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瑠那とアルヴィアスは一緒に昼食を取っていた。
「お前…食べないのか?」
「あ~食べる食べる」
食事の手を止めて尋ねてくるアルに適当に返事を返す。
「初日からあまり食べ物を口にしていないと侍女から聞いている。口に合わないのか?」
「さすが王族の食べるものなだけあって、おいしいわよ?」
「じゃあ何が問題だ?」
「…聞かないで。ささやかな少女の悩みよ」
「そんなに食べないと心配になる。餓死されても困るだろうが」
「じゃあ、言わせて貰うけど…こんなに動かないのに、お腹がすくわけないでしょう」
瑠那はバンと机を叩いて言った。
腹立つ~毎日毎日部屋に閉じ込めて!
部屋の中では動く範囲も限られている。いくら瑠那の部屋が広いといっても運動はそれほど出来ない。というかしたら侍女に怒られる。
…朝からこんなに食べられるか、と思うほどの朝食。昼食の次には甘いお菓子が大量に並ぶ午後のお茶の時間。夕食に至っては何人分だ?と思うほどの何枚もの大皿が大きなテーブルにずらりと並べられる。
こんな豪華な生活になれてぶくぶく太るのは御免だ。栄養のコントロールも仕える者の役目だとは思わないのか?
「殿下、今勇者様から伝言が!」
「何だ?」
勇者から伝言が入るとは、よほどのことがあったに違いない。
アルは思わず席から立ち上がる。
「そのまま伝えますと…「アル、瑠那ちゃん呼び出したんだって?可愛い妹にぜひとも会いたいので今から帰るな~」…とのことです…」
それを聞いた瞬間、アルはがくっと脱力する。
…あのシスコンめ。世界の存亡が自身にかかっているという自覚があるのか?
昼食を食べ終わった後、アルは瑠那をつれて執務室に行く。言葉を習得する必要がないということで、瑠那の授業時間はかなり空きができた。
「ねえ、気になったんだけど、勇者の血筋の証は金の髪と瞳だったわよね?お兄様、瞳の色が緑だった気が…」
「そんな情報どこから聞いたんだ?…それについては問題ない。覚醒して金になっている。帰ってきた時見てみるといい」
「帰ってきたら、兄様倒す!今までの恨みを全部ぶつけてやる」
「言っとくが、勇者は強いからな…」
言い終わらないうちに、なぜかいきなり瑠那が部屋を飛び出し、駆け出した。
「おいっ」
慌ててアルは追いかける。
…また脱走などされては困る。
その先には…
「おおーい。帰ってきたぞ~!」
妹に会えるということで上機嫌の勇者が手を振っていた。
「瑠那ちゃんはどこか…っておわ!!」
勇者は慌てて何かを避けた。
勇者にぶつかりそうになったのは、闇魔法だった。
闇魔法は魔族しか使えない魔法で、人間で使える者がいるとは聞いたことがない。闇魔法は強力で、それに対抗できるのは光魔法だけだと言われている。ちなみに光魔法は、勇者しか使えないものだ。
勇者は警戒の色を纏う。アルも、腰に下げていた剣を抜いた。
またも闇魔法が飛んできた。
「仕方がない…この術を使うしかないか」
勇者は攻撃を避けながら光魔法を発動させようとした。
「よせっ!その術は…」
アルは勇者を止めようと叫ぶ。
この術はあまりにも高等なものなので成功した例がなかった。
勇者の術はどんどん膨れ上がって行く。
「くっ…」
案の定、押さえきれなくなったのか、途中で魔法が暴走を始めた。
…とその時。
闇魔法が勇者を包み魔法を打ち消した。
状況を見ていたものは、ぽかんとした。…闇魔法が勇者を助けた?
「お兄様、お久しぶりです」
にこっと笑って現れたのは勇者の愛する可愛い可愛い妹だった。
「さっきの、お前か…?」
「ふふっ。魔族の襲撃かと思って、びっくりしたでしょう。勝手に妹の結婚を決めた兄様にささやかな悪戯よ?」
にこっと笑って言う瑠那に、周りにいた人々は恐怖で凍りついている。
…闇魔法はさすがにささやかな悪戯とは言えない。
「お前…なぜ、闇魔法が使える?」
最初に言葉を発したのは、アルだった。その口調は瑠那が見たことないほど厳しいものだった。
勇者は、妹が魔族の仲間(?)ということにショックを受けて呆然としている。
「ん~異世界の血?そのせいで、私にここの世界の常識は当てはまらないのよ」
「では、魔族の仲間…ではないのだな?」
「当たり前じゃない。それならさっさと兄様殺すし、ね?」
だが、アルの表情はまだ疑いを含んでいる様子だった。
「もー。どうすれば信じてもらえるかなー?」
瑠那は頭を抱えて座り込んでしまった。
……自分には、身の潔白を証明できる証拠はない…逆に、魔族と通じている?証拠はあるが。
「いや…闇魔法を見せられるとさすがに…な」
少しは結婚相手を疑う罪悪感を持っているのか、アルは顔を逸らした。
「もう、これは使っちゃいけないのだけど…仕方がないわ!」
瑠那は兄に自分の手のひらを向けた。
「危ないっ!!」
アルが声を放った途端、彼女は魔法を発動させた…近距離で、自分の兄に向かって。
本気で殺す気だったのか…アルは瑠那の激しい兄への憎しみを知って驚く。
ところが…
「あ、れ…魔力が回復してる?…もしかして、光魔法?」
勇者が驚きの声をあげる。
「そうよ。これで、無罪確定?」
瑠那はアルに向かってにっこり笑った。
光魔法は、邪な心を持つものには絶対に使えない。これで、信用してもらえるだろう。
「…まあ、後で話はじっくり聞かせてもらうがな」
アルに怖い顔をされ、瑠那は視線を逸らした。
お気づきの方もおられるかも知れませんが、これは短編「黒き華」を元に作ったものです。
いい加減な文章ですいません。




