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森を出て

拙い上にすごく短いです。切りが悪くて短いまま投稿します。近いうちに続きを投稿します。

※今後の念のためのR15です。

 どうしてここにいるのかな。鬼さんはどこにいるの?

 木と石でできた部屋の中にいるしかなくて、ずっと考えているけどわからないよ。



 その日、いつものように子供は化け物と一緒に狩りに出かけていた。

 もっとも、子供には獲物を仕留めることはできなかったから、散歩のようなものだった。

 どこにどんな木の実が生って、食べられる草が生えているか。それを探す散歩だ。

 動物が避けるものは同じように食べないように気をつけ、形を覚えるだけだったが、以前から自然に触れることのなかった子供には難しいことだった。

 なにしろ暗くてとても見づらい。子供は火の熾し方なんて知らなかったので最初はとても困った。それでも肉が食べられない子供は生きるためにやるしかなかった。

 そして、化け物は言われるまでそのことに気づきもしなかった。なにしろ化け物は体は頑丈で暗くても見えるし、獲物はなんでも生のまま食べていたから、火なんて必要なかったのだ。

 考えた化け物は、頭にたくさんある角を光らせてくれた。

 驚いた子供が目をきらきらと輝かせて喜んで以来、化け物は獲物を求めていないときに角を光らせるようになった。

 化け物が狩りをしている間、森を歩いていた子供はその光を見てほっとした。だいぶ慣れてきたけれども、暗い中一人で歩くのはやはり不安だ。

 化け物に向かって歩こうとした時、不意に子供の後ろからがさがさと草をかき分ける音がした。しかもたくさんだ。

 振り向くと、いつの間にかたくさんの人間が体を隠すようにしていた。革と鉄を合わせたような鎧を着た人間、フード付きの足首まであるロングコートのような服を着た人間。

 そのうちの一人が何事が話しながら子供を抱き込んでしまった。叫ぶ間もない。

 わかるのは、この状態がとてもよくないと言うことだけだった。


 その後のことはおぼろげにしか覚えていない。言葉がわからない人間達が鬼さんを捕まえるための罠を張っていたこと。

 鎧を着た人間が鬼さんを攻撃して、鬼さんが叫び声を上げたこと。

 ロングコートを着た人間達が何かを叫ぶと、きらきらとした光が鬼さんに巻き付いたこと。

 鬼さんに首輪がはめられて、額に何かつけられて捕まったこと。鬼さんは一度叫んで暴れようとしたけどできなかったこと。

 いつの間にか眠ってしまっていて、気がついたら今いる部屋にいること。

 部屋の中には子供の他に人がいるけど、話しかけても全然言葉がわからないこと。

 わかるのはそれだけで、あとはなにもわからない。わからなくて、悲しくて辛くて泣いた。

 泣いて泣いて、また眠ってしまった。眠る直前にこっちを見ながら叫んだ鬼さんの姿が浮かんだ。


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