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食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第四章 穏やかなる日々
216/800

216食目 アカネ・グランドロン

 ◆◆◆


 騒がしかった夏が過ぎ、あの暑さが嘘だったように思えるほど、

 めっきり寒くなってきたさ。


 フィリミシアに並ぶ木々は、冬に向けて赤い衣に身を包むんさ。

 中には呑気なヤツもいるけど、それも時間の問題さね。


 寒さの余波はわちきの教室にも及んでいるさね~。

 クリューテルの着こみ具合が半端じゃないんさ。


 まるでダルマさ~。

 色気も何にもあったもんじゃないんさ。

 ミリタナス神聖国出身者は寒さに弱いみたいさね。

 寒くなると、わちきの楽しみが減って嫌さね~。


 授業中の癒しがなくなって、わちきのテンションも下がりっぱなしさね。

 早く夏に戻ってほしいさ~。


 ……あ、紹介が遅れたさね?

 わちきはアカネ・グランドロン。

 ネズミ型の獣人。性別は女。


 そして好きな物は、女性のむっちりとしたケツ。


 え? 自分も女じゃないのか?

 いかにも、自分は女さ。

 でも、それがどうしたというんさね?

 性別がどっちだろうと、このアカネの好きな物は女性のむっちりとしたケツ!

 異論は認めないさっ!


 あぁ……あの肉に顔を埋めたい。


 しかし、獄炎の迷宮で出会った女冒険者は惜しかったさね。

 後もう少しで押し倒せたさ。


「いいケツだったさぁ」


「アカネ、何がいいケツだ。

 授業中に考えることじゃないだろ~?」


 思わず口に出してしまい、アルフォンス先生に怒られたさ。

 先生にはケツの良さがわからないのだろうか?

 それとも彼はケツよりも、チチの方が好きなのだろうか?


 確かにチチもいいが……やはりケツが一番さね。

 あの肉が堪らないんさね~!


 ふかふかで、ぷよぷよで、いくら触ってっても飽きない。

 あれほど安心できる肉はないんさね。


「おいぃ……アカネ。涎が垂れまくってるぞ?」


 わちきが涎を垂らしていることを、エルティナが指摘してきた。

 この子は数年後が楽しみな逸材さね。

 わちきの勘だと、この子のケツはむっちむちになる。


 ぐひひ……今から楽しみさね~。


「ふきゅん!? ……更に涎の量がっ!」


 それにエルティナの肌の柔らかさは学校でも評判さね。

 それがケツに加わったら、どうなってしまうのだろうかね?


「~~~~~~~~~っ!!」


 想像したら危険な領域に入ってしまったさ。

 暴れる欲望を押さえるために、身悶えてしまうのも仕方がないことさね。


「だめだ……アルのおっさん先生。

 アカネが、かかわってはいけない世界に旅立ってしまった。

 ……そっとしておこう」


「そうもいかんだろ~? ほれ、正気に戻れ」


 アルフォンス先生のデコピンで正気に戻ったわちき。

 もう少しで、あられもない姿を晒すところだったさ。


 手遅れ? なんのことだかわからないさね~。




「うちのクラスのケツランキング?」


「それは今のか? それとも未来のか?」


「みゅ~ん?」


 昼食後のテラスにて、いつもの面子であるロフトとスラックと雑談していると、

 そのような話題に発展していったさね。


 ちなみに飛龍ワイバーンの子供達は首を傾げて、取り敢えず返事をしているだけさ~。

 順調に大きくなっているようで一安心さね。


 それで……彼らはそれぞれに得意分野があるさ。

 ロフトはチチ、スラックはクビレと腹。

 けど、他の部分も冷静に評価できる確かな目を持っているさね。


「今のは、わちきでもわかるさね。

 ぶっちぎりでユウユウのケツさ~」


 ただし、触ったら死ぬ。

 わちきはまだ死にたくないので、遠くから眺めるに留めるさ。

 あの形の良いケツに、いつの日か飛び込みたいさ~。


「ふ~む、未来のか……だとしたらヒュリティアかな?

 将来すっげ~スタイルに育ちそうだぞ」


「あ~わかる! 今だって、もう出るとこ出てるしな」


「なんで、男子のロフト達が知ってるんさ~?」


 ロフト達は「俺達の心眼からは逃れられない」とか言ってたけど、

 絶対に覗いてたに違いないさね。


「後はプルルも凄いと思うぜ。

 あいつ、尻が大きいからな」


「そうそう、いつもブルマから肉が飛び出てるもんな!」


「ぐひひ……流石ロフト、きちんと見てるさね」


 プルルは既にチェック済みさね。

 腰が華奢だから、ことさらに強調されるのもグッドさ~。

 後あの子は全体的にエロいんさね。

 天然のエロさってやつ。


「委員長もいい線いくんじゃねぇのかな?」


「あ~そういえば、いい形してるもんな!」


「委員長は、副委員長の監視が厳しいさ~」


 メルシェも可愛らしいケツをしているさね。

 以前、鷲掴みにしたら怒られたけど、いい感触だったさ~。


「成長してみないとわかんねぇけど、食いしん坊も期待値でかいぜ」


「おっ? 奇遇だな、俺も言おうとしてたんだよなぁ。

 あの肌の柔らかさで、むっちむちになったらスゲェことになるぜ!」


「それは、わちきも考えていたことさね。

 まぁ、こんなところかね。

 成長具合によっては、他の子もランクインするだろうけどさ~」


 そんな話をしていると、ロフトがふと気が付いたように言ったさ。

 でも、その言葉は大問題だったさね。


「そういやぁ、アカネ……おまえもケツでかかったよな?」


「あ!? そう言えば……こりゃ盲点だった!」


「ちょ!? 何を言ってるんさね!」


 男二人が肩を組み合って、ぼそぼそと会話を交わし……わちきを見た。


「こりゃ、将来に期待できるな」


「あぁ……俺達の未来は明るい」


「何を考えてるんさね」


 ロフト達がにやにやとわちきを見る。

 まったく、わちきも男に生まれたかったさ~。


「はぁ、そろそろ時間さね。そろそろ教室に戻るさ~」


「あ、もうこんな時間か」


「面白くなってきたのになぁ」


 ……これが、わちきの日常さね。


 両親はわちきに女らしくしてほしいみたいだけど、

 それができれば苦労はしないさ。


 物心ついた時から違和感はあったさ。

 本当は自分は女ではなく、男なのではないのかと。

 それは日に日に大きくなっていったさね。


 こんなこと誰にも言えないし、言ったところで変なヤツ扱いさね。

 そんな鬱憤が溜まりに溜まっていた時に出会ったのが、

 ロフトとスラックさ~。


 二人はスタイルの良い女の人に飛びかかったさね。


「前世から好きでしたっ!」


「貴女はクビレを信じますかっ!」


 なんとも自分の欲望にストレートなヤツらだったさ。

 結局は、女の人にぶっ飛ばされるんだけどさ~。

 わちきには眩しく見えたさね。


 二人の自分を偽らないその姿が。


 最初は憧れだったのかもしれないさ。

 自分も自分に正直に生きてみたい。

 そう思って、二人に声をかけたさ。


 ……その結果がこれなんだけどさぁ! ぐひひっ!

 やっぱり、我慢はよくないさね! 自分に素直なのが一番さね!


 あぁ! むっちむちのケツに飛び込みたいさ~~~~!

 ◆アカネ・グランドロン◆


 ネズミの獣人の女性。

 顔は人間寄りで、灰色の髪に茜色の瞳。中性的な顔。出っ歯が特徴的。

 これはネズミの獣人の特徴で、彼等のおよそ八割が出っ歯。

 女らしくしてほしいという親心で、尻尾に赤いリボンを付けられている。

 女性だが女性好き。竜騎兵を目指す三人組の一人。

 パートナーのワイバーンの名前は、アイン。


 一人称は「わちき」

 エルティナは「食いしん坊」

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