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闇の王子、影の王子  作者: チェル
一章──奔走、影の王子編
14/79

「王と愉快ななかまたち、2人目」



俺は右手を人間の手の形に戻す

と、ふわぁとあくびをした。



俺は先ほど、ベランダの(かなり)下に(グッシャグシャの)人間の肉の塊を作り上げたところである。

その時に右手を鎖へと変化したのが響いたのか、疲れて眠たくなっていた。


明日も色々ありそうだし、寝るか。


そうして俺は、ベッドに横になり目をつぶる。

あんな事した後でよく眠れるな、って?


普通の人なら、


寝ようと思っても、頭のなかであの肉の塊が離れない…!


と、言うだろう。


でも俺はなんともない。

慣れてるから。


ずっと昔から見ていたものだしな。




──────────────





「報告します。何者かが、王子の部屋のある、北の建物へ侵入していました!」


朝一番に聞いた報告が、これか。



私は自室で深く椅子へと座り込み、その事を伝えにきた召し使いに尋ねた。


「して、その者は?」


「はい、それはもう…。げ、原型を留めないほどに、酷い状態で、はい。つまり、既に死亡していました。」


その時の様子を思い出してしまったのか、青い顔で必死に話していた。


そうか、失敗したのか。


「分かった。報告ご苦労だった。さがってもよいぞ。」



部屋を出ていく召し使いの後ろ姿を見ながら私はため息をつき、次の手を打たねばな、と考えていた。





──────────────






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