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夕食は、王子と兄と一緒にとることになってしまった。

王子と兄はかなり仲が良いようで、二人で会話が弾んでいる。


…どうでもいい会話が。


「おい、瑠那ちゃんに優しくしてるだろうな?」

「…………気をかけてやっている」


…嘘。あれが精一杯の気遣いだとでも言いたいのか?


「瑠那ちゃんてかわいいだろう?未来の王妃にはぴったりの子だったろう?」

「まあ、悪戯はするし、手がかかるが…さすが、万人に愛された女の子供だな。優れた容姿をしている」


…人生で彼氏が一人もいなかった者に、地味女として生きてきた私にその褒め言葉は間違っているだろう。たしかに、お母様似だといわれるが…

しかも、手がかかるって…私は子供?


「瑠那ちゃん、頭も良いだろう?だって、一回見ただけで、教科書全部覚えちゃうくらいだもんな」

「…ほう、そんな才能があるとは知らなかったな。ぜひ、これからの勉学で生かして欲しいものだな」


…なんか、視線が、アルの視線が怖いのは、気のせいかなー?


「でさ、ぶっちゃけ二人の仲はどんくらいまで進んでるわけ?」

「……………それなりに仲良くやっている」


…うん、その通りだ。苦手なイケメン相手に私は良くやっていると思う。政略結婚とはいえ、不仲ではいたくない。


「で、もうキスしたの?」

「……………」


アルは黙り込んでしまった。

…いやいや、そこで黙ったら肯定しているようなものでしょう?


そういえば、お互いに相手をからかってふざけていたとはいえ、キスをしてしまったことを思い出す。あの時のことは、完全に忘れていた。

こちらの世界では、キスは普通だ。親しい人同士なら、当たり前にキスを贈る。…唇にするのは普通ではないが。

とはいえ、結婚したし、いいんじゃないの?…などと楽観的に考えていた。


「そっかー。順調なんだな!安心したよ。帰ってきてお前が瑠那ちゃんに冷たい態度とってたら、どうしようかと思ったよ」


…正直、兄がアルと私の仲を認めるような発言をすることに驚いた。だって、私の結婚相手は誰も認めん!とか言っていたような人だし、ね。


「お兄様、アルは私の相手として合格なの?」

「当たり前だ。アルは人の本質を見極めることができる。だから瑠那ちゃんの魅力にも気付いてくれるはずだと思ったんだよ」

「俺が彼女に惚れない可能性は考慮しないのか?」

「いや、だって、瑠那ちゃん可愛いし?魅力を知ったら好きにならないはずがないじゃないか」


…このシスコンは、平気でこういうことを言う。


アルは一瞬呆れた表情を見せたが、そのまま聞き流していた。仲がいいだけあって、兄のそういう発言にも耐性があるらしい。



「で、一つ問題が出来上がったわけだが…レオン、明後日父上に謁見するように…とのことだ」


レオン――――それが、兄のこちらでの名前。母は、私達が将来どちらの世界も選べるように、と二つの名前を与えた。二つの名前に混乱しないように、名前の発音は似ているが。


「うん?いつものことじゃないか?」


兄は、何が問題なのか分からないといった風に首を傾げた。


「――――その折には、勇者の妹も一緒に謁見するように、とも言われた」

「まじかっ!?」


兄は驚きを隠せない様子で言った。


「何か、私が謁見することに問題でもあるの?」


無邪気に聞く瑠那に、二人は哀れみの視線を向けてきた。


「父上は、教養や礼儀作法に厳しい方だ。―――明日から、全て頭に叩き込んで貰う」


…何か、すごく嫌なことを聞いた気がした。







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