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闇の王子、影の王子  作者: チェル
一章──奔走、影の王子編
2/79

「ひろいもの」

俺は『百変化』である。

名前は、まだない。


ちなみに『百変化』と言うのは生体名であって名前じゃない。

昔人々からつけられたあだ名のようなものだから、正しい名ではないんだ。

俺の名前呼ぶひといないし、必要ないんけどね。


さらに言っておくと、『百変化』は俺だけ。

一人だ。

いや、一匹?

数え方すらわからないよ。


つまり今まで話してるこの話も独り言ということになるんだよ。

さみしぃ。


まぁその話は置いとき。

俺は先程、黒い服を着た怪しげな人間たちを見かけた。

誰が見ても怪しい俺が言っていいのかわからないけど、人間の平均的な思考では怪しい分類に入ると思う。


その人間たちはどんどん森の奥に入って行く。


することもないので、離れたところから観察してみることにした。

ほぼ全員が軽く武器や荷物を持つ中、一人は重そうなずだ袋を担いでいる。


なんだろう、キャンプかな?


ここの森、結構危ないですよー。

獰猛な狼とかモンスター出たりするし。

俺は住んでるんだけどね。


そんな俺の心の声は悲しいことに聞こえていないようで、男たちはシャベルを取り出し、黙々と穴を掘り始めた。


キャンプで穴って掘ったっけ?

俺はキャンプしたことないけど。


昨夜は雨だったので、地面は水を含んで掘りやすかったらしい。

数時間ほどで作業は終わって、一人の人間が先程運んでいたずだ袋を中に投げ入れた。

穴は結構深かった。頑張ったな。


そして土を被せ穴を埋め、何やらキョロキョロと辺りを警戒した後、何事もなかったかのように男たちは元来た道を帰っていった。


どうやらキャンプではなかったらしい。


少し残念だった。ここにはあまり人が来ないから。

話しかけると危なさそうな人達だったから、のんびりしていくなら脅かすくらいはしようと思ったのに。

まあ過ぎたことは仕方ない。

することないし、とりあえず何を埋めていったのか見てみるか。


俺は自由自在に変えられる右手をシャベルの形に変えて、ザックザックと先ほど何かを埋めた所を掘った。


しばらくしてから、目的のものが見えてきた。

ずだ袋だ。


よっこいしょと持ち上げると、早速中身を見てみる。

何か面白いものかなー…



…。



うわぁ、嫌なもん見たな。



中には体の大きさからして、16歳くらいだろう、人間が入っていた。いや、人間だったものが入っていた。

顔、ぐっちゃぐちゃで死んでたけど。

最近の人間は怖いなぁ、なぜに普通に殺さないんだよ。

ワクワクしていた俺のテンションはガタ落ちだよ。俺の楽しみを返せよこのやろう…。

仕方ない、また埋めるか…と、思っていたその時。いいことを思いついたんだ。


そうだ、こいつの姿使って久々に町でも行くか!

こんなとこに埋められるくらいだ、まぁ大丈夫だろう。


そうと決まれば。

と、俺はぐっちゃぐちゃの頭があったであろう辺りから、髪の毛を一本拝借する。そしてそれをゴクンと飲み込んだ。


すると俺の体は一呼吸の間で形を変え、一人の人間の姿になった俺がいた。


どうしてそんなに早く変身できるのかって?

慣れだよ、慣れ。


丁度いいところに、水溜まりがあったので、顔を見てみる。そこに映るのは一人の少年だった。

女じゃなくてよかった。そしてなかなかの美男子(イケメン)である。

綺麗な金髪で、瞳は深い翠色(みどりいろ)

ただ文句を言えば、前髪の一部がぴょーんとはねているのが気になる。

服は作れないこともないんだけど体力温存のため、元美男子少年から譲ってもらった。

ちょっと汚れているけど、まぁ気にしない。


服を着てから、ずだ袋をさっきよりも奥深くに埋めなおす。普通の人が掘り返しも、きっと見つけることは不可能だろう。ざっと地下7メートルくらいの深さがあるから。


準備万端。

さあ、町へ出かけよう!






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