240食目 プリエナ・マックスナン
◆◆◆ プリエナ ◆◆◆
「うわ~、たくさん、ゆきがつもったよぉ」
あさはやく、めがさめたわたしは、
まどからみえる、おにわにつもったゆきをみて、うきうきしてきたの。
だって、これだけあれば、かまくらがつくれるんだもの!
ぽんぽもうれしそう! はやく、いっしょに、かまくらをつくろうね!
「あら、起きていたのね、プリエナ。おはよう」
「おはよ~、おかあさん!」
おかあさんが、ふくをもって、
わたしたち、かぞくが、いつも、ねているおへやにはいってきた。
わたしはおかあさんに、にていると、よくいわれるの。
おかあさんはにんげんで、おとうさんはたぬきのじゅうじん。
おとうさんは、たぬきがすっくとたって、あるいているかんじかなぁ。
わたしがおとうさんに、にているぶぶんは、
おみみとおおきなしっぽ……わぁ、これしかないやぁ~。
あとは、ぜ~んぶ、おかあさんのちいさいときに、そっくりなんだって。
「さぁ、着替えて居間にいらっしゃい。
寝巻のままで外を眺めていたら、風邪を引いちゃうわよ?」
「は~い」
ぱじゃまから、おきにいりのきいろいうわぎと、あおいずぼんにきがえて、
だんろのある、いまにむかうと、おとうさんがしんぶんをよんでいた。
むずかしいもじが、た~くさん、かいてあるかみだよぉ。
でも、おとうさんは、ぜんぶよめるんだって! すごいなぁ!
「おはよう! おとうさん!」
「あぁ、おはよう、プリエナ。今日も元気だね」
おとうさんが、しんぶんからめをはなして、
きちんとあいさつをしてくれたよぉ。
おとうさんは、きちんとあいさつできないこは、だめなこだって、
おしえてくれたひとだから、あたりまえなんだけどねぇ。
ぽんぽもしゃべれないけど、
わたしのあたまのうえで、おじぎをしているよぉ。
「ぽんぽもおはよう。きちんとあいさつができる良い子だな」
おとうさんが、にっこりとわらって、ほめてくれたよぉ。
ぽんぽもうれしそうで、わたしのあたまのうえで、おどっている。
「朝ご飯ができましたよ。皆で食べましょうね」
「わぁ、おいしそう! いただきま~す!」
きょうのあさごはんは、とーすとに、すくらんぶるえっぐ、
さらだに、しおすーぷ!
えるちゃんがつくる、おりょうりもおいしいけど、
やっぱり、おかあさんがつくるおりょうりが、いちばんおいしいの!
「うん、おいしい。やっぱり、ナフルの料理が一番だ」
「うふ、ありがとう。キリッシュ」
おとうさんと、おかあさんは、なまえでよびあっているよ。
なかよしのひけつだよ~、といっていたから、そうなんだとおもう。
だから、おとうさんと、おかあさんは、いつもなかよしさん!
「ナフル、プリエナ、それじゃ、行ってくる」
「いってらっしゃい、キリッシュ」
「いってらっしゃ~い、おとうさん」
おしごとにむかう、おとうさんを、みおくるよぉ。
おとうさんは、ふぃりみしあの、ひがしもんをまもる、もんばんなの!
とってもつよいんだよぉ~!
「さぁ、雪かきをはじめましょうか。
今日は結構、積もっちゃったわね」
「うん! ゆきかきするよぉ!」
すこっぷをつかって、どんどんゆきをあつめてゆくよ。
このりょうなら、かまくらもつくれそうだけど、たくさんあってたいへん!
「ふきゅん! おはよう、プリエナにぽんぽ、ナフルさん。雪かきかな?」
「おはようでござる、プリエナ殿、母君殿」
「おはよ~、えるちゃん! ざいんくん! うん、雪かきだよぉ」
ゆきかきをしていると、えるちゃんが、もっこもこのひつじさんになって、
ほんものの、ひつじさんをつれてあるいてきたよぉ。
ざいんくんと、なかよくおさんぽかなぁ?
「女手二人で大変そうだな……雪かきを奢ってやろう」
「え? いえ、聖女様のお手を煩わせるわけには……」
えるちゃんは、せいじょという、えらいひとなんだって。
でも、くらすめいとのみんなは、たいてい、わすれちゃってるよぉ。
じつは、わたしもわすれちゃっていた。
ごめんね、えるちゃん。
「ふきゅ~ん、きゅんきゅん! ふっきゅんきゅん! きゅん?
ふきゅ~ん、ふきゅ~ん、きゅんきゅんきゅん」
とつぜん、えるちゃんが、なきだしたよ。
どうしたんだろう? とおもったら、ゆきが、かってにうごきだして、
あ~っと、いうまに、いえのすみにあつまっちゃった! すごいよぉ!
「今日の雪ん子達は贅沢さんだぁ……随分と桃力を要求してきたな。
何か理由でもあるのかな?」
「ありがとうございます、聖女様。お陰で助かりました」
「それほどでもない」
と『けんきょ』なたいどをとる、えるちゃん。
すごいよぉ!『けんきょ』って、いみはわからないけど。
えるちゃんが『けんきょ』とは「すごいんだ」っていってたから、
たぶん、すごいんだとおもうよぉ!
「ありがとう、えるちゃん! これで、かまくらがつくれるよぉ」
えるちゃんは、わたしのことばに、おおきなおみみを、ぴこぴこさせたの!
わたしは、ぴくぴくしかできない。いいなぁ!
「なるほど……それでか。
リリーちゃんをライゼンさんの下に送ったら手伝おう。
完成したら焼き餅祭りだぁ……」
「それは、よぉございますなぁ。御屋形様」
えるちゃんは、よだれをながしながら、りりーちゃんをつれて、
らいぜんぼくじょうにむかったの。
ざいんくんは、えるちゃんをごえいしているんだって。
えるちゃんは、かまくらづくりをてつだってくれるらしいけど、
かえってくるまでに、かんせいさせちゃうんだから!
きっと、おどろくだろうなぁ。
「ぽんぽ、やるよぉ!」
ぽんぽが、わたしのあたまにのって、たのしそうにおどりだす。
これはわたしの『ようき』をひきだすのに、やくにたっているって、
おとうさんにおしえてもらった。
わたしたち、たぬきじゅうじんと、
きゅうとちゃんの、きつねじゅうじんは、
ほかのじゅうじんにはない、とくべつなちからがあるんだって。
それが、いま、わたしがつかう、『ようじゅつ』なの!
おとうさんは、ようじゅつが、すごくじょうずなんだぁ。
さいきんは、わたしも、すこしずつ、おしえてもらっているの。
みんなのちからに、すこしでもなりたいから!
ぽんぽもてつだってくれるから、きっと、ちからになれるとおもうの!
「いっくよ~!『ぽんぽとおなじ』! え~い!」
わたしは、いりぐちになるぶぶんに、ようじゅつをかけた。
すると、ぽん、ぽん、とけむりがでて、ゆきがぽんぽにへんしんする。
そのかず……あれ~? さんじゅっぴきもいるよぉ?
いつもは、じゅっぴきがげんかいなのに。
……まぁ、いいやぁ。
わたしは、ゆきのぽんぽにおねがいして、
ゆきやまにのぼってもらって、ようじゅつをといた。
それをくりかえすと、
どんどん、かまくらのかたちに、ちかづいてゆくの!
ゆきのぽんぽのかずがおおいから、とってもはやいよぉ!
わたしのあたまのうえで、がんばっている、ぽんぽのおかげかなぁ?
さぁ、えるちゃんたちがもどってくるまえに、かんせいさせちゃうよぉ!
「ほぅ……見事なかまくらだと感心するが、どこもおかしくはない」
「これは見事でござるな」
「えへへぇ、どう? えるちゃん、ざいんくん」
かまくらが、かんせいしたところで、えるちゃんたちがもどってきた。
ぎりぎりだったけど、まにあって、よかったよぉ!
「ふっきゅんきゅんきゅん! さぁ、餅焼くぞぉ!
かまくらに乗り込め~」
「わぁい!」
かんせいした、かまくらのなかで、おもちをやいてたべたの。
すっごくおいしかった!
もちろん、さきにいえのなかにもどった、
おかあさんにも、おすそわけしたよぉ。
すご~く、よろこんでた。うれしいな!
これからさきも、たくさんのうれしいを、はっけんしたいの!
みんなと、いっしょに! ね? えるちゃん!
◆プリエナ・マックスナン◆
狸の獣人の女性。
茶色の癖っ毛のショートカット狸耳がキュート。人間寄りの顔。
ぷくぷくほっぺに、まろまゆ。まん丸とした目には茶色の瞳。
おちょぼ口、非常に小柄。体と同じくらいの尻尾。
武器は短剣を使用するが得意ではない。
一人称は「わたし」
エルティナは「えるちゃん」