表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
食いしん坊エルフ  作者: なっとうごはん
第一章 珍獣と聖女と仲間達
10/800

10食目 新米聖女の日常

どうも皆さん、エルティナです。

中身はおっさんです。ふっきゅん。


さて『王都フィリミシア』についた途端、聖女様に祭り上げられてしまって

早くも一週間が過ぎた。


この一週間、元いた世界の小学校くらいある大きさの建物『ヒーラー協会』にて

生活をしていたのだが、この大きさの理由はこの建物内にマイアス教会の

大聖堂も入っているからだ。

よって建物の外観も、ありがたみを感じる落ち着いた白で統一されている。


ヒーラー協会の建物は三階建てで、一階に治療室やマイアス教の大聖堂、

待合室や受付が設置されている他、数部屋の使っていない部屋と

ギルドマスタールームがある。

更には一般の人々も利用できる大食堂もあるのだ。


二階にはヒーラーを育成する教室やサブギルドマスタールーム、

マイアス教に関する資料や、治癒魔法に関する本が収められている

図書室がある。

そして、何故かとても大きな風呂があった。

旅館施設にある、数十名入浴しても大丈夫なくらいバカでかい風呂だ。

この風呂の湯は温泉から引いてきているので、肌がツルツルになるらしい。

意外に知られていないが、ここの風呂はだれでも入れる。

よく腰痛のお婆ちゃんがここを利用しているのを見かける。


三階は物置に使っているらしい。勿体ないことだ。


そして俺は、ヒーラー協会の一室を俺用の勉強兼、宿泊施設に宛てがわれ

そこを拠点にして生活することになった。

そして毎日毎日、治癒魔法のお勉強だ。

これもお金のためなので我慢、我慢……と、言い聞かせながら

コツコツと使える治癒魔法を増やす日々である。


尚、このことは授業で学んだことなのだが……

この世界では魔法を、基本無詠唱で使うのが一般的らしい。


ヴォー! 俺、無詠唱してる! 遂に俺はチート主人公だぞぉ!!

と、思ってウハウハしてた感動を返せ。


特に初級の日常魔法なんか、主婦が鼻歌交じりに使える程度のものである。

ああ、そうさ、継承初日ウハウハしながら使ってたヤツだ。笑えよ。

しくしく……


でだ……『練度』というものがあって、繰り返し使ってる内に魔法の練度は上がり

やがて、無詠唱で使えるようになるらしい。


どの魔法も、最初は厨二病的な詠唱をしなければならないが……

やっぱり長ったるい呪文を詠唱するのは疲れるのである。


上級魔法になると、呪文がお経並みに長くなるらしい。

ナニソレコワイ。


それでも聖女様に祭り上げられている以上、覚えないといけないわけで……


「ブツブツブツブツ……」


声に出すと恥かしいので、小声で高速詠唱という妙技を会得した俺である。

これでも魔法は発動する。もうこれでいいんじゃね?


「精が出ますね聖女様」


と、俺に話しかけて来たのは指導員のエレノア・キュリデさんだ。


「そろそろ、休憩にいたしましょう。無理をしても得るものは少ないですよ?」


と、俺に休憩を促す。

彼女は若くして司祭になった才女で、歳は二十五歳。人間。

濃い目の金髪で緩やかなウェーブがかかっている長髪。

大きくパッチリとした二重の目に、瞳の色はルビーのような紅い色。

鼻筋も整っていて、唇もぷっくりとした艶かしいものである。

身長も170cmくらいはある。女性としては高めだろう。

スタイルは抜群でボン! キュ! ボン! である。(大興奮)


以上のことから俺がまとめるに……


「エレノアさんは、エロい」である。


やべっ! 口に出して言っちまった!?


「はぁ……? 私はエッチでしょうか?」


頬に手を当て、困った顔をする彼女。うん、エロいです。


「取り敢えず休む。そしてご飯」


と誤魔化した。そう、これからお昼ご飯である。

この食事だけが俺の荒んでいく心を癒すのだ……

因みに食べる場所はこのヒーラー協会の食堂だ。


ヒーラー協会の食堂は一階にあるので移動に便利である。

それっ! 食堂にのりこめ~! ぱたぱたぱた……(やっぱり遅い)


「いらっしゃいませ! あら? エルティナ様お早いですね?」


元気良く声をかけてきたのは、ここの食堂をまとめる女将さん。

ミランダ・ヒュリバークさんだ。人間、三十三歳『未亡人』これ重要な。


茶色く艶のある長い髪を、無造作に紐で纏め上げている。

気の強そうな目には蒼い瞳。眉は俺ほどではないが太めである。

それが気の強い女将さんの魅力を引き立てるのは想像に難しくない。

スタイルは……でかぁぁぁぁぁぁぁい! 身長195cm!!

バスト105、ウエスト65、ヒップ93!!

我が眼力をもってすれば、この程度の計測など容易いこと!


……まぁ、いわゆる熟れた女である。おぉ……エロいエロい。


「今日は早めに勉強を切り上げたんですよ」


混んじゃいますからね、とエレノアさんは続けて言った。

そうなのだここは混むのだ。女将に欲情した猿共のお陰でな!!


あの美貌とスタイルで未亡人である。そりゃ群がるわ。

しかも、料理が絶品とくれば俺でもアタックする。今、幼女だけどな!


「いつもの~」


テーブルをペシペシ叩いて催促する俺。

だめだ! 興奮を抑えられないぜっ!


「はいよ、オムライスね~」


そう、オムライスである。

これがまた美味い、ふわっふわの半熟卵が

ケチャップライスの上にかかっているアレである。

しかも、上にかけるケチャップが秘伝の製造で

サッパリとして後口爽やかな物になっている。

一回食べたら病みつきになり、ここにくれば大抵オムライスだ。


「おまちどうさま!」


テーブルにオムライスが到着した。


「ふおぉぉぉぉぉ……」


俺のテンションは鰻上りだ。

まずはこの料理に敬意と感謝を込める。

これは元いた世界でもやってた、俺の食事に対するこだわりともいえる。


生きることは命を奪うことだ、奪った命を食べ命を繋ぐ。

何と矛盾していることか、命を保つために命を奪う。

だが、そうしなければ生きてはいけない。

俺は難しく考えるのは苦手なので簡単に考えをまとめた。

それが、食物に敬意と感謝を込めるである。


要は『いただきます』だ。


「いただぁきぃまぁぁぁぁぁぁぁすっ!!」


はふっ、むぐむぐ……もきゅ、んぐんぐ……


うぉん! うんまぁぁぁぁぁいっ!!

蕩けるような卵に絡まるケチャップライス!

くどくもなるケッチャプライスを、爽やかな自家製ケチャップが爽やかに……


「う~ま~い~ぞ~~~~!!」


俺は雄叫びをあげた。だって美味しいんだもの!


「ま~たエルティナは叫んでるのか?」


気さくに話しかけてくるのは青髪のモブ冒険者アルフォンス三十五歳。

女将を狙うモンキー一号だ。


「かえれ」


間髪入れず文句を言う。俺の至福の時間を邪魔するな。


「ひでぇ!? まだ何も食ってねぇよっ!?」


うるさい。目的は女将だろうがっ!


「あら、アルフォンスさんいらっしゃい。今日は早いのね?」


と営業スマイルが眩しい女将さん。

当のモブは照れ隠しのようにちぐはぐな受け答えを繰り返す。

やがて手近な席に腰を落ち着け料理を頼む。どうやら唐揚げ定食にした模様だ。


「……無難だが、手堅すぎる」


ギラリとした眼差しに、ちょっと引くアルフォンスのおっさん。


「勘弁してくれよ、美味いんだぜこれ?」


「知ってる」


ここのメニューは粗方食べ尽くした。問題ない。


確かに唐揚げ定食は美味い、だがそれでは女将の記憶には残るまいて……

だって超人気メニューなのだよ! 

みんな頼みまくってるから頼んだ人間なんて一々憶えてないよ?


「おまちどうさま」


美味そうな唐揚げが、じゅ~じゅ~音を立てテーブルに置かれた。

それに付いてくるのは柔らかなパンとコンソメスープだ。

俺としては白米と味噌汁が良いのだが……

戦争状態のラングステン王国では貴重品らしい。特に味噌。


初代の味噌貯蓄量からして、相当金を突っ込んでるな……

どんだけ食にこだわってたんだよ? と突っ込みたくなる。


アルフォンスのおっさんは、モリモリと唐揚げ定食を胃に詰め込んでいく。


はふっ、じゅ……はむっ、もぐ……ずず……んぐ、んぐ……


……わかっているようだな。


まずは唐揚げを頬張り、間髪入れずパンとのコラボを堪能し

コンソメスープで流し込む。

一連の美しい動作からいって……から揚げ定食歴十年といったところか。


「さて……そろそろ、お勉強の続きを致しましょうか?」


と、サンドイッチを食べ終えたエレノアさんが席を立った。

結構時間が経ってたみたいだ。


「わかった」


と言い、俺も後に続く。

ちなみにお金は協会が出してくれている。やったねエルちゃん!


午後の授業は大体夕方まで続き、夕飯をミランダさんの食堂で摂った後

少しの時間……一時間ぐらいの自由時間を堪能した後に就寝となる。


その一時間を、どう使うかと言えば……


「ほあた~!!」


俺は体を鍛えるのに使っていた。

いくら治癒魔法が使えても、身を守れなきゃいずれはやられる。

尚、俺は武器の扱いの素質はEだった。ふきゅん。


それどころか各属性魔法の素質軒並みDだったよ!

普通エルフってどんなにヘタレでもBだって話だよ?

やったねエルちゃん! 陵辱確率上がったよ! がっでむ。


「ぜえ……ぜえ……」


疲れた……こういう時は甘いものだ!

桃先生! オラに力を!!


眩い光と共に桃が降臨した。

桃先生を見つめると「よかろう……我を食すがいい」と言った気がした。


「あざ~すっ!」


しゃく、じゅるる……んくっ……ごっくん!


「ぷは~運動の後は先生に限るぜ……」


こういうことは続けることが大切なのだ。

例え素質がなくても努力でカバーする、島国根性の力見せてくれるわっ!

とは言え、まだ小さな五歳児なので

無理はせず疲れたらベッドに潜り込んで寝る。


この一週間はそれの繰り返しだ。

そして、二週間後には実地訓練が控えている。

できることは色々試す。これがあの森で得た俺の基本行動だ。

いまだ先が読めない日々、立ち止まることなどできようか。


貪欲に技を体得し、魔法を身に付ける。

鍛えろ肉体! 研ぎ澄ませ精神! 高みに上げろ我が魂!!


ZZZ……


そんなことを考えてる内に、安らかな眠りに就く俺であったとさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
桃先生の種はどうしてる? ①そこらに捨てていた ②種無し 又は食べていた ③これからは収納、どこかで植える 一週間で食堂のメニューを食べつくしたと? それともメニューが少ないのか? 食いしん坊には…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ