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世界樹街道(ストリート)1

病室から出て、校長先生と院内を歩く。

「春風さくらこ。君が勝手にベアーズたちについて行ってたことはゆるされないことだ。だから、本来は退学処分にする手筈だ」

「はい……」

それは当然だろう。退学と言われてもしかたないことをしたから

「しかし、君は人命救助、そして学友のための行動として、私欲のために行動したわけではないことはわかっている。ゆえに二週間の謹慎処分と、寮内の雑事をすることを命じる。それが終わったら、友人たちと世界樹街道ストリートに行ってもいい。友人たちの許可証はわたしが手配するし、護衛もつけよう」

「あ、ありがとうございます!」

「君は、無鉄砲だが、どこかわたしの友人に似ている。」

「お友達ですか」

「あぁ、友達だとわたしは思っている。いまは遠く離れてしまっていないがな。懐かしい気持ちになったぜ」

そういうと校長先生は、杖を振るった。目の前に扉が現れ、寮の玄関が見えた。

「昨日の今日で悪かったな。あたしは他にも病院に用があるから、しっかり休め、じゃあな。」



さくらこと別れた後、ガリレオは診察室に入る。ヨボヨボのおじいさんが座っていた。

「やぁ、あなたですか。いつも若々しくて羨ましいよ」

「ハッハッ。照れるぜ。なぁ、院長先生よ!あたしの寿命はあとどんくらいかな」

「……。無茶しすぎだよ。ガリレオ。」

「ガッハッハッ!そう褒めんなっての」

「教頭先生の苦労がはばかれるよ。まったく。薬は出す。だが、気休めだ。君も厄介な呪いをかけられたもんだ。」

「は!いまようやく、世界線が動こうとしてんだ。ここで、終わる訳にはいかねーだろ」

「いつもの出しておくから。分かっているとはおもうが」

「あいよ。気休めにしかならない。無茶はしない、だろ?」

ガリレオが出た後、医者はふるびたカルテを見る。書き込まれている情報に目眩がする。たくさんの医療の足跡、うけた治療、魔法、呪い。

「わたしは何代目の医者なのかね」

ガリレオのカルテは祖父から引き継いだ。受渡された時、祖父はそのまた祖父から引き継いだと言っていた。長命なものもいるだが、それとは次元を画す。彼女は。


「世界線を超えし超越者か」



寮に帰ったあとは、さくらこはそうじを始めた。

キッチン、バスルーム、共同スペース、ゴミ出しなどをこなしていく。元々一人暮らしをしていたお陰で、手際よく片付けていく。

「よぉ!やってんな」

フクロ先生が訪れた。彼女はサングラスをして、パンツルックのタンクトップという姿だった。片手には2冊の本があった。なんつー格好で、来てんだよ。ありがとうございます!眼福だぜ。

「返しにきたぞ。後これは翻訳した本。」

「何かわかりましたか?」

「ん?なーんもただの日記だったよ。ただ、破れたところには大事なことが書いてあったんかもな。ロック先生に聞いたぞ。勇者魔法のフィール1.フィール0上手く使いこなしたみたいだな」

「はい!それに百花繚乱流にも乗せることができました。」

「そいつはすごい」

魔力を武器に流し込む技術自体はある。だが、勇者魔法でそれをやるのは難しい。気の昂りが、勇者魔法を乱すからだ。

「でも、杖が」

真っ二つに割れてしまった杖。勇者の剣と勇者魔法を繋ぐ媒体として、杖を使うようにしたのはフクロの助言だ。杖を壊してしまうのは、それだけのエネルギーがあるからか。

「水晶玉が無事ならカスタマイズするのもありかもな。」

「カスタマイズ?」

「まぁ、卒業したら結構してる人多いかな。杖が一番魔法使うのにイメージしやすいけど、わたしもスペアの杖は、ほれ、ガントレット」

彼女は手袋を取り出し、さくらこに見せた。

「わたしは、遺跡の探掘とかもしてたから、片手が塞がる杖よりも、よく使う魔法を編み込んだ手袋を使ってる。」

指をパチンとならすと、床に火がついた。

「あわわ火!!」

「あ、すまんすまん。マジブロッサムで暮らすなら、学校から支給された杖が一番いいが、ま、世界樹街道ストリートへ行くなら色々見たらいいかもな。」


さくらこはその夜。受け取った日記をめくる。かいてあることは、普通の女の子みたいだ。春風桜。どんな女の子だったんだろ。何千年前、世界線が変わる前もわたしたちみたいな人間が居たんだ。

「もう一度、素晴らしい魔法を、か」

日記の最後にかかれていた1文を読む。Restartと書かれている部分を指でなぞる。

「……。これだけ丈夫な本が、破れてるってどうしてだ。数千年は過ぎてるはずなのに」

現存してるほうが、すごいのか。

さくらこは、日記を撫でる。

「はじまりの魔女ってなんで人類を滅ぼそうとしたんだろ」

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