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第4章プロローグ
世界樹のあまたの幹の中の一つ。旧世界線の文明の痕跡が残る、その場所に魔力隠しのフードを被った2人が話し込んでいる。
「第1研究室が堕ちたのは何世代ぶりかのぅ」
「おそらく魚人世界線以来の快挙ですね」
「なんと、さほど時間は経って無かったのか」
「いやいや、数千年っすよ。木人はすごいですね」
「我々も数が減った。数人だろう」
彼女らの前にはビルかとおもうほどの木人がいた。身体は世界樹に飲み込まれかけていて、上半身のみそこにあった。
「我々はどこにでもいるが、どこにでもいない」
「謎かけがしたいんじゃないんですよ。わたしは」
「ふむ。元魔法少女よ。我々になんのようだ」
「魔力を取り戻す方法が知りたい」
話の主はフクロ教授とバレオ副会長だった。
「君たちには魔心臓がない。難しいだろう」
「……難しいというなら不可能ではないはずだ。どんな方法でもいい。弟を助けたい」
「私も教え子の力になりたい。勇者になった春風さくらこの」
「春風さくらこ。魔女の子か。あの娘も数奇な運命よの。」