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食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第二章 身魂融合 命を受け継ぐ者
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ぷぴっ! ぷぴっ!

魂痛から四日目の朝……


「ふっかつ! ふっかつ!」


俺はベッドから起き、両足で立っていた!

やっとこれで、魂痛から解放されたのだ!


「ふっかつ! エルティナふっか痛っ!?」


調子に乗って、飛び跳ねたら痛かった。

……まだ完全ではないようだ。

しかし、この程度なら我慢できるので問題ない。


「よし、朝飯食ってリハビリがてら散歩だ!」


俺は慎重に歩き始めた。

ゆっくり歩けば痛みはない。……いける!


「ふひひ……歩けるって、すぅんばらしぃ!」


よし……着替えよう。

グランドゴーレムマスターズで着れなかった

豚の着ぐるみセットを着ていこう。


がさ、がさ、がさ……じ~~~~~~~~……


そこには……ピンクの子豚が誕生していた!

ちゃんと、くるくるの尻尾も再現されている。

もちろん靴も、豚の足を模して作られている。

完成度たけ~な! おい!?


最後に……椅子に座って靴を履けば完成だ!


「これでよし! ユクゾッ!」


ぷぴっ! ぷぴっ!


「これもか……いや、たぶんそうじゃないかな~?

 とは思っていたが」


取り敢えず……食堂に向かおう。そうしよう。

朝ごはんが俺を待っているぅ!!


ぷぴっ! ぷぴっ! ぷぴっ! 


◆◆◆


食堂なう。ぷぴっ! ぷぴっ!


「おや? もう歩けるんですか?」


「飛び跳ねるとまだ痛むけど、歩く分には問題ない」


食堂で居合わせた、ヒュースさんと軽く会話する。

他のヒーラー達も寄ってきて、俺を心配してくれた。

まぁ、普段くっそ元気なやつが、動けなくなったら心配するか。


「心配かけたな。俺はもう、大丈夫だぁ~」


俺はガッツポーズをとってアピールした。

その様子に安心したのかヒーラー達に笑みが生まれた。


その様子に俺も安心する。

そして、安心したら急激に腹が減ってきた。

さぁ、朝ごはんを食べるぞ~! ぷぴっ! ぷぴっ!


「さてさて、今日の朝ごはんは……?」


献立は、焼き立てのトースト、目玉焼き、カリカリベーコン、サラダに牛乳。

そしてオレンジ……


「何時もどおりだな!」


安心と信頼の献立だった。


「いただきます!」


俺はまず、トーストを四つに分けた。

これには理由がある。


「献立が変わらないのなら……食べ方を工夫すればいい!」


というのが、俺の結論だった。

まず、初めに牛乳を一口。


「ぷはっ! いいぞ~牛乳! 俺をビッグなやつにするのだ!!」


最初の一切れは目玉焼きと合わせる。

俺の目玉焼きは、黄身が半熟になるように頼んでいる。

その黄身を突いて破る。

トロリとした黄色い液体が溢れてきた。

そこに醤油を少し垂らすのだ。


「こいつを一口……うん、美味い!」


やっぱり、目玉焼きには醤油だな。

シンプルに、塩でもいいが……俺は醤油派だ。

ケチャップや、ウスターソース、タバスコで食べる猛者もいる。

まぁ、自分の好みに合ったタレで食べるのが一番だ。


続いて、その目玉焼きを半分にして

四つに分けたトーストの一つに乗せて……ぱくっ!


トーストのサクサク感に、目玉焼きの滑らかさがマッチする。

醤油で引き締まった、黄身の甘味が堪らない。


ここでまた、牛乳を飲む。

今度は半分になるまで飲むのだ。……ぷはっ。


「次はお前だ! カリカリベーコン!」


こいつも、先程と同様に一口味わってトーストに乗せ……ぱくっ!


サクサクなトーストに、カリカリのベーコン!

猛烈な歯応え! この食感が楽しい!

そして口に残る、ベーコンのジューシーさ! おいちぃ!


「サラダで口をさっぱりさせて……次は全部乗せだ!」


三つめのトーストに、オレンジを残し……全てドッキングさせる。

この献立の最終形態だ。


……だれだ!? 牛乳が入ってないって言ったやつは!?

ケツにタバスコぶち込むぞ!?


ざくっ、しゃくっ! かり、かり……もきゅもきゅ……ごくん!


「うめぇ……! 食感のオーケストラやぁ……!」


様々な歯応え、音、味で俺を満たしてくれる。

合間に牛乳を飲み干す。ぐびぐび……か~! たまんねぇな、こいつ!

そして、全部乗せを腹に納めた後……


オレンジを食べ、口をさっぱりさせて、朝ごはんを終えるのだ!

おぉう! ぱーふぇくとっ!


「ごちそうさまでした!」


俺は食べ終わった食器を下げて食堂を後にした。

ぷぴっ! ぷぴっ! ぷぴっ! ぷぴっ……


◆◆◆


ぷぴっ! ぷぴっ! ぷぴっ! ぷぴっ!


「桃先生、ご無沙汰してました」


俺は桃の聖域にて、久しぶりに桃先生の芽に会っていた。

桃先生の芽の周りには、相変わらずいもいも坊や達が、いもいもしている。


「いもいも坊や達も元気そうだな?」


俺の言葉に、短い足をふりふりさせて答える、いもいも坊や達。

そこにイシヅカがやってきた。


「イシヅカおまっ」


イシヅカは……麦わら帽子にオーバーオールを着ていた。

更に籠を背負い、手にはスコップやクワを持っている。


「完全に庭師のおっさんじゃないか……」


イシヅカはオーバーオールから如雨露を取り出して

桃先生の芽に水をあげていた。

オーバーオールの腹の部分にポケットが付いているので

そこを『フリースペース』としているのだろう。

見たまんま『よじ〇んぽけっと』である。

赤褌から取り出すより、はるかに良くなった。うんうん。


そして相変わらず、丸くなっているのはツツオウである。

頭のタンポポが、風に揺られて気持ち良さげにしていた。


「にゃ~ん」


俺に気付いたツツオウが挨拶をしてきた。


「おう、おはようツツオウ。元気にしてたか?」


「お? エル、もう動けるのか?」


そこに、ライオットとプルルがやってきた。


「やぁ、食いしん坊。体の方は……いや、魂か。

 魂痛は、もういいのかい?」


「まだ、少し痛むけど……無理しなければ大丈夫さ」


その言葉にプルルは……


「無理しなければ……ねぇ? しない自信は?」


と、聞いてきたので、俺は……


「ない!」


と、即答した!(ドヤ顔)


「ダメじゃないか」


と、すかさずツッコミを入れてくれる相方のライオット。

すっかりツッコミ役がさまになってきたな。


「お? エルティナ君おはよう! もう良いのかい!?」


俺の後ろから、やたら元気なあいさつが飛んできた。


「ややっ!? その声は!?」


俺は振り向いた。ぷぴっ!

ムセルを抱えた、ゴーレムファイターこと……フォウロ・キョウダがいた。


「おはよう! ゴーレムファイター! ムセルも、おはよう!」


エスザクの腕を上げて、挨拶の代わりとするムセル。

うんうん。だいぶ馴染んできたな。


「ムセルはほぼ、修理……いや、治療は終わったよ。

 いや、大変だったよ! 特に左手がボロボロでね?」


「う……やっぱり『裂破桃撃拳』の威力に、腕が耐えられなかったのか……」


本来、俺がムセルに『ヒール』を施せば、よかったのだが……

残念ながら俺は魂痛で、まともに動くこともできないでいた。

ましてや「魔法なんてとんでもない!」と、皆に止められていたのだ。


自室に戻ってから、じっくりと丁寧に治してやろうと思ったのが仇となった。

いきなり魂痛になるとは、だれが予想できたであろうか!

……絶対いねぇっ!(確信)


そのままにしとくのは、かわいそうなので

見舞いに来たプルル達に頼んで、ムセル達の治療を頼んだのだが……


「でも、まさかゴーレムファイターが、治してくれたとは」


「なに……これくらい、お安い御用さ」


やだ……ゴーレムファイターすてき! ほれてまうやろがっ!


「そうだ、会えたついでに『ゼンバネンス帝国』のことについて教えておくよ」


「よろしく、ゴーレムファイター。俺も気になっていたんだ」


ゴーレムファイターは「わかった」と言って

『ゼンバネンス帝国』のその後について語り始めた……

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