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食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第二章 身魂融合 命を受け継ぐ者
123/800

BBQ

「ヴォォォォォォォッ! やっぱり、ここの噴水はスゲェなっ!」


 この公園の中央にある、大きな噴水からは大量の水が噴き出していた。

 フィリミシアの水が豊かである証拠だ。


「興奮しすぎだエル。凄いのはわかるが」


「あ!? 一匹噴水に飛び込んだよ?」


 野良ビーストの一匹が噴水に飛びこんだようだ。

 犯人はすぐにわかる。

 前科三犯、野良わんこ『ぶちまる』だ。


「ぶちまるぇ……」


 何ですか? と、言ったふうに首をかしげる……ぶちまる。

 君はどうして何時も、ここに飛び込むのかね!?

 前世はダイバーか、お魚だったのか!?


「まぁ……いいか。よそ様に迷惑が掛からない程度に遊んでてくれ」


「わんわんぉぉうっ! わんっわんっ!!」


 ぶちまるが「ゆるされたっ!」と言った気がした。

 それに合わせて、野良ビースト達が思い思いの場所でくつろぎ始める。


「よし、俺達は昼飯の準備だ」


「おう、任せろっ!」


 噴水広場には、家族で楽しめるバーベキュー専用の広場があるのだが……

 準備や道具はもちろん、自分達で用意する。


「お~い! 係員さん! これからバーベキューするぞ~」


 俺は、この広場担当の係員に、火を使うことを告げる。

 こうしとけば、子供でもバーベキューができる。


 俺は『フリースペース』から超特大のバーベキューコンロを取り出した。

 こいつは特注で作ってもらった逸品だ。


「でかいな!? 学校の黒板くらいあるじゃないか!?」


「これくらい、でかくないと豪快に焼けないじゃないか」


 俺は『ゼログラビティ』をコンロに付与して持ち上げる。

 おぉ、軽い軽い。


「ここら辺でいいかな? 次は炭をおこすぞ!」


「よしきた! 任せろっ!」


 俺はコンロに、炭が入った箱を豪快にぶちまけた。

 そして、箱に火をつける。


「ライ! いいぞぉ! 存分にやってくれ!」


「うおぉぉぉぉぉっ!!」


 ライオットがでっかい団扇で炭を扇ぎ始めた。

 よしよし! 肉体労働は男の仕事だ! がんばれ!


 ……と、いうことは、俺も含まれるのかな?

 ふむぅ……でも、俺の場合は中身が男だし……なぁ?


「ま、いっか。次は鉄板と網だ」


 コンロに合わせて俺は、鉄板と網が半々に設置できるように注文したのだ!

 これで片方で焼肉、片方で焼きそば、といったことができるようになる!

 まぁ、網の上にフライパン乗せればいいのでは? 

 と、言うツッコミは無しで!

 こういうのは、雰囲気が大切なんだよ!(確信)


「ん~! いい感じに炭がおきてきたな! 次は食材の用意だ!」


 俺は買ってきた食材を、長~い鉄串に刺していく。

 俺とプルルが食べる分はキチンと食べやすくカットする。

 ライオットのは……問答無用で塊ごと、ブスリだ!


 肉、野菜、肉、野菜の順番で鉄串に刺していく。


「いやぁ~僕、バーベキューが好きでねぇ! ワクワクしてきたよ!」


「くうぃぃぃぃひっひっひっひ!」と、笑うプルル。

 テンションが上がってきているな!


 あとは調味料と食器類、飲み物と……こんなものかな?

 足りなければ『フリースペース』からまた出せばいいや。


「うんうん、鉄板もいい感じに温まったな! よし! 焼くぞ!!」


 俺は鉄串を、鉄板と網に乗せて焼き始めた。

 網の隅で、野良達用のやっすいスジ肉を炙る。

 もちろん味付けは一切無しだ。


 ジュワァァァァァァァァァァァァァッ!!


 鉄板に乗せた鉄串からは、美味しそうな音が豪快に!


 ジュ、ジュジュ……シュ~……!


 網に乗せた鉄串からは、美味しそうな音が静かに鳴っていた!


「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 興奮し過ぎだ! 二人共!


 その声に、野良ビースト達も集まってきた。

 一部は匂いがした時点で戻ってきていたが……


「うんうん、いいぞ~! 串をひっくり返して……あちち!」


 流石に火力が半端無いぜ!

 しばらく焼けるのをじっと待つ。

 ……そろそろ、いいかな?


「よぅし! これでも……くらいっ! やがれぇっ!」


 俺は鉄板の方に、赤ワインを振りかけた!

 

 ゴウンッ! と炎が立ち上がった!

 くくく! 何時見ても、この炎はいいものだぁ!


 最後に特製ソースで味付けと香り付けだ!


 ジュワァァァァァァァァァッ!!


 ソースが焦げて良い匂いを放つ。鉄板だからできる方法だ!

 網の方もいい感じに焼き上がったので、塩で味付けだ! 胡椒は好みで!


「っしゃ! できたぞ~!」


「ヴォォォォォォォォォォォォォッ!!」


 ……何かが暴走した時の声が混じってたような気がするが……気のせいだよな?


「ライオットのは……このくっそデカい肉の方な?」


「うほっ! 美味そう!」


 ライオット……涎でベロベロじゃないか。(呆れ)


「俺とプルルは、こっちの食べ易くしてある肉の方な?」


「んふふ……ありがとう!」


 プルル……おまえもか!(呆れ)


 二人は「いただきます!」と言ってガツガツ、ムシャムシャと食べ始めた。


「ふぁぁぁぁん! おいひぃ!

 お肉も柔らかいし……焦げたソースの風味が堪らない!」


「がふっ! がふっ! うががが! ごふっ! ごっふ! ガツガツ……!」


 約一名、完全に肉食獣に、なっているやつがいるが好評のもよう。


 俺は軽く炙ったスジ肉を包丁でスライスして、野良ビースト達にお裾分けした。

 それを美味そうに食べる、野良ビースト達。


「俺も串を食べるか……!?」


「おかわり!」


 おまえ等なぁ……結構多めに焼いたんだぞ!?

 特に、ライオットのは食べ切るまでに、相当時間が掛かる硬い肉だぞ?

 どういう顎の力してんだよ……?


 仕方ないので、俺は再び串を作る。ちまちまちま……


 それとは別に、俺は肉を鉄板に放り投げた。

 牛のモモ肉である。


 網の方は厚くスライスしたサーロインを焼く。


「あとは、トウモロコシに……マヨネーズを塗る。ぺとぺと」


 マヨネーズには、醤油とマスタードを混ぜてある。

 焼けたマヨネーズが、甘いトウモロコシに合うのだ。


「また何か作り始めたねぇ?」


「ふひひ、折角だから色々試すのさ」


 お次はランプの部分を薄くスライスして鉄板に。

 その上にスライスしたトマトと、ブルーチーズを乗せる。

 チーズが溶けてきたら完成。チーズの塩分があるから調味料はいらん。


「いただきます。はむっ! むぐむぐ……ふむ……まぁまぁかな?」


「もぐもぐ……シンプルで美味しいよ?」


 ブルーチーズの塩っ気と独特の風味。トマトの爽やかさ。

 牛肉のボリューム感。ふ~む、何かが足りない。

 やっぱり……何かソースを作って、かけた方がいいかな?


「うがが! 肉だ! 肉を寄越せ!」


 そろそろ、我慢できなくなると思ってたぜ!

 これでも食らいな!


 俺は鉄板で焼いていた牛モモ肉に

 オレンジソースをかけてライオットに渡した。


「うぉぉぉんっ! がふっ! がつっ! がふがふっ……!!」


 完全に野獣じゃないか……(白目)

 

 そうこうしてる間に、串の第二弾が完成した!


「よし、今度こそ食べるぞ!」


「くくく! 残念ながら、この肉は俺がいただいた!」


 そこには、焼き立ての串を手にした男が!


「げぇっ!? ダナン!!」


「ふははは! いただきます! はむっ!」


「う……うめぇ……!」と言って、天を仰ぎ大袈裟に涙を流すダナン。

 おまえは将来、役者か何かになるつもりか?


「おぅ、エル。もう体はいいのか?」


「やぁ、ガンちゃん。だいぶ良くなってきたからリハビリに

 バーベキューをしているところだ」


 しかし、珍しい組み合わせだな?

 何でまた、二人でここに?


 不思議そうな表情でもしていたのか、俺の顔を見てガンズロックが察してくれた。


「ダナンとは、偶々ここで会ったんだよ。深い意味はねぇ」


「ですよね~」


 偶々、公園に散歩に来た時に出会ったんだそうな。

 

 ガンズロック達を交えて、バーベキューは更なる盛り上がりを見せた!

 

「ほぅ……この牛モモは、酒のつまみにいいなぁ!

 かめば、かむだけ……良い味がでらぁ」


「ようは、ビーフジャーキーの元だからな」


 ガンズロックは、塩辛く味付けした牛モモが、お気に入りのもよう。

 ビール片手に、肉を一口、ビールを一口……と、交互に楽しんでいる。


「うん! やけたな! あとはレモンバターを乗せて……

 サーロインステーキの完成だ!」


 どどん! と、ビッグなステーキが完成した!

 焼き加減はもちろんレアだ!


「包丁で切った方が早いな……うん、いい色だぁ……」(うっとり)


 他にも、お肉の油をたっぷりと吸った

 長ネギやジャガイモも焼いたりした。


「うむ、いもいも坊や達も、美味しそうに葉っぱを食べているな?」


 イシヅカのポケットから出した桃先生の葉っぱを

 美味しそうに食べているいもいも坊や達。


 リボン坊やも、一緒に食べている。

 調理中は危ないので、肩からは下りて貰っている。

 やきいも坊や……に、なってしまったら大変だから。


「ふぅ、いいもんだなぁ……皆と食べる飯は」


 青空の元、家族や友達と食べる飯はとても美味い!

 いつまでも、こんな日々が続けばいいなと思う俺であった……

 

訂正 俺は軽く炙った筋肉 を

   俺は軽く炙ったスジ肉 に直しました。漢字が同じだったとは(汗)

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