最悪の怪人
「何秒もった?」
少年の声が聞こえる。マスクをつけた魔法使いたちが、演習場に現れた。あちらこちらに魔法痕が残り、火がくすぶる中、ズタボロになった魔法少女に尋ねたのだ。
「わか、らない、一瞬、すぎて」
魔法少女は震えていた。
少し離れて白い仮面の魔法使いたちが話をしている。
「凄まじいですね。さすが、初の白金級の怪人ですね。封印を解く時に思いましたが。あの時も何人かやられましたよね」
「教頭先生さんよ。オタクの生徒が、結構やられてると思うんだけどな。冷たい反応だな」
「助手君。わたしは先生を辞めたんですよ。関係ないです。タダシとよんでください。」
「タダシ?変な名前だな。まぁ、いっか。おれはジョシュアさ。教授の助手はもう辞めたんだからよ」
「マツリがいたはず。あのバカ娘。家に引き戻せば良かったものね。八つ裂きにしてやるのに」
「怖いよあんた。マジオウルっつったっけ」
「わたくしは、すべてを奪う。金も家も技も技術も全て。マジオウルはあの娘の名前。わたくしは、魔法少女を奪いましたけど。わたくしはあんな、ガリ勉娘の貧相な名前まではいりません。別の名前を名乗らせてもらいますわ。高貴にマジロベリアとお呼びなさい。」
「すごいよな。アンチエイジング効果があるんだよな。四十代のおばさんには見えねーよ」
「あ?クソガキここですり潰してもいいんだぞ」
「やってみろよババア」
「……タダシ先生」
「はい。裏百花繚乱 睡連撃」
「は、」「へに」
2人の膝が崩れかけるも、ジョシュアは注射器を太ももに刺し、マジロベリアは杖を振るった。2人は眠気を払う。
「「何しやがる」」
「冷静に。我々も命が危うい。奴はまだ近くにいる。気がしますよ」
「「……!?」」
2人の警戒度があがる。
「さすが、教育者ですね。2人の緊張感が上がりました。」
「おい、大将。安全だからここに来たんだよな」
「まさか?俺たちの目的の勇者様はどこに、お嬢さん。」
「つ、連れ去られ、た。本堂に向かって、いって」
「そっか。ありがとう。後から来る騎士団に手当して貰ってね。お姉さん」