金策3
「はー、いけねー、まったくいけねぇ!これじゃあマツリちゃんに嫌われちまう。あーそうだ。金を貸してやるぞ。お前らバリューが課題なんだろ」
頭を掻きながらサラシを巻いた胸元から札束を取り出す。なんつーボリューミーな。いや、胸じゃなくて、札束がね。
「だれが、そんな」
「バリューはあれで奥が深い魔法だぜ?」
「あたしたちが自分で稼がないと」
さくらこも否定する。誰かに借りたもので合格出来るものなのか?そんな甘い世界ではないことはさくらこにも分かる。
「交渉術も大切な戦術だぜ。マツリちゃんの友達の勇者の女。ほぼはした金しか持ってないてめーらがどうやって金を稼ぐんだ?剣闘士でもやるか?」
「姉貴から受ける施しには価値なんかねーよ」
マツリも弱々しくも、そうはっきり断った。しばらく何か言いたげだったが、ため息をついた。
「はぁ、ふーん、そうかい。まぁ、好きにしな。おねーちゃんにいつでも頼っていいんだからな」
「マツリちゃん。いこ。ほ、ほら、2人とも、元気出して」
「あー」
「うー」
気落ちして、ゾンビのような2人を追い立てて、さくらこはエレベーターに乗り込む。扉が閉まる直前、ハナビと目が合った気がした。彼女は攻撃してくることは無かった。
「……」
「……」
少し寂しげにこちらを見つめた気がした。
エスカレーターが上に上がっていく。
「な、なに食べようかなぁ」
気まずさに耐えかねてそうつぶやく。
「16階天空レストランになります。」
ドアが開くと、そこは満天の星空がきらめく空間が広がっていた。
「マジかよ」「すご」「きれー」
1歩踏み出すと、身体がふわふわと浮かびあがり、無重力状態に。
「わわわわわ!?」
「これは、空間魔法?!」
「お、おぉ、おおお?!」
ふわふわと浮かぶ3人はしばらく宇宙遊泳を楽しんだ。
「お、さくらこだにゃ!さくらこぉ」
手をブンブン振ってニャルゴがやってくる。彼女は何故かメイド服を着ていた。
「お、かわいいね。ニャルゴちゃん!」
「へへ!バイトしてるのにゃ!さくらこたち来てみるにゃ?」
「行く行く!ちょうどお腹が減ってたんだ」
「3名ご案内にゃ!」
【鳥の巣】の魔法少女たちは特級の怪人が封印されてる海岸にきていた。魔道士たちが慌ただしく走り回っていた。鉄の壁の中に入り、封印を観察していた。
「すっげー封印。」
「これ、処していい?中にいるんでしょ?」
「だめだ。んー百花繚乱流封印術の奥義か。多段式の陣形か。他派の技を見るのははじめてだ。」
いまや、いつ復活しても対応できるように、様々な防御策がされていた。鳥居の周りは鋼鉄の壁で覆われており、術式が刻まれていた。その層が三重に建てられており、少しでも時間を稼げるようにしていた。
「よぉ!久方ぶりやな」
「あぁ、マジカルリッチか」
「よせーや。あらたまって。うちらは魔法少女仲間だろ?なーおいポンコツ見習い」
その言い方が、誰をさしているのかミナトは分からなかったが、会長の動きが一瞬止まった
「……ふぅ」
話しかけてきた魔法少女に喧嘩を売られた会長は静かに腰に手を伸ばす。
「あー、いまはポンコツ生徒会長やっけか?」
「……成金魚。」
ボソッと会長がつぶやき、2人はにこやかに火花を散らす。
「あ?」
「ん?」
張り付いた笑顔で笑いかける会長と、腕まくりするキンギョ。
「ちょ、また、この人は。恥ずかしいですからやめてください、会長。リッチさんもやめてください。」
二人は顔を合わせる度にこんな感じなのだ。
「んで、ワサビなんの用やねん。ウチは忙しいねんぞ。あんたら僻地の魔法学校と違ってな」
「ん?どういうことだ。私たちはお前に呼ばれたんだぞ」
「あ?」
2人が怪訝な表情を浮かべる中、優しげな声がした。
「喧嘩はダメだ、ぞ☆」
可愛いらしい声がした次の瞬間には、マジリッチ、マジワサビの2人は壁に叩きつけられていた。直ぐに魔法のロープで拘束される。
「ぐ」「ぎ」
瞬時にかけ出す2人。マジカルブラッド、マジカルブルーはそれぞれの得意の魔法をくりだす。
「処す!!」「青拳!!」
「ጿ ኈ ቼ ዽ」
目の前の人物の魔力が膨れ上がる。
「喧嘩っ早いな。血染めの牙」
早い。マジカルブラッドの拷問器具の召喚を躱し
相手の杖がレイピアのように、マジカルブルーの胸部に突き刺さる。なんどもなんども
「ミナト!!」
崩れ落ち、変身が解ける。
「ソウルアーツ。巨なる脚」
回し蹴りがマジブラッドに届く瞬間巨大化し、彼女を壁に蹴り飛ばした。
「悲しくなるなー現役世代よわすぎ☆先輩魔法少女として悲しくなるぜ☆」