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謁見を終えた後、瑠那はアルとレオンに呼び出された。


「ルーナ、こちらに来ていた…というのは本当か?」

「そうよ、それが…どうかしたの?」

「どうやってこちらへ来ていたんだ?」

「もちろん魔法で。空間転移の魔法があるでしょ?私、魔力が強いから簡単に出来るのよ、すごいでしょう」


ふふ、と笑みを浮かべて瑠那は言う。


「いつから、こっちに来ていたんだ?」


次に問いかけてきたのは兄。


「こちらとあちらを行き来するようになったのは、2年位前かな?兄様が勇者として召還された時には驚いたわ」


…もう、予想外の展開でどこからつっこんでいいか、分かりません。

アルとレオンは少し呆れ顔である。


「なあ、母さんの行方、知ってるか?」

「え、兄様ったら知らないの?」

「ああ、知らない」

「結構有名人なのだけど…。もしかして、国王陛下もご存知ないの?」

「は?何で父上?お前達家族も知らないのに、父上が知っていると思うか?」


まさかの事実。てっきり、みんな知っているかと思っていた…。


「えーと、結論を言うと…生きてます。今は、セリファスって国で新しい家庭を築いてて、子供は男の子が一人いるかな?あと、数ヶ月後にもう一人生まれる予定」

「うっそ、また兄弟が増えているのか?」


兄は信じられない、といった表情をしている。

だって、その二人を含めたら5人兄弟ってことになってしまうものね~。


「でも、お母様には近付かない方がいいと思う。これ以上人質候補増やしたらまずいと思うわよ?」


勇者と母が接触すれば、家族だということがバレてしまう。そうすれば、勇者の弱点が増えていくばかりである。


「そっか…。分かった…」


兄はしょんぼりとして、寂しそうな表情をしている。


「でも、姿を見るだけなら出来ると思うわよ?セリファスの王妃様は、民にとても気さくな方だからよく姿を見せられるのよ」


二人ともゆっくり首を回してこちらを見た。


「…………王妃?」

「…………そうよ?」

「セリファスといったらうちと仲がいいぞ」

「なのに何で気付かないの」

「外交は苦手だ…」

「未来の国王が外交苦手でどうするのよ…」

頭を抱える瑠那の言葉にアルは眉をしかめた。

「ま、瑠那ちゃんそういうの上手そうだから任せればいいんじゃない?」

兄はアルを宥めるように言った。


「とにかく、絶対このことは内緒よ。これ以上敵に弱点さらすなんて、今度こそ世界が終わるわよ。お母様のことは国家機密よ、分かった?」

瑠那はびしっと人差し指を立てていった。


「あ、あと兄様、地球に忘れ物したとかあったら遠慮なく言ってね。いつでも帰れるから」


「………………ああ」


勇者は複雑な心境だった。


あのときの決意は何だったのだろう?

帰る術さえ分からないこの世界に来て、命をかけて世界を救うことを決めて。

地球のことは、家族のことは、友人のことは、全て忘れるようにしてきたのに。

「地球に帰れるわよ」って…。

こうもあっさり言われると、なんだかなぁ。


まあ、そこが瑠那ちゃんらしいのかな?


―――――彼女は、誰も持っていないものを与えられる人だから。



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