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闇の王子、影の王子  作者: チェル
二章───町の少年R編
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「あそぼうよ」


町の中にある、とある建物。そこは潰れた工場だった。

この辺りは町にあるような普通の町並みより、少しだけ廃れている。そしてこの工場には幽霊が出ると言う噂もたっていて、近づく者はいなかった。いや、ここを隠れ場所の一部としている強盗ぐらいしかいなかった。



「よぉ、戻ったぜ。」


わらわらと中に入ってきたのは、先ほどフーリスト家の染め物工房を襲った、8~10人の男たちだった。


「ほらよ、今日の手柄だ。」


「おっ。いつもよりは多目じゃねーか。」


初めから工場の中にいた男が言う。また、他の中にいた他の男たちも話し出した。


「いっそのこと、デカイとこに入ってガッポリ取って行きゃあいいんじゃないか?」


すると、金を渡した男の中の一人が笑いながら言った。


「バカ、デカイとこには護衛団がいるだろ。面倒なことになるよりは、このくらいの金をぼちぼち溜めていくのがいいのさ。」


そう、彼らは大きな店などは狙わない。中の下から下の位のところを狙うのだ。

そういう所は以外にも、大きな店ほどの大金を持っていたりする。

この間、市場で裏の仕事をしている仲間のサチコが、金を持っていそうな奴がいたという情報などを便りに、そいつの近い店などに入り込む。



「じゃあ、早速分けるとするか。」



男たちは皆で、広い床へと円上に座り込んだ。



その時だった。




「おじさんたち、俺と遊ぼうよ。」




閉めた筈の入り口の扉が空いていて、そこには少年がこちらに向かって立っていた。



途端、外からは一際大きな音で雷が鳴り、ザァザァと雨が降りだした。





──────────────




周りに誰もいないことを確認して、俺は地面に降り立ち姿を人へと変える。


分厚い雲の上では太陽が沈んだのか、辺りは更に薄暗くなっていた。


俺は音を立てずに歩き出す。しばらくして、中へ入るための扉を見つけた。中からは男たちの笑い声や、話し声が聞こえてくる。

そして、一人の男がこう言った。


「じゃあ、早速分けるとするか。」


同時に、俺は扉を開けて中の強盗たちへと話しかけた。

この場に合わない、あまり低くもない声で。


「おじさんたち、俺と遊ぼうよ。」


そして俺はにっこりと笑った。


心の奥から、怒りを含めて。





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