「あそぼうよ」
町の中にある、とある建物。そこは潰れた工場だった。
この辺りは町にあるような普通の町並みより、少しだけ廃れている。そしてこの工場には幽霊が出ると言う噂もたっていて、近づく者はいなかった。いや、ここを隠れ場所の一部としている強盗ぐらいしかいなかった。
「よぉ、戻ったぜ。」
わらわらと中に入ってきたのは、先ほどフーリスト家の染め物工房を襲った、8~10人の男たちだった。
「ほらよ、今日の手柄だ。」
「おっ。いつもよりは多目じゃねーか。」
初めから工場の中にいた男が言う。また、他の中にいた他の男たちも話し出した。
「いっそのこと、デカイとこに入ってガッポリ取って行きゃあいいんじゃないか?」
すると、金を渡した男の中の一人が笑いながら言った。
「バカ、デカイとこには護衛団がいるだろ。面倒なことになるよりは、このくらいの金をぼちぼち溜めていくのがいいのさ。」
そう、彼らは大きな店などは狙わない。中の下から下の位のところを狙うのだ。
そういう所は以外にも、大きな店ほどの大金を持っていたりする。
この間、市場で裏の仕事をしている仲間のサチコが、金を持っていそうな奴がいたという情報などを便りに、そいつの近い店などに入り込む。
「じゃあ、早速分けるとするか。」
男たちは皆で、広い床へと円上に座り込んだ。
その時だった。
「おじさんたち、俺と遊ぼうよ。」
閉めた筈の入り口の扉が空いていて、そこには少年がこちらに向かって立っていた。
途端、外からは一際大きな音で雷が鳴り、ザァザァと雨が降りだした。
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周りに誰もいないことを確認して、俺は地面に降り立ち姿を人へと変える。
分厚い雲の上では太陽が沈んだのか、辺りは更に薄暗くなっていた。
俺は音を立てずに歩き出す。しばらくして、中へ入るための扉を見つけた。中からは男たちの笑い声や、話し声が聞こえてくる。
そして、一人の男がこう言った。
「じゃあ、早速分けるとするか。」
同時に、俺は扉を開けて中の強盗たちへと話しかけた。
この場に合わない、あまり低くもない声で。
「おじさんたち、俺と遊ぼうよ。」
そして俺はにっこりと笑った。
心の奥から、怒りを含めて。




