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異世界に繋がれて

全話からす……っごい時間が経ってしまったorz

しかも拙さあまりある文章ですが、楽しんで頂ければ幸いです。

 あの日出会った若い男……アクシス・アルフォト・アニゼットと名乗る魔術師に引き取られ、屋敷に住みながら子供は言葉や今いる場所の常識を少し覚えた。だけど化け物の行方は誰も教えてくれなかったし、覚えたての言葉で、更に言えば子供では余計にうまく聞き出すことはできない。

 

 どうして誰も鬼さんの居場所を教えてくれないの? という疑問は日々大きく膨らんでいく。今では化け物に捕まっていたのではなく育てられていたのだと言うことは周囲に知られることとなっているようだし、教えてくれてもいいと思うのに。

 屋敷のどこにいても奇異なものを見る、好奇心と拒絶感に満ちた視線が追ってきた。子供を引き取ってくれたアクシスだけが普通に接してくれる。


 屋敷にいるのが辛くて、少しでも"鬼さん"の情報を得るために子供は何度も外に出た。一人で出ることは許されず、アクシスや時には他の人間と一緒だ。

 町に出ると、つくづく元いた世界との違いを見せつけられた。最初は驚きのあまり大騒ぎしてアクシスを困らせ、困ったアクシスは子供を抱き上げると、有無を言わせず文字通り"飛んで"帰ってしまった。更には外出時に大騒ぎしないよう魔法を使って誓約までさせられた。

 今も手を繋いで歩いている。端から見たら仲のいい親子に見えるかもしれない。

「みんな武器とかもってるんだね」

 正しく言うと全てではないが、道を歩く人々は結構な割合で武装していた。

 皮や鉄で作られた鎧を着た者は前にもいたが、それだけではない。アクシスと同じようなローブを着ていたり、小さな生き物……どうみても犬や猫っぽさもない、不思議生物が多い……を肩に乗せた人間がいた。

「そうだな。ここは治安がいい方だけど、他の町に行く時とか、そうでなくても身を守るために何かしら身につけてはいるね」

 更にはお尻からふわふわのしっぽが生えていたり、大きな牙が生えていたり、耳が長かったりする人型をした生き物がたくさんいた。周りを見回しても人間達は何とも思っていないようで、これは仮装などではなく、ごく普通に生活する生き物なのだとわかった。子供がいた世界では鎧を着た人間も、獣人も見たことはない。強いて言えば着ぐるみを着た人間くらいだ。

 見るもの聞くものが全て珍しく、きょろきょろと周りを見回していると、獣人達は誰もが身につけているものがあることに気づいた。

「ねえアクシスさん。どうして人間以外はみんな首輪をつけているんですか?」

 デザインは様々だが、みんな必ず首輪をつけていた。

 アクシスは、その言葉に改めて気づいた。あまりにも常識過ぎて、教えることを忘れるものもあるのだ。おまえはうっかりもの過ぎると人に言われることはこの際置いておく。

 わずかにため息をついて、真面目ぶった顔で説明をはじめる。

「そういえば教えていなかったね。獣人は誰かに保護されているという証拠に首輪をつけるんだ。首輪を調べれば誰が主人かわかる。首輪をしていない獣人が町に入る時は改めて首輪をつけるんだよ。そうすれば町の保証があるからね。首輪をつけていない獣人はこれから売りに出されるものくらいかな。売りに出されるものはまた別のものをつけているよ。……それは獣人だけではないけれど」

 じゃあ、"鬼さん"も首輪をつけられて誰かのペットになっているの? 静かに暮らしていたのに、なんでそんなことになったんだろう。おかしいよ。

 そう言おうとアクシスを見たが、そこにはなんでもないことを説明した様子しか見られなかった。

 子供には、魔法でもなく、服装などでもなく、これこそが異世界なのだと心の底から思えた。話をして、笑いあえる。時にはいろんなことを教えてくれるそんな存在をペットと同じように管理してしまうのだ。家で飼っていたクロッカスを思い出す。彼は常に家の中で飼われていて、外のことなんて窓枠の分くらいしか知らない。


 俯いて歩き出した子供にアクシスは眉毛を八の字にして考えた。人付き合いが決してうまくない彼はこういうときにどうしたらいいかわからない。とりあえず目につくものを説明しはじめた。

「獣人は人間よりも力が強かったり、目や耳がよかったり色々あるから、色々役に立つんだ。そしてそんな獣人達が暴れないように首輪には呪が込められている。滅多にそんなことにはならないけどね。町にいるのはおとなしい奴らが多いから」

 なかなか顔を上げない子供を何とかしようと周りをきょろきょろ見回したアクシスは、ふと、街角に目をとめた。

「ねえ。獣人と人間が決して仲が悪いわけではないんだ。見てごらん。あんな風に人間と一緒にしていることもあるんだよ」

 アクシスが指し示す先には兎の耳をした女性と人間の男性が踊っていた。周りでは明るい音楽を奏でている人たちがいる。

 それは大道芸の一つだったけど、余裕のない子供はあまり見もしないで歩いて行ってしまったため、アクシスは慌てて追いかけた。

 そのあとも子供の顔が上がることはなく、二人とも沈んだ気持ちで屋敷に帰ってきた。

 

 子供は、しばらくしたある日、家を飛び出した。

○ケモンっぽいとか書いたらアウトですよね……

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