封印の綻び
「ふぁ……」
「おい、気を抜くな」
2人の騎士が、怪人が封印された浜辺にいた。
「おれたちこんなのんびりしてていいんすかね。」
「大事な任務だ。」
「ここまでガチガチに固められたら、永遠に出てこないんじゃ」
赤い鳥居がいくつも重なり、きょだいな塊となっている。
いまは、さらに何重にも封印が重ねられており、常に上級の魔法使いが二十四時間体制で見張っている。
「……あぁ。だが、一年持つ保証すらない。おまえ、ここに来て3日目だったな。おれは二週間だ」
「?」
「13本。封印の鳥居が抜けた数だ」
「……ッ」
「1度抜けた封印は再度封印に使うことはできない。奴に学習されたということだからな。」
その言葉が聞こえているのか。パキンと、中の鳥居の二つが割れ、灰になった。
「っ…。」
「多重封印は、多重だからこそ強力なんだ。加速度的に封印が弱まっていく。」
「隊長、俺、この任務」
「降りたところで運命は変わらん。こいつが世に放たれた時点で俺たちに勝ち目はない」
「くくく、よぉく分かってんじゃねーか」
「チェリーブロッサム氏!!」
二人は慌てて敬礼した。
「楽にしてな」
そう言って自身も砂浜にどかっと腰を下ろした。
「見事な結界だ」
「あなたならさらに強力な結界をはれるのでは」
「あははは!だったらあたしが、張ってるさ。百花繚乱流はな。「変化する流派」だ。木の枝のごとく枝分かれしてな。うちの生徒会長が魔剣技に長けてるように、第一学校の教師は封印にたけた流派だった。あの封印術は百花繚乱流に伝わる全ての封印術を一気にかける超魔術。あたしらが出なかったんじゃない。あいつに魔力をみんなが預けてようやくできた奥義さ。そうぽんぽん撃てるもんじゃねーよ」
「だったらなすすべが…」
「若い才能に賭けてる。明日から開催される生徒同士の交流はいい刺激になるだろう」
「ガキどもに世界の命運を託すんですか」
「お前もわかぞーだろうに。いつの時代も、子供たちが切り開いていった。大人たちは次の道をつくる礎になる。あいつを封印するなり、倒すなりしないといけねーのは、みんなよくわかってるよ。だからこそ、あたしが切れるカードは全て切る。お前たちの任務も助かってるありがとーよ」
「いえ、これが仕事ですので」
「それでも言わせてくれ。未来を守ろうとする一人の仲間としてな」
「三校合同授業について説明がある。皆、寮で待機」
朝放送があり、皆雀御殿の共有スペースで待機していた。
「第一、第二、第三の魔法学校の合同授業を行う。今回は学び合い、競い合ってもらう。希望するもの、推薦されたものが今回は参加できる。」
さくらことアンリの手には推薦状、マツリの手には参加希望票があった。さくらこは魔法少女として、アンリは成績優秀者として、推薦された。
「1週間ごとに開催場所の受け持ちが変わる。約一か月間励みたまえ。着替えと勉学に必要な物などを用意せよ。明日は第二学校が主催となる。心するように」