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食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第一章 珍獣と聖女と仲間達
23/800

23食目 初めての露店巡り

ぬわ~ん! 疲れましたよ、もう!


はい、どうも白エルフの幼女エルティナ五歳です。


遂にこの時がきた!

今日は念願の露店巡りの日である。

あまりにウキウキし過ぎて朝四時に目が覚めてしまった。

遠足に行く子供状態である。


でも、午前中はきちんとお仕事します、はい。

負傷した兵士達の治療は、一週間ほどかけて終了した。

いやぁ……長かったなぁ。


あの修羅場からは想像できないほど、

まったりとした雰囲気で治療がおこなわれる。

これが本来の治療所なんや~、と感慨深く思った。


それから、一般市民の方々もチラホラと訪れるようになってきた。

なんでも戦時中は、兵士の治療にヒーラーを優先的に回すため

市民の方々には我慢してもらっていたらしい。


エレノアさんに、ケガした市民はどうしてたんだ? と聞くと

大聖堂の司祭達が無償で治癒魔法を施しに行ってたらしい。

圧倒的に人数が不足して、デルケット爺さんまで駆けずり回ってたそうな。

最高司祭なのにがんばるなぁ…


「本来なら私も、デルケット最高司祭の

 お手伝いをしなければならなかったのですが…」


勇者のお手伝いだから仕方がない。

本当、ヒーラー不足なんだなぁ……。


現在、この国のヒーラーはおおよそ百人程度らしい。

人口に対して少な過ぎやしませんかねぇ? マジで。

お陰で死にかけましたよっ!?


しかも王都に居たヒーラーは協会ヒーラー二十人、司祭四人、そして俺。

現役を退いた復帰組が七名であった。

冒険者の中にも、隠し芸的な程度で使える人もいるが擦り傷を治せる程度。

まあ、それでも居ないよりまし……だったのでコキツカッテ差し上げたがな!!

使える者はなんでも使うぜ!


後は遠い地方のヒーラーが、散り散りに町や村に滞在している。

彼らまで招集すると、町や村が壊滅的なダメージを受ける可能性があるので

流石に呼べなかったらしい。

ですよね~、そこにヒーラーが一人しかいなかったら、

ケガや病気を治せないよ!


しかも、遠い地方に赴任するヒーラーは、皆ランクAの優秀な方々である。

Aランクでないと、病気を治せる魔法を使い難いからだ。

Bランクだと、一回使っただけでヘロヘロになるらしいね。

俺はわからん、練習がてら連発してたから。


たぶん未調整『ワイドヒール』よりはマシだろう。

未調整『ワイドヒール』はマジにヤバイから。(白目)


「飲み過ぎだな! 酒は控えるべき!」


「お、俺に死ねと!?」


午前中最後の患者に『クリアランス』という治癒魔法を行使する。

『クリアランス』は高位治癒魔法で、ありとあらゆる状態異常を治す

素晴らしい性能を誇る。

が……その分、物凄い燃費が悪い。


その燃費の悪さは未調整『ワイドヒール』に匹敵する。

今使ってる『クリアランス』は、俺用に調整したものだ。

もちろん、消費魔力もガッツリ少なくしてやったぜ! がはは!


「おだいじに~」


これで、今日の俺の仕事は終わりだ。

最後に患者の状態を紙に書き込む。

カルテってヤツだ。


「お疲れ様、エルティナ様。今日は、お出かけの日でしたね?」


と患者と入れ替わりでティファ姉が入ってきた。

午後の治療は彼女が担当である。


おおぅ、緑色の髪をポニーテールにしてる。

コレだよコレ! 男のポニーじゃなく、女の子がしてこそのポニーテールだ!


「髪型変えたんだ?」


ティファニーは、今まで腰にまで届くロングヘアーだった。

それも良かったがポニーテールにすると印象変わるなぁ……。


「はい、似合います?」


にっこり笑ってそう聞いてきたので。

「似合う」と言ってパチパチ拍手してあげた。

俺のテンションがうなぎ登りだぜ!


「ありがとうございます。うれしいな」


満更でもないようだ。

そこに今度は我らが、おっぱぉ……エレノアさんがやってきた。

お、もうそんな時間か!?


「聖女様、そろそろお時間ですよ?」


「今着替えてくるっ!」


ダバダバ~と、駆け足で自室に戻って着替える。

今着てるのはデルケット爺さんから貰った聖女用の服だ。

女性司祭の服を子供用に誂えたものらしい。

白を基調とし金の意匠を施された豪華な服だ。


別にこの服でも良いが、白い部分が多いので汚れると目立つ。

なので、初代から頂いた、あのピンクの魔法使い風の服を着ることにする。

緑色のローブを羽織って完成! ……パンツは履いてるよ!?

エレノアさんが買ってきてくれたさ!

やっぱり見えてたらしい、ケツとか女の子の部分とか。


今俺はクマが刺繍された、くまちゃんパンツを身に着けている!

意外にお気に入りだ……というのは内緒な! 

俺との約束だ!!


「おまたせぇ」


行こうぜ! とエレノアさんを急かす。

待ちに待った露店巡りである。


「でも、その前に」


と日常魔法『ヘアメイク』で俺の伸ばしっぱなしの長い髪を、

おさげにまとめ上げる。

この魔法は女性にとって必須とも言える魔法だそうな。

手で行うより断然早い上に、髪が殆ど傷つかない。

属性は風魔法で、おさげやお団子ヘアーにする時などにも

便利な魔法だそうだ。

練度が上がると凄い髪型にもできるらしい。

今度練習でもしてみるかな?


「では行きましょうか?」


俺達は手を繋ぎ、街へとお出かけしたのであった。


そこは人でごった返していた。

露店がひしめき合い珍しい商品が所々に並び、

美味しそうな食べ物の匂いが辺りに充満する。


「うおぉぉぉ……露店だぁ!」


プルプルと体を震わせ感動する俺。

ここに来て結構経つが、ようやく露店に来ることができた!!

さあ、何を食べようか? あの串にするか? 

お、あのハンバーガーっぽいヤツも美味そうだ!! 

……ぶっ! ラーメンまであるのか!? 

どうなってんだ? ここの食事事情はっ!?


思い当たる節があった。

あの転生チートが、何かやらかしたに違いない。

あるいは、過去に何度も勇者が呼ばれてるらしいので、

彼らが伝えたという可能性だ。


まぁ、それは良い。

今の問題はどれを食べるかだ。


俺の胃袋事情では、一品食べただけで満腹になるだろう。

デカいのだ、どの食べ物も!

串もゴロゴロとデカイ肉が刺さっているし、

ハンバーガーも俺の顔が隠れるほどのデカさだ!


「これは中々の試練だな」


受けて立ってやろうじゃないか!

まずはおまえだ! ハンバーガー!!

俺はエレノアさんにハンバーガーを買ってくれ、と言いお金を渡す。

そして俺の手にハンバーガーが渡される。


「デケぇ……」


でかぁぁぁぁぁぁぁい!!

牛肉だろうか? 

分厚いハンバーグにケチャップがどっぷりとかけられており、

そこに玉ねぎの輪切りが三枚挟まっている。


「ははは……お嬢ちゃんに食べきれるかな?

 ここのは冒険者用だから、皆ボリュームタップリだからね?」


人の良さそうな店主のおっちゃんが自慢げに言った。


「完食してみせるさ! いだだきむぁす!!」


俺はハンバーガーに挑戦した!

厚いハンバーグからは肉汁が溢れ、ケチャップの酸味と合う。

玉ねぎの辛さも良い塩梅である。

バンズも肉と調和がとれていた。

なるほど……コレだけデカくても、完食させることができるほど

絶妙な美味さである。


「はむっ、むしゃ、んぐんぐ……」


まぁ、半分エレノアさんに食べてもらったんだけどね!

美味いけど五歳には無理だったよ!!


「次は勝つぞ!!」


びしっと捨て台詞を言って露店を後にする。

「またおいで~」と優しく手を振るおっちゃん。

今日は満足だった。


やはり、この世界は食べ物のクオリティは元居た世界とは段違いであった。

向うにも探せば、有るにはあるのだろうが……値段が高すぎる。

こっちは安い上に美味いのだ。


まだまだ、美味い物が溢れてるのだろう。

俄然やる気が出てきた! 

まずはここの露店街の食べ物を制覇する!

そして、大きくなったら世界に飛び出すのだ!

そのためには貯金! 力! 知恵が必要だ!!


そのために俺は今日も自室でトレーニングを積む。

武器を使った練習も始めた。

素質のおかげでまともに扱えないが。


俺にはやることが山積みだ。

明日のために……打つべし! 撃つべし!


スラストさんに怒られた。

流石にここで武器を使った練習は控えたほうが良いか。

しょぼ~ん。


そんなこんなで、露店巡りの日々が始まったのであった。

さあ、明日は何を食べようか?

ウキウキしながら俺はベッドに潜り込んだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] あー面白かった、最終決戦済んだ気分になって話数見たらまだ23話とか言う。
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