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クラス分け試験 1

「さてと」

【鳥の巣】の校長ガリレオは北校舎最上階にある校長室から、グランドを見下ろした。

「まずいですよ!校長!はじまりの魔女を称えるような言葉は!人類の敵ですよ」

「彼女は善か悪かは別として偉大な魔法使いだよ。世界線をまたいで名声が届いてんだからよ」

水の入ったグラスと錠剤を取り出し、グイッと飲み込んだ。

「……ここで、ワインでも持ってきてくれたらサイコーなんだがな」

「バカ言わないでください。死にますよ。あなただって、ご高齢なんですから」

「年寄り扱いすんなっての。いまから、クラス分けだな」

「はい。新入生105名。各国の見込みある少年少女たちです。」

「見込みねぇ」

彼女はあまり気乗りしていない様子だった。

「家や国から、魔法を散々込められた杖を渡されて鼻高い奴らには、期待してねーよ。試行錯誤してからの魔法だろうに」

「校長!大事な寄付をして下さってる方々のご子息です。あまり悪く言っては」

「はー。煩わしい」


グランドに残された新入生たちの前に現れたのは、くまの獣人だった。でかい。3mはあろうかという巨漢だ。

「1年ベア組担任のベアーズ・ロックだ。お前たちのクラス分けは試験で行う」

低くうなるような声で話す。彼は杖を振り、色鮮やかな玉がたくさん入ったフラスコを取り出した。彼の体格にあわせたのかフラスコも大きく、人の背ほどあった。


「試験内容は簡単だ。このグランドに逃げたり隠れたりするクラス名の書かれた玉を持ってこい。様々な動きをしているが、持ってこれる玉はひとつだけだ。制限時間は15分。はじめ。」


彼がフラスコを叩き割ると中の玉が弾け飛び出した。キラキラと光る雨のようだった。玉はスーパーボールのようにグランド中を跳ね回っていた。

「わぁあきれい」

さくらこを含め何人もその光景に見とれていた。ベアーズ・ロック教諭は、さらにアナウンスを続ける。


「なにボーっとしている。玉の数は100個しか用意しなかった。この意味わかるか?ひよっこども。」


「ふぇ?」

さくらこの思考は一旦止まった。それってつまり。1人が叫んだ。

「急いで捕まえないと退学だああ!」

「うわああああ」

「うそでしょう!」

くまの方を見るもニマニマと笑うだけ。

「俺を見ていてどうする。時間の延長なんぞないぞ」

「やばい!早く捕まえろ」

「見えないものを暴き出せシーク!!」

新入生たちは必死になって玉をおいかけはじめた

まわりの新入生たちは魔法を使い、次々と玉を捕まえていく。

「おやおやおや?早くも試合放棄かい?色無し。」

さくらこは自分を指さして尋ねる。

「色無し?」

「お前のことだよ。」

さっきの嫌な態度の3人組だ。身なりがととのった3人が現れた。中心にいる子は、ブロンドの髪をかきあげて言った。

「俺たちはもう手に入れたぜ。まぁ?色なしはなーんにも手に入れられないんだろうがな。」

煽ってきて、これみよがしに金色の玉を見せつける。きらきらと輝いていた。

「……きんたま」

「張り倒すぞお前!」

「坊ちゃん。落ち着いてください」

「そうっすよ。エレガントにスマートにです。どうせ負け犬の遠吠えっすよ」

とりまきたちがなだめる。

「へ、どうせここでリタイヤさ。あばよ。色無し」

奴らは玉を見せに去っていった。頭に登った血が下がり、不安が募ってきた。

「ど、どうしよう」

一縷の望みも無いだろうが、教師の方を見る。彼の前に2人の女の子が立っていた。腕まくりをしている高めの身長の女の子と身長が足りずダボダボになったローブを引きずるようにした女の子だった。


「ん?なんだ?便所か?」

くまの前に小柄な少女が立ち彼を見あげている。

「あなたが、魔法であやつってるなら、貴方を倒せば、たま取り放題」

ローブを引きづりながら小柄な子が言うと。

「へへ、じゃりんこ。たのしそーなことかんがえるじゃねーか。1枚噛ませろ」

背の高いオレンジ色の短髪の少女も、乗っかってきた。

「おもしろいこと考えるな。今年のガキどもは」

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