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食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第二章 身魂融合 命を受け継ぐ者
122/800

フィリミシア中央公園

 ◆◆◆


 たのしいな。たのしいな。

 なかまといっしょ、ともだちといっしょ。


「いもいも坊や達は、リアカーにのってくれ~」


 える……えるて…………えるちん。

 えるちんが、おおきなはこに、ぼくたちのなかまをのせた。


「いくぞ~?」


 おおきなはこを、ひっぱるのは、ぼくをけっとばした

 おおきな、ひとねこ。


 えるちんのこぶんだ。


「ぐれーとらいおっと号……発進!」


 ごとごと……と、おおきなはこが、うごきはじめた。

 なかまたちは、おおはしゃぎ。

 じぶんであるかなくても、うごいていくから。


「おぉ、いもいも坊や達も、たのしそうだな?」


「んふふ……そうだねぇ? 自動で動く景色が珍しいんだろうねぇ」


 ぴんくのふわふわが、えるちんとおはなしして、わらった。

 このこは、えるちんのともだちだ。

 だから、いいこ。


「ライ~露店街で買い物してく~」


「あぁ、わかった。じゃ、俺達はここで待ってるからな?」


 ぼくは、えるちんの、かたにのってるから、いっしょにかいもの。

 

 えるちんが、あるくと、ぷぴっ! ぷぴっ!

 とても、ゆかいなおとがする。

 たのしいな。たのしいな。


 すこしあるくと、たくさんのひとで、いっぱいのところについた。

 

 みたこともない、いろいろなもので、あふれてる!

 すごいな。すごいな!


「これと……これと……」


 ぼくは、おどろいているけど、えるちんは、おどろかない。

 やっぱり、えるちんは、すごいな。すごいな。


 こんどは、ちがうところに、いく。ぷぴっ! ぷぴっ!


 そこには、おおきなひとがいた。

 おおきいな! おおきいな! えるちんより、おおきいな!


 そのひとは、えるちんを、もちあげた。


 わぁ、とってもたかいな! たかいな!

 いろいろなものが、よくみえる!


 したにおろされた、えるちんは、またいろいろ、みてあるいている。

 ぷぴっ! ぷぴっ! おとがするたび、ぼくはたのしくなる。


「おや? 肩に乗ってるのは……キャタピノンかぃ?」


 おおきな、ひといぬが、ぼくをみていた。


「ん? あぁ、いもいも坊やだ! 俺の家族さ!」


 かぞく? かぞくって、なんだろう?

 なかま、とはちがうのかな?

 ともだち、とはちがうのかな?


 わかんないや。でも……すてきな、ひびきだ。

 おぼえておこう、かぞく、かぞく、かぞく……


「待たせたなっ! おまえ等!」


 えるちんとぼくにきづいた、なかまたちがおでむかえ。

 いぬや、ねこ、とりも、おでむかえ。

 ひとねこも、ふわふわぴんくも、おでむかえ。


 うれしいな。うれしいな。


 なかまといっしょ。たのしいな。


「んじゃ、フィリミシア中央公園にいくかっ!」


 えるちんが、またあるきだした。ぷぴっ! ぷぴっ!

 ごとごと……と、おおきなはこも、うごきはじめた。


 みんなと、おさんぽ。たのしいな! たのしいな!

 これから、もっとたのしいばしょに、いくらしいよ。

 たのしみだな。


 ぼくは、えるちんのかたにのって、たのしいばしょにむかった……


 ◆◆◆


「到着っ! ……到着っ!! フィリミシア中央公園に……到着!!」


「なんで、そんなに感動してんだよ?」


 おバカッ! 魂痛で動けなかったんだぞ!

 ようやく、動けるようになって、自分の足でここまで来たんだ。

 感動せずしてなんとする!?


「ここに来るのも、久しぶりだねぇ……

 以前は、おじいちゃんと、よく来ていたけど」


「じっちゃん、また忙しくなったんじゃ?」


「まぁね?」と、プルルが少しさみしそうにいった。


 プルルのじっちゃんは、ゴーレムギルドの

 新しいギルドマスターに、されてしまったらしい。

 ゴーレムを、いじる時間が減ると嘆いていたそうだ。


「まぁ……それは仕方ないさね? 適材適所だよ」


「そんなもんかぁ……」


「エルも、一応『聖女』なんだろ? それと同じなんじゃないのか?

 『聖女』の活動、見たことないけどな?」


 おまっ!? 一応って何だよ!?

 確かに、人前じゃフード被って素顔を見せないようにしてるけど

 祭事の時には、色々と儀式やら何やらで、がんばってるんだぞ!?

 こう見えても、俺は忙しい身なのだよ! ライオット君!


「ふぅ……これだから、おこちゃまは困る。

 そのうち、おれの『聖女』っぷりを、見せつけてくれるわ!」


「お? カブトムシみっけ!」


 ……聞いてねぇし。

 もういいよ! ぷんすこ! ぷんすこ!


「よし、それじゃ……色々と見て回るか!」


 俺はカブトムシと戯れているライオットを呼び戻し

 散歩を再開した。ぷぴっ! ぷぴっ!


「ここが、遊具が設置されている場所だな」


 俺達は公園を入り口から、右回りに見て回ることにした。

 俺達が入った入り口は南。

 つまり、遊具施設は東にあるってことだ。

 公園は円状に作られており、東西南北に入り口がある。


 北には、露店や花壇が設置されていてる。

 西には、ここと同じく遊具が設置されているが、内容が少々違う。

 東は幼い子供向けに対し、西は大人向けなのだ。


 そう、大の大人が楽しめる、遊具が設置されているのだ!

 ロッククライミングや、家族で楽しめる大きなブランコ。

 大人用の大きな鉄棒。

 ……たまに、ただ、ぶら下がってる人がいるが

 おそらく背筋を伸ばしてるんだろうな。


 等々、大人も楽しめる公園なのだ。

 尚、トイレは東西南北に加え、中央の噴水広場にもあるので安心だ。

 そして、驚くことに水洗トイレである。


 流石、チート! 

 と、思っていたが……考えたのは、なんとデルケット爺さんである。


 デルケット爺さんも、実はその筋のチート? かと思っていたが

 ただの綺麗好きで、何時かこんなものができないかな?

 と、フウタに相談したのだそうだ。

 

 結果、ご覧のありさまだよ!

 しまいには、町全体の下水道を大改修する事態に発展。

 今や各家庭に水洗トイレがあるという。

 ヒーラー協会の施設だけ、かと思っていたが……そうではなかった!

 流石、チート様だぁ……(感謝)


 この案に、王様も便乗した結果が、町の下水道整備だ。

 これによって、病気が激減しているみたいで大喜びだ。

 この工事は今から七年前から始まって、魔族との戦争で一時止まっていたが

 戦争終結から少し経って、また再開されている。

 現在も工事中だ。完成までには、あと十年程度かかるそうだ。

 

 王様は最終的に、スラム地区にも水洗トイレを設置したいらしい。

 同じ国民なのだから……と言う、王様を慕うスラム住人は多い。

 

 俺も月に数回、護衛を連れて治療に向かうが……

 正直、きちゃない。臭い。おんぼろだ。

 と、見事に不衛生であった。

 俺もスラム地区を、何とかしてあげたい。


「少し……ここで休憩するか」


 俺はブランコに乗って漕ぎ出した。

 ゆらゆらと前後するブランコ。

 最後に乗ったのは、何時のことだろうか?


 肩に乗っているいもいも坊やが、大はしゃぎしている。

 周りを見れば、野良ビースト達が走り回ったり

 シーソーの上にびっちりと乗ってたりと、彼等も大はしゃぎだ。


 リアカーに居た、いもいも坊や達も、ライオットに連れられて

 鉄棒の上や砂場で、いもいもしている。


 そして、ムセル達は……


「おいぃぃっ!? イシヅカ! そこは、公共施設だ!

 畑を作ろうとするんじゃない!」

 

 ポケットからクワを取り出し、農作業を開始していたイシヅカを止める。

 ……油断も隙もないやつだ。


 あれ? ツツオウはどこ行った?

 さっきから見当たらん。


「お~い! ツツオウ!」


「にゃ~ん」


 ……花壇で寝てたのか。

 見分けが付かないから、そこで寝てはいけませんっ!


 ゆらゆらと揺れる、ツツオウのタンポポ。

 風に揺られて気持ち良さ気だった。


 まったくもう、ムセルを見習って大人しくして欲しいものだ。

 ……あれ? ムセル?


「おや? あんなところに、ムセルがいるよ?」


 プルルの指差した場所にはムセルがいた。

 問題はその場所だ。


「ムセルぇ」


 何故か高い木の天辺にいた。

 どうやって登ったし?


 ムセルは、しきりに辺りを見回していた。


 ……あぁ、そうか。

 ムセルは周囲に危険が無いか、見てくれていたのか。

 ムセルは良い子だなぁ……(涙目)


「ムセル~! そろそろ移動するぞ~!」


 俺の声に気付いたムセルが……空をローラーダッシュしてきた。

 そういえば、ムセル……空を飛べるようになったんだったな。


 両足に桃色の光を纏って、空を滑るムセル。

 俺も飛びたいぜ!


「いもいも坊や達は、全員ぐれーとらいおっと号に乗ったか?」


 俺は全員居るかどうか、点呼を取った。


「全員、一列に並ぶんだっ。よし、番号!」


 いもっ! いもっ! いもっ! いもっ! いもっ! いもっ!

 いもっ! いもっ! いもっ! いもっ! いもっ! いもっ!


「よし! 全員居るな! ぐれーとらいおっと号出発だ!」


「い……今ので、わかったのか? エル?」


 ライオットが、不思議そうに聞いてきた。

 むしろ、これでわからない君が不思議だ。


「きちんと、番号を言ってたぞ?」


「俺には、こいつ等が足を動かしていた……ようにしか見えんが?」


 むぅ……これはライオットがおかしいのか、俺がおかしいのか……?

 どっちだ?


「僕も、キャタピノンが足を動かしてるだけ……に、見えたけど?」


 ああん! プルルまでっ!?

 これで、俺がおかしいことが決定してしまったじゃないか!(悲劇)


「俺には聞こえるんだ。いもいもっ! って」


「そっか。まぁエルだしなぁ……」


「んふふ……そうだねぇ。食いしん坊の特殊スキルなんじゃないかな?」


 特殊スキルか……そんなこと思ったこともなかったな。

 でも、漠然とそんなことを言ってる気がする……程度なんだよな。


「ま、いっか! そろそろ行こうぜ!」ぷぴっ! ぷぴっ!


 俺達は再び、公園を散歩し始めた。

 ぐるりと一周し終えた頃には、丁度良くお昼になった。


「よぅし! 計画どおり!!」(暗黒微笑)


「その顔は昼飯だな!?」


 何故わかったし?

 でも、そのとおりなんだがな。


「野郎共! 中央の噴水広場に……のりこめ~」


「わぁい!」と、言って……ライオット達は噴水広場になだれ込んだ。

 さぁ! 楽しい昼飯だ! 露店で買ってきた食材が火を噴くぜ!


 俺は心躍らせながら……歩いていったのだった。

 ぷぴっ! ぷぴっ! ぷぴっ! ぷぴっ……

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