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食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第二章 身魂融合 命を受け継ぐ者
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GGMファイナル!

「さぁ、そろそろ時間だよ? 準備は、できてるかい?」


 ムセルの腕が治ったあと……

 残った時間を、決勝戦の準備に費やした。


 ゴーレムファイター達は一足先に会場に戻っている。

 シアも、最後の戦いを見守るそうだ。


 腕が治った。とはいえ……戦闘には不向きな腕になった。

 そこで、ムセルに再び武器を選んでもらっている。

 自分の体のことだ……ムセル自身が、よく分かっているだろう。


 変わった部分は……ヘビィマシガンを、左手に持ち替えている。

 右手には、なんとパイルバンカーをくっ付けていた。

 そして……腰に片手斧をマウントしてある。

 エスザクが愛用していた物だ。

 あとは左肩に、六連ミサイルポッドを付けている。

 これが、今のムセルのベスト装備なのだろう。


「あぁ、オッケーだ! ムセルも問題無いか?」


 俺の言葉に、うなずくムセル。


「シシオウも万全だぜ」


 ツツオウも、大丈夫だ! と、うなずいた。


 ん? ツツオウの頭の草がつぼみを付けている。

 もう少しで、咲きそうだな。


「よぅし! 『モモガーディアンズ』出撃だっ!!」


「「おーっ!!」」


 気合を入れて、選手控室から出る俺達。

 さぁ、行こう! 決戦の地へ!!


 ◆◆◆


『波乱続きの今大会も、いよいよ決勝を残すのみとなりました!

 初出場ながら、破竹の勢いで勝ち上がって来た……

 チーム『モモガーディアンズ』!

 同じく、初出場のチーム『ゼンバネンス帝国』!

 このチームの、得体の知れない攻撃を、どう攻略するのか!?

 そこが『モモガーディアンズ』の

 勝敗を分けると言っても、過言ではないでしょう!』


『この両チームのゴーレム達は、じつに多くの可能性を秘めています。

 その秘めた力を、どれだけ活かせるか?

 そこが、勝利の鍵と言えますね』


 ゴーレムファイターとザッキー・タケヤマの声が聞こえる。

 今、俺達は通路で待機していた。

 呼び出されてから入場するからだ。


「試合……がんばってね?」


 案内のお姉さんが、俺達を応援してくれた。


「おう! 任せておけっ!

 あんなやつ等……『けちょんけちょん』にして差し上げるわっ!」


「その意気よ」と言って……クスクス笑った。


『それでは! 両チーム! 入場!!』


 呼ばれた。

 いざ行かん! 戦いの場へ!!


「いってきます!」


「にゃーーーん!」


 俺達の声が重なった。


「いってらっしゃい」


 案内のお姉さんが、手を振って見送ってくれた。

 泣いても笑っても……これが最後の戦いだ!

 絶対に勝って、笑って終えるぞムセル!


 俺達は、大歓声が沸き起こる試合会場に向かう。

 堂々と胸を張って!


 会場に入ると、さらに大きくなる歓声!

 耳が痛ぇ!?


『チーム「モモガーディアンズ」が入場して来ました!

 おっと? ムセルの腕が治ってますね?

 その腕はなんと!? エスザクの物ではありませんか!?』


 ゴーレムファイターの、白々しさに吹き出しそうになった。

 うん、彼も自分で言っていて、恥ずかしい様子だった。……仕方ないね。


 でも、その言葉で……会場は、さらに盛り上がりをみせる。


「ライバルの遺志を受け継ぐ……か。

 ちくしょう! 燃える展開じゃねぇか!!」


「おらぁもう! 『モモガーディアンズ』の応援一択よ!!」


「頑張れぇぇぇぇ!! モモガーディアンズ!!」


 会場の人達は、どうやら俺達を応援してくれるようだ。


「ムセルゥゥゥゥゥッ!!」


「ツツオウゥゥゥゥゥゥッ!!」


「イシヅカさぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」


 何故にイシヅカだけ『さん』付けなんだ?

 解せぬ……


「わお~ん!」「にゃ~ん!」「ちゅちゅ!」「ちゅ~!」


「も~!」「め~!」「……はっ!」


そして、我らが野良ビースト達の熱い応援!

勇気百倍だぜ!


そして、リングに辿り着く。

そこには……「ゼンバネンス帝国」がすでに待機していた。

リングを挟んで対峙する俺達。

俺達はムセル達をリングに上げた。


『さぁ! 泣いても笑ってもこれが最後の試合です!

 決戦のフィールドは……おっと!? 「ノーマルリング」だ! 

 これは珍しい! 障害物は一切無し! 完全に実力が試されるリングだ!』


『これは……「モモガーディアンズ」最悪のリングで戦うことになりましたね?

 イシヅカの作戦も、ツツオウのあの不思議な力も

 特殊なリングが、あってこそです。

 勝利の鍵は、ムセルがどこまで頑張れるか……に、かかっているでしょう』


 たしかに、フィールドの恩恵は受けれないかもしれないが。

 そんなの関係ねぇ! 

 予選の強敵達を、このリングでやぶって……ここまで来たんだ!


「ムセル! 俺達を、兄弟を! 自分を信じろ!

 そして……エスザクの無念を晴らすんだ!」


「シシオウ! ここまで来たらもう何も言わねぇ!

 思う存分……暴れて来い!!」


「にゃーーーーーーーーーーんっ!!」


「イシヅカ……頼んだよ? 必ず……無事に戻っておいで」


 俺達はムセル達を激励して送り出した。

 そうだ、最後に……

 俺は桃先生を召喚する。


「ムセル! イシヅカ! ツツオウ!」


 ムセル達は、振り向かずに止まった。

 その姿は……まさに戦士のもの。


「桃先生と俺の名において……祝福を授ける。

 行って来い! 『モモガーディアンズ』!!」


 俺は全身全霊で、ムセル達を祝福した!

 淡い桃色の光をまとって、再び歩き出す『桃の戦士』達。


 そして、遂にリング中央で対峙するムセル達とみどりちゃん達。


『み……みどりちゃんが、また大きくなっている!?

 その大きさは……百八十センチメートルにも及ぶでしょうか!?

 大き過ぎるっ!』


『チーム「アークジオ」のゴーレム達を食べて、成長したのでしょうか?

 やはり、このゴーレムは……』


 大き過ぎる。

 ムセルが豆粒みたいだ。


「くくく……機は熟した。この茶番もこれで終わりよ。

 お前達の絶望を食らって、我が肉体は完成する。

 さぁ……お前達の絶望を食わせろ!!」


 また、ギュスターが訳の分からんことを、言ってきた。


「はんっ! ムセル達を食べるだと!?

 おまえには無理だ! 

 うちのムセル達を、甘く見ないで……もらえませんかねぇ?」


 そう言って、俺はギュンターを睨みつけてやった。

 渾身の睨みだ! たぶん、おしっこ漏らしてるな! アイツ!


『それでは、両チームよろしいですか!?』


 審判のお姉さん……リィカさんが最後の確認をしてきた。

 それに、うなずく両チーム。


 リィカさんは、目を閉じ……


『グランドゴーレムマスターズ……ファイナルッ!!

 ゴーレムファイトォ! レディィィィィ…ゴォォォォッ!!』


 と、裂帛の気合を込め…試合の始まりを宣言した!


 ガビシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!


 みどりちゃんが、いきなり『憎しみの光』発射した!?

 なんだそれ!? 聞いてないよ~!?


 不意を突かれた形になり、反応が遅れたムセル!

 そこに……イシヅカが割り込んだ!


「イシヅカッ!?」


 プルルが悲鳴を上げる。

 そして……『憎しみの光』はイシヅカに当たり……四散した。


「なんだと! 馬鹿な!?」


 ギュンターが、驚きの声を上げた。


「ふぁっ!?」


 ついでに俺も上げた。どういうことだっ!?

 説明プリーズ!


「おのれ!? 貴様ぁ!!」


 と、声を荒げて、俺を睨みつけてきたギュンター。

 なんだって言うんだ!?


「桃使いかっ!!」


「!!」


 そう言えば、エスザクと戦っている時も、そんなことを口走っていたな。

 でも、ピンポイントで俺が桃使いだと……あ!?

 やっべ! 桃先生手に持っていた。

 こりゃ……しっぱい、しっぱい! てへぺろ。


 でも、これを逆手にとり……強気で対応して

 ギュンターを、ビビらせてくれるわ!!


「だったら、どうだって言うんだ!?

 おまえの言う『絶望』とやらで『桃使い』を『桃の戦士』を

 どうにかできると……考える。

 その浅はかさは、愚かしい! そもそも……」


「長過ぎだねぇ……簡潔に、まとめて言おうよ?」


 プルルに止められた。

 ああん! これからが、盛り上がるところだったのに!

 仕方ない……簡潔に、まとめて言ってやろう!!


「おめぇ、桃力で、ぶっとばす!」


「くわぁっ!! 賢しいわっ! 見たところ『見習い』風情ではないかっ!

 何故、あそこまでの『陽の力』を、使えたかは知らぬが……

 貴様が『桃使い』である以上、容赦はせぬ!」


 そう言って、みどりちゃんが俺に向かって『憎しみの光』を放ってきた。

 俺は避けない。避ける必要が無いと……感じた。

 それは正しく『憎しみの光』は、俺に当たる前に……四散して消え去った。


「おまえの力で、俺を傷つけることは、できないようだな!?」


「き……貴様は、いったい!? その異常な『陽の力』は……!?」


 驚きと恐怖で、顔が歪むギュンター。

 今まで、自分が食ってきた感情に襲われている。

 滑稽な姿だった。


 これで、もう怖い物は無い。

 思う存分……戦え! ムセル達よ!!

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