表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第二章 身魂融合 命を受け継ぐ者
106/800

「ぐ……『陰の力』が通用しなくとも……こいつは、どうだ!?」


 ギュンターは、みどりちゃんに再び攻撃をさせた。

 俺に、向かって来るのは……ナイフ!?

 なんじゃそりゃぁっ!? どこに、隠してた!


 ぬあぁぁぁぁぁぁっ!?

 もう、反則ってレベルじゃねぇぞっ!?


 俺は運動能力が……すでに、お亡くなりになっている

 よって、避けることはできない。

 よ~するに……だ。


「オワタ!?」


 俺の目の前まで、ナイフが迫る!

 が……ナイフは俺の顔にブッスリと刺さることはなかった。

 ライオットが寸前で、ナイフを掴んで止めてくれたのだ。

 

 ライ様、ステキ!


「随分と……好き放題やってくれてるじゃねぇかっ!?」


「そうだよ? これは、明らかな反則だよ……ねぇ?」


 プルルがリィカさんに、抗議の視線を向ける。

 でも……ゴーレムファイターの話だと

 上からの圧力で公正な審判ができない……って、言ってなかったか?


『ギュンター選手! 重大な反則ですよっ!

 この試合はチーム「ゼンバネンス帝国」の反則負けですっ!!』


 いったぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

 圧力に負けず言ってのけたっ! そこにシビれる! あこがれるぅぅぅっ!!


『リィカッ!?』


 ゴーレムファイターが、おどろいておもわず名前を呼ぶ。


『いや、それでいい。我々も覚悟を決める時だ。それに……』


 と、ザッキー・タケヤマが続く。


「くかか……いまさら、こんな遊戯など知ったことか!

 今の攻撃で、貴様は『陰の力』は防げるが……

 通常の攻撃は、防げないことがわかった」


 そこまで言ったギュンターがフードをとって素顔をあらわにした。

 俺たちは驚いた。なんとギュンターは幼い少女だったのだ!


「くくく……なにを驚いている? この子供の体は、仮初めの体……

 貴様たちが『みどりちゃん』と、呼んでいるのが我が肉体よ」


 このやろう……俺の弱点を見つけて調子ぶっこいてんなっ!?

 だが、自分から貴重な情報を漏えいしてやがる。あほぅだな。(確信)

 思う存分……漏えいしていってね!?


「生身の体とちがい、その作り物の体は成長が早い。

 そこで、我は己の意識を分けたのだ。

 片方はこの小娘に、もう片方はその玩具にな」


「ようするに……おまえはオバケみたいなヤツで

 その子と、みどりちゃんに取り憑いてる……って、ことかっ!?」


 そこでギュンターは、愉快そうに笑いだした。

 ゲラゲラゲラ……と。

 極めて不快な笑い声だった。……殴りたい、その笑顔!


「傑作だったわい。

 この小娘を救いたいばかりに、自分の体を差し出しおった!

 玩具の分際で、騎士気取りとは恐れ入った」


「てめぇっ!!」


 ライオットが、ギュンターに殴りかかった!

 まてまてまてっ!? ライオットが殴ったら、女の子が危な~い!


 だが、ギュンターに当たる寸前で、ライオットの拳が止まった。

 自分で止めたようには見えない。

 

「……!? なんだ、これは! 体が勝手に止まった!?」


「くかか! 本来『陰の力』の前では、全ての生命は無力よ!

 それは、貴様が無意識のうちに……我をさけているのだ。

 触れたくない、関わりたくないとな。

 故に我には、いかなる存在も倒すことはできぬっ!」


 そう言って……俺を見た。

 その目に憎悪の光を宿して。


「そうだ! 貴様ら『桃使い』が、いなければ……

 我らには、恐れるものなど無いのだ!!』


「そうですか、貴重な情報の提供ありがとうございました。

 あ、そうそう。おまえ……アランって奴、知ってるのか?

 知ってたら……全部ゲロって貰おうか!?」


「うわっ!? エル……おまえ、そんな凶悪な表情を、することができたのか!?」


 どうやら、ライオットも引くほどの顔になっていたようだ。

 まぁ、しょうがないね。……アランの情報だし!

 ここにきて、ようやく手に入るかもしれない情報だ!

 絶対に手に入れて見せる!


「くかか! あの若僧のことなど知ってどうする? 想い人か?

 ならば、我を倒して聞き出してみろ? 小娘が!」

 

 人をバカにしたような言い方で挑発してきた。

 ビキビキビキッ! 俺は当然キレたっ!!


「やろうっ! ぶっころしてやらぁぁぁぁぁぁっ!!」


「いやいや!? 殺したらダメだよ食いしん坊!」


 はっ!? おれはしょうきにもどった!


 そうだった! ギュンターは、女の子に取り憑いているだけで

 女の子に罪は無かったんだった!

 同様にみどりちゃんも、操られてるだけで主を助けたい一心で……

 いったいどうすれば!?


「そこまでだ『ゼンバネンス帝国』! お前達の背後にいた

 ゴーレムギルドのギルドマスター『マウゼン・キュライム』は、すでに自首した!

 そして、マウゼンを操っていた者も捕まるのは時間の問題だ!」


 俺が迷っていると、颯爽とあらわれた者がいた!

 誰だっ!? ……なんだ、チートさんじゃないですか!


 そこに、あらわれたのはフウタ・エルタニア・ユウギだった。

 ……フルネームなっがぃ!? まぁ、俺もなんだが。


「フウタ!? なんでここに!?」


 とりあえず驚いておく。俺はできた大人だから。

 外見は幼女だけど……気にしたら負けだとおもう。


「前々から、ゴーレムギルドのことが気になって内密に調べてたのさ。

 一応、ゴーレムマスターズに携わった身だしな?」


 そう言えば、登録の機械作ってたな。

 

 ゴーレムギルドの闇は深そうだが……

 チートが、ガサいれに入ったらもう終わりだな。

 いかさまレベルの、情報引き出しや工作で丸裸にされるにちがいない。

 

「ふん……今さら、それがどうだと? 貴様ごときが我を止めれると?

 くかか! ……やってみるがいいっ!!」


 操られているみどりちゃんが、フウタに向けて『憎しみの光』を放った!

 フウタはそれを、余裕でかわすが……

 後ろの観客席に『憎しみの光』が命中した!


「し、しまった!?」


「くかか! いくらでも……かわしてもいいぞ?

 その度に、そこらに居る下等生物どもが、食われていくだけだからな!」


 あ~! 観客に被害がっ!?

 くるるぁっ!? なにやってんだチートッ!? もっとしっかりしろ!

 ちょっと期待した俺のドキドキを返せ!


 でも、これはマズイ! 本格的に、どうにかしなければ!

 そして、めちゃくちゃになった大会を正常に戻さなくては!

 反則負けで、優勝してもどうにもならん!

 あんにゃろうは……あくまで『ゴーレムマスターズ』の試合でぶっとばす!


 俺は脳をフル活用して考えた。

 ぷすぷす……いかん! 熱暴走だ!?

 そして、俺は静かに考えることを止めた。


 ぬわぁぁぁぁんっ! 考えつかないよぅ!!(涙目)

 どうするっ? どうするっ!? たすけてっ!


 はっ!? 『てぃん』ときた! なんで忘れていた!

 こまった時の……


「おいでませ! 桃先輩!!」


 俺の手にあらわれる未熟な果実。

 我らの『桃先輩』だ!


「おぉ、ひさしぶりだなエルティナ。今日はどうしたのだ?」


 のんきなあいさつを、してきた桃先輩。事態は急をようします! 


「たすけて桃先輩! ギュンターがいじめるよう!」


「ギュンター?」


 桃先輩がギュンターの方に振り(?)向く。

 そして……あわてた。


「エルティナ! おまえは何と戦っているんだ!?

 身魂融合! いそげっ!!」


「お、応! 身魂融合!!」


 俺はむしゃむしゃと、桃先輩を食べた。


 ぬぬっ!? 少し甘味が出てきた。

 前よりも食べやすいぞっ!?


「桃先輩が美味しくなった点について」


『あとにしろっ!』


 あぁん。怒られた。


 俺は脳内で会話する桃先輩に怒られてしまった。

 なんで、脳内会話なんだ?

 いつもどおり、俺の口で話せばいいのに?


『あれは……「鬼」だっ! なぜ、この世界に存在している!?』


『あれが「鬼」? ギュンターは、女の子に取り憑いているオバケだぞ?』


 俺も脳内会話に切りかえて桃先輩と話す。

 鬼って普通、角はえてるよね? ギュンターは無いからオバケだろう?


『「鬼」とは、負の感情……つまりは「陰の力」に意識が宿った存在だ。

 通常は肉体を持たず、他の生物に取り憑いて悪さをする』


『取り憑かれたら助からないのか?』


 桃先輩は少し考えて言った。


『可能性はあるが……難しいな。あの子を救いたいのだな?』


『ゴーレムの方もだ。あの子のために……あんな姿にされたんだ』


 桃先輩は、ため息を一つ吐いた。

 そして、そのあと……笑って言った。


『まったく、相変わらず……むちゃなことを言う。

 少し、無理をさせるぞっ! 覚悟はいいかっ!?』


『応っ! どんとこいっ!』


 むちゃなんて、いつものことだ! 問題ない!

 桃先輩と力を合わせれば……きっと、できるはずだ!

 俺は闘志を燃え上がらせていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ