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勇者バルスワルス

「さくらこだいぶ消耗してるな」

通路からやってきたのは、フクロ教授とバロスのお兄さんだった。さくらことまつりに治癒魔法をかけてくれた。

「先生、その服」

「あ、あんま、見るな」

彼女は魔法少女の服を着ていたのだ。フクロウを象ったデザインで、羽毛が豊かに生えている。そのひとつひとつに彼女の調べあげた魔法が込められている。魔法少女オウルその人である。ただ、スカートの裾は思いの外短く、必死に隠していた。


「30近くの魔法少女は引くだろう?あんま、こっちみんな。わたしの魔法を奪った奴が伸びてんだ。奪い返してもバチはあたるまいさ」


彼女は照れた笑顔でいった。

「あそこに居たほかの魔法少女たちはくま先生が保護してくれた。」


「さくらこくん。僕の家族が迷惑をかけてしまい、すまない。」


反対に暗い顔をしている。ハンサムな顔が台無しだ。先日さくらこがクラーケンから救い出した人物で盾魔法の達人だ。第三魔法学校の副会長だ。


「い、いえ、そんな」

「父は僕がとめる」

「無理だな」

彼女は杖でぐりぐりと副会長の腹をつつく。

「ぐ。」

「あたしも偉そうな事は言えないが、病み上がりの身さ。あのアロハ野郎は、クラーケンたちを知る巨人世界線時代の末裔だ。学び、食らいつき、謀り、生きてきた化け物だ。ひよっこは勝てないさ」

「だったら奴はすでに宇宙へ」

「いや、まだだな」

「なぜ分かるんです」

「天使が止まってないからな」

「天使?」

「魔女を守ってる化け物さ。古い文献には、奴らは魔女の元に、勇者がたどり着いたら、決着が来るまでは稼働を一時的に止める。外の連中は、みんなで力を合わせて戦っている。私たちは発生源をつぶそうとして、ここに入ってきたんだがな。あ、そうだ」

彼女は古いノートを数ページとりだした。

「今のとこ発見されてる魔女の手帳の全てだ。正直言うと渡すかは迷った。だけど、いま、人類側で1番可能性があるのは、さくらこ。君だ。お前も万全とは行かないだろうけど、他の連中は満身創痍。それでも、天使から人々を守るくらいの時間稼ぎぐらいにはなるだろう。」

「書いてあったことはなんてことない女学生の思い出話だけだった。たかい魔力で護られてはいたが、魔女は平穏な世界を望んでいたのかもしれん」

さくらこはノートを受け取り、手帳にとじた。はじめからそうであったかのように、手帳とくっつき、1冊の本になった。

表紙には桜ヶ丘高校 2年7組 春風桜と書かれており、友人たちと思われる写真が貼られていた。

「校長がいうには、始まりの魔女と校長、教授(プロフェッサー)は同じ学校に通っていたらしい。みんな学年はバラバラだったみたいだが。校長からの伝言だ。姐さんに届けてくれ。とね。」

「今から君に、限界値まで強化と盾の魔法をかける。親父を止めてくれ。弟を助けてやってくれ」

「おと、うと、さん?」

記憶にノイズがはしる。

「あぁ、俺には、弟がいたらしい。記憶は消されたが、彼がいた痕跡はいたるところにあった。たぶん父と同行してるはずだ。救ってやってくれ」




「救うだなんて、なにからだい?HAHAHA」

白い青年騎士が漆黒の剣を携えて現れた。全員が頭を抑える。

「あれは、バルス、君?」

「あ、そうか。肉体を変えたから、少しの刺激が記憶を呼び覚ましたか。まぁ、隠す段階は過ぎてしまったから。よしとするか」

「あなたは」

「僕は勇者ワルス=バルスワルス。春風さくらこ、魔女たる君の血を頂きにきた」

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