プロローグ ある少女の日記
今日から、学校に通えるようになったよ。長いこと楽しみにしていたから、ようやくって感じ!日記頑張ってかくからね。今までの落書きしてたこどもっぽいお絵描き帳はやめて、オシャレな日記を買った。特別な紙でタイムカプセルみたいに長い間もつみたい!
今日は友だちが出来た。クラスは違うけど、初めてあったのが嘘みたいに気があった。あしたお昼ご飯をたべる約束しちゃった。可愛いお花の名前の子だった。帰りしなに、町の花屋さんで同じ名前の苗木を見つけたの、すっごく奇遇。
今日の授業はパラレルワールドについてだった。自分と似たもう一つの世界。もしももう1人の私がいたらどんな気持ちなんだろう。一人一人の行動が少しでも変わると全く別の世界になってしまうんだって。バタフライエフェクト。わたしが、巨人だったり、猫耳はやしたりした世界もあったのかな。
今日は発展した科学は魔法のようなものって面白いこと言う先生がいた。昔の人から見たら今の世界はどんな風に見えるのかな。わたしも魔法使える世界なら魔法少女になれたかな。なんちって。昔お絵描き帳にたくさんの怪人を描いて正義の味方になって成敗する妄想してたな。黒歴史だけど。いつの間にかお絵描き帳なくなってしまってた。誰かに見られたら爆死しちゃう。
今日のニュースは宇宙人の話題でもちきり、まるで私たちみたいだったらしいけど、身体の中身が違うんだって。最近変なニュースが多いな。あ、親友ちゃんと同じ名前の木を校舎の裏に植えてみたんだ。大きく育てばいいな。そこでお話をしてたんだけど、もしも勇者と魔王のいる世界があったらどうするかって話で盛り上がったんだけど、わたしは悪の天才科学者で、親友ちゃんは魔女になるんだって。なんで勇者じゃないのかっていうと。勇者は世界で1人だけだからだってさ。すごい真面目な顔で真剣に言うもんだからわらっちゃった。
今日は親友ちゃんのクラスに混ぜてもらっちゃた。私がパラレルワールドに興味あるって話をしたら、こっそりいれてくれた。でね、世界線ってのがあって、計測する事が出来るんだって。わたしたちの世界って、(紙が破かれている)わたしたちの肉体は、魔力を生み出せないから、魔法を使えない。ただ、目に見えない力はいっぱいあるから、もし、魔力を作る装置を作れれば、私たちも魔法を使えるようになるかも、だって。
最近大変でようやく日記がかけるよ。この半年凄かったんだから。わたしたちの研究が、賞受賞したり、資金集めに奔走したり、なにせ、わたしたちが見つけた(紙が破かれている)。これで世界が変わる!!わたしの夢が、親友ちゃんの目標が現実になる。楽しみだなぁ。あ、たとえばなんだけど
(数ページ紙が破かれている。)
書かれている字体が変わる。
この日記を開くのも久しぶりだ。本当に久しぶりだ。色々あった。本当に色々だ。あの時植えた木は大きく育った。私は変わらない。中身は昔のままだ。だが、世界は大きく変わってしまった。わたしを取り囲む世界は、わたしが変えてしまった。いつの日かこの日記を手にしたものが、いたら、伝えてほしい。ここから書かれることはすべて妄想ではなく、実際に起きたことだ。役に立つことをいのる。(数ページに渡って紙が破けている。)
「ふぅ」
フクロは本を閉じてため息をついた。春風さくらこから預かったはじまりの魔女の書物を今の言葉に置き換え、さくらこに渡すため翻訳をしていた。ガリレオ校長が手放したのは、肝心のページが抜けているからか。春風さくらこは、ワルスの家の長男を救うために、この本を差し出した。フクロは解読していく中で、紙に魔力がわずかながら帯びているのを感じた。残りのページ次第だな。現存しているなら手に入れたい。
「春風のやつはどんなリアクションをとるのやら」