ワルス家当主
「いいょし!!HAHAHA!!!こいつめ!!こいつめ!」
ガッツポーズを決め、そのまま拳で天使の頭を粉砕していく。
彼の両脇には黄金の腕が浮いていた。
「父上その魔法は?」
「HAHAHA!魔法じゃないよ。ただの純金895kgだよ。魔法を弱体化する天使たちは物理的な衝撃に弱い精密機械。重い物が高速で当たる。それだけで十分脅威なのさ。僕の意識で動くようにはしてるけどね」
「ジュンキン?なんですかそれは」
「この星で枯渇した地下資源さ。よく伸び、加工がしやすく、昔は精密機器の部品にもよくつかわれたのさ」
すでにぐちゃぐちゃになった天使を踏みにじり、前へすすむ。
「さぁ、剣を掲げて、宇宙に行こうか。息子よ。いや、俺の身体よ」
「え?」
「いただきまーす」
ぽっかりと開けた口の中から何かがはいだしてくる。金の腕はぐねぐねと形をかえ、バロスを掴ま耐えようとしてくる。
「なんの悪ふざけですか!」
「私にとっての障害は三つ。ガリレオ率いる魔法少女。世界樹の守護者の木人、宇宙への門番の天使。天使が厄介だった資格なきものには、徹底的な魔力、圧倒的な物量で攻めるが。勇者鑑定時には攻撃性が減る。HAHAHA。ワルスらしからぬ君の善性にかけた。あとは、君の体を貰い受ければ、わたしは、魔女のもとへたどり着ける」
「さくらこ、さくらこ!さくらこ!!」
目を覚ますと、辺りは瓦礫の山になっていた。
「ってて」
「みんなは無事だ。母上も、あそこで伸びちゃいるが、さくらこは、その、大丈夫か?」
まつりちゃんが恐る恐るきいた。
「うん!なんだか、スッキリした気分」
心のもやもやを全て吐き出したかのような清々しい気持ちだった。
「はやく、先にすすまないと」
「ああ」
まつりの脳裏に浮かぶのは、さくらこの暴走状態。怒りに身をまかせる。というよりも、怒りの塊のような状態。母は完膚なきまでにぶちのめされ、さくらこは糸がきれたかのようにその場で倒れた。
「さくらこ、お前何者なんだよ」
「おーい、お前ら、大丈夫か」
「これが宇宙へのエレベーターか。壮観だな」
「……」「……」「……」
元研究室メンバー、黒煙のジョシュア。元第三魔法学校教頭アズマ=タダシ。魔法都市マジブロッサム市長 ワルス=ワルス=ワルス。
3人が床に無造作に転がっていた。
白騎士の装束に身を包み、血塗られた聖剣をぶんぶんと振るう少年。
積み重ねられた天使の機体。
「やはり我が子。よく馴染む。魂のズレがある分は今しがたの準備運動で解消された。まぁ、まだ若い分、魔力は未成熟なことには目を瞑ろう。」
千人斬りを成した聖剣は血と機械の油で、ぬらぬらと輝いている。
「あとは、この扉1枚」
天に伸びるエスカレーターは、木の内部から上に真っ直ぐ伸びており先は全く見えない。
「マジックブースト、ソウルアーツ」
肉体と魔力を高めていく。
「源流、百花繚乱流、黒煙纏い。」
刀に口から吐き出された黒い煙が絡みついていく。聖剣が禍々しい形に変貌して、黒く染まる。
「黒塗竹時雨」
強烈な突きの一撃が部屋を揺らす。
「……HAHAHA。ここまで来たのにまだたりないか」
勇者の血を、勇者の血をご準備ください。
ロボットアームが伸びてきて、瓶が渡される。
「魔女め、血を解析して、迎え打つ気か。HAHAHA小賢しいやつめ。あのタコニチュアたち、魚どもは引っかかったかもしれないが、僕は違う。」
どうやら、瓶と針が一体化しているようだった。突き刺せば、血を吸い取るようだ。
「はるかぜさくらこの血を使わせてもらおう。旧友のよしみでね!HAHAHA!」