「王と愉快ななかまたち、1人目」
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目が覚めると、自室のベッドの中だった。
よかった、ランソワおばさんかは分からないけど、誰かが俺をちゃんと運んでくれたらしい。
部屋のなかは真っ暗だったが、人間ではない俺には夜目がきくので、部屋の隅々までよく見えていた。
今日の夕食も悲惨だったなー。
と言うか、まともな夕食を食べたことない気がする。
そんなことを頭のなかで考えていると、
カチャリ
と、ほんの僅かな小さな音がした。俺はとっさに寝たふりをする。
音のしたのは扉の方からではなく、ベランダの方からだった。
俺は人間よりも聴力がいいので音が聞こえたが、おそらく、普通の人間には聞こえなかっただろう。
まして、寝ている人間にとっては。
キィィー。
何者かが、部屋の中へ侵入した。そして、俺の近くへとやっで来る。
目を閉じたまま、俺は身体中の神経を研ぎ澄ます。
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きた!
俺は大きく、左の方へと転がった。
さっきまで、俺が寝ていた場所には鋭いナイフが突き刺さっている。
危なかったな。
俺の動きに驚いたのか、ナイフを突き立てた人物は少し遠くの方へ離れる。
俺はそいつの服装に何処か見覚えがあるのに気付いた。
王子を森に埋めていった、暗殺者たちだ。
「まったく…。予想はしてたけど思ってたより来るのが早いな。」
俺はボソッと呟く。
相手は武器を構えたまま、じっと俺のことを見ていた。
後々面倒にならないように、早めにカタをつけよう。