俺なら「うっひょう!」と狂喜乱舞である。

反則ですよ先生!! ……でも何故か独身。


体育館にクラスごとに集まり、六人パーティーを作る。

意外と学校で最初に作ったパーティーをとおす者が多いそうな。

慣れてるって面もあるんだろうな。


そんな風に考えてると、俺に声をかけてくる者がいた。


「エル……一緒に」


ヒュリティアだ。一年経って更に美貌と強さが増した。

後、数年経てば男共を骨抜きにする美女になるであろう(確信)。

彼女の姉も超美人なので、似たような雰囲気になるのかな?


「エルちゃ~ん! 私と組もう!」


リンダもヒュリティアに続いて参加を申し込んできた。

一年前は背丈が同じようなものだったのに、すっかり差がついてしまっている。

彼女は相変わらず丸顔のポッチャリだが、

それが可愛らしさを倍増させていると思われる。

マニアには堪らない娘に育つのは確実であろう。


……タカアキには会わせられない気がする。


「前衛は俺に任せろ!」


脳筋のライオットも参加を表明してきた。

彼はこの一年間でとんでもなく成長を果たした。

特に身長の伸びっぷりが半端ではなく、

今では見上げないと顔が見えない(血涙)。


「へへっ……エルは守ってやらねぇとなっ!」


……何か、保護者みたいなことを言われた。

いや……小動物から特別天然記念物に、クラスチェンジしたのかもしれん。

そうしておこう(震え声)。


「では、僕もご一緒させてもらいますよ?」


フォクベルトだ。

彼が参加してもらえると助かる。

頭脳派で、前衛も後衛も器用にこなす万能タイプの戦士。

正にこのパーティーの頭脳になってくれるだろう。

頼りにしてますよ! フォクさん!!


「まぁ……いつものメンツかぁ?」


最後にガンズロックがやってきた。

最近はこの顔ぶれで行動することが多い。

その際、よく物事が決まらなくてグダグダになるのだが、

彼が居ればズバッと決めてくれるので、

実質的なリーダポジションだったりする。


何より、周りをよく見てくれているので、リーダー役が適任だったりする。

俺? 俺は「あーしたい、こーしたい」と言うだけのポジションです。


「あちゃ、出遅れた」


ごめんよダナン。

このパーティーは六人用なんだ……。


「ま……別の所にお邪魔するよ、お互いがんばろうぜ!

 じゃ、後でな~!」


ダナンを見送った後、スティルヴァ先生にパーティーを申告する。

これで、『珍獣と保護者』パーティーが結成された。


「パーティー名、どうにかならなかったの……?」


パーティー名にご不満なヒュリティア。

でも仕方がないんだよ。


「スティルヴァ先生が勝手に決めちゃったんだぜ」


そう、このパーティー名はスティルヴァ先生が命名したものだ。

他にも酷いパーティー名が誕生している。

『女王様と下僕』とか『へっぽこ委員長護衛隊』とか。


他のクラスメイト達も、思い思いのメンバーとパーティーを結成し、

いよいよ実戦訓練の開始である。


まあ、相手は野兎やヘボイ魔法生物なのだが……。


「相手は弱い部類の相手だけど油断はしないように~!

 油断は思わぬ結果を招くから、くれぐれも気を付けるようね~!

 じゃ……出発~!!」


先生の号令と共に、元気良く出発する二年八組。

目標は野兎五匹の討伐だ。

倒した兎は昼食のオカズになる。

なんとしても五匹以上狩って、豪華な昼食にするのだぁっ!!


俺はいつも以上に、闘志を燃やすのであった! ふきゅ~~ん!!

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