はじまりの魔女へ至る道
「さっそくワサビ。ガルダリオン。君たちはこの図面の魔法陣を描く作業を始めてくれ。他のものたちはついてこい。」
白仮面はそれぞれ、杖を取り出し、床に魔法陣を書き始める。
広い空間に門があり、その前には、大きな2本の木が植えてあり門は空中に浮いていた。
「なんで地下で青青と茂っているのでしょうね。」
「たしかにな。ここの不自然な明るさのせいか?もしくは、世界樹に寄生してるっと線もあるぜ」
タダシとジョシュアが近づこうとするも止められる。
「それ以上近づくな」
だが、その声を発したのは副団長ではない。
その木が立ち上がり、二人の前に立ちはだかったのだ。木人だ。
「木がしゃべってる、だと」
「あんたたちが門番かい?」
だが、副団長は動じない。
「いかにも。ワルスの息子」
「ワルスってワルス家の息子ってことか」
白仮面たちに二度目の動揺が走る。
「名乗ったっけ?」
「我々はどこにでもいる」
「…父上が鉄の箱に籠ってた理由はあんたらか」
「いかにも。ワルスの企みはわからん。だが、勇者の剣をもつ貴様を見てわかった。長い時の中。宇宙へいく技術を失ったヒトを入れたのは、三回。タコの男。仲間を屠ったが、奴だけは扉をこえた。貴様の父。追い返してやった。そして、クマの男。奴は宇宙には興味はなく、幼児らを世界線の更新から助けるためにきた。お前たちはなんのために来た。」
「父上からは、あんたらを倒せといわれている。はじまりの魔女のいる空に行くために」
バロスはゆっくりと勇者の剣をかまえる。
「この世界線ではヒトの女がその剣の使い手だと聞いていたのだが、」
「…今は俺が持ち主だ…ソウルアーツ」
「巨人の神技か。その小さき体で、その技は危険だぞ。」
「怖気ついたか!炭になってしまえ!火炎巨蛇」
今までの彼では出せなかっただろう。木人をも飲み込もうとする巨大な蛇。
「木に対して火を使うか。当然だな。君がいくかい」
もう一人の木人は首を振る。
「わかった。」
そういうとその木人は自分の体から木を引き抜く。ビルのような長さの棒。
「…ちょっと、お待ちなさい。あれってまさか、杖」
ライオリアの呟きに答える形で、木人は魔法を発動させる。大いなる杖を振るい、放たれる魔法は原初の魔法。
「『水』」
一瞬で、火が消え、大砲のような水が降ってくる。
「『木』」
足もとから大量の木がするどく生えてくる。
「ソウルアーツ・巨剣・火炎刀」
副団長は勇者の剣を媒体にして、巨大な刀を作り出す。
「夕薙ぎ!!」
迫る木々を次々に焼き払う。
「その程度の火力なら、火とは言わない。これが『火』だ」
より濃く熱い火が迫る。
「副団長。一対一じゃなくていいんだよな」
「君の魔法も悪くはないのですが、手を出させてもらいますよ」
「黒煙」「裏百花繚乱流 覇王樹」
二人の魔法が火を散らす。
「余計な真似を。だが、まず一体。」
炎の剣が木人を真っ二つに叩き切った。土煙をあげて、木人が倒れる。
「ふむ。こうも敵意丸出しだと哀れに思える。辛かろう。その力」
無言だった木人が優しく問いかける。
「は、仲間の一人がやられて、弱気になったか」
「やられた?我々はやられることはない」
倒された木人の中からたくさんの小さな木人たちが現れた。
「『木』。我々の命は巡る。永遠に。」