新生活
「ななななな、なああああああたたたたたた!!」
少女の絶叫が、朝日のなかで響きわたる。
「おらおらおらおら!!んな、逃げ回ってても、意味ねーぞ!!」
「んなこと、言った、てぇ!!!」
彼女は迫り来る魔弾から逃げ惑っていた。何発かがぶち当たりながら、走り回っていた。
「ミナトは生ぬるい。処されないためには、処さないと」
「もともとの適正魔法がないんじゃあな。普通の魔弾にしたら、死んじまうぞ」
弱めに調節した魔弾の雨を降り注がせながら、ミナトは困ったように言う。弱めと言っても当たったら当然痛い。
「やる気を出させないと。……春風ちゃん!ここまで無事にたどり着かないと、1週間ご飯抜き!!」
「はははばーか、んなこと言ってさくらこが必死になるかっての」
「うぉんどりゃああああああ!!」
さくらこは魔弾を防御魔法で防ぎ、一気にこちらに向かって来た。飯がかかってんのなら、本気出さねば!成長期の乙女の食欲なめんな!それに
「んなばかな。あんなの冗談に決まってんのに、なぁ?」
ミナトは、振りかえって同意をもとめる。
「?冗談?なんのこと」
曇りなき眼でこちらを見て来る。首をかしげて、ミナトの言ってることが分からないようだ。本気かよ。
「さ、さくらこ!」
少しは加減しないと、さくらこが死んじまう。だが、ミナトの肩に冷たい手が乗っかってきて、
「手を弛めたら、ミナトちゃんも、ご飯抜き、だよ?」
「「ぬぉおおおお!?!」」
2人の声が学校中に響く。
「まったく騒がしいな、朝っぱらから。こちとら、引越ししてこの2ヶ月働き詰めなんだぞ。」
欠伸をしながら、スーツを着たクマが現れた。
「おーいお前ら、あと10分ほどで始業だぞ。」
第三魔法学校が研究室の強襲をうけてから2ヶ月が経っていた。
さくらこは、朝と放課後に魔法少女見習いとしてのしごきを受けながら、日々を過ごしていた。
「ご飯抜きはいやああああ!」