第1章エピローグ
ミナト先輩に誘われて屋外に出る。
外の景色は随分と変わっていた。
世界樹の中腹あたりなのか町がかなり小さく見える。
「さくらこ1年生杖を出してよく見とけ。ふぅ……魔法種保護、幻術、盗聴盗撮妨害、探知拒否……」
次々に花火のように魔法が上がっていく。落ちていく魔法の火花は学校を包むベールのように広がっていく。
「常に魔法を感じたら杖を出すようにな。魔法樹の力を借りてる新魔法なら自動で記録される。見ろ」
杖の先に着いてる水晶のいろが、キラキラと瞬いている。
「うっし!完了!これでまぁ、応急の防御は大丈夫だろ。あとは先生たちに任せて、」
「いくぞ!」
ミナト先輩は大きく杖を振るう。
「わわわ」
「んな、暗い顔してんなよ。さくらこ!魔法は!すげえんだぜ!」
彼女はさくらこを空へと飛ばす。
足をばたつかせながら、空にほおりなげられる。視界に次々と景色が飛び込んでくる。世界樹が見えるし、街も見える。あんなにちいさい。
「お前が居なければこの景色は無かったんだ。さくらこ!」
キラキラと風に魔法が乗り世界が色づく。
「わたしは、タコさんを見殺しにしてしまった」
その景色が歪む。心に押し込んでいた思いが漏れ出す。涙がポロポロと空を舞う。
「もっと魔法を知っていれば、私が強ければ、みんなも怪我しなかった。」
溢れ出す想いに、さくらこは
「わたしは!」
「なぁ!!さくらこ!あたしはなんだ?」
「み、ミナト先輩です」
「違わないけどちげーよ。お前らを助けられ無かったお飾りヒーローだ」
「そんな、先輩は!」
「人は、1人で全てを司ることは出来ない。甘え、奢り?ちげーな。事実だ。」
「っ」
「あたしたちはなんでもできる神様じゃねぇ。だが、お前が居てくれて助かった命がたしかにある。見てみろ」
ミナトが、さくらこを振り返らせる。
「おーい!」
マツリとアンリが松葉杖や車椅子姿ではあったが元気に手を振っている。
「ふたりとも、良かった」
「誰も居なくならないのが、ベストだ。失ってしまっても、足掻いた先にたしかに手の中に残るものもあるはずだ。両方噛み締めて、前に進むしかないのさ。生きてるものはな」
ミナトもたくさんのものを失ってきたのだろう。慰めでは無い激励の言葉だった。
「さくらこ。あたしの全てを叩き込む。お前が託された価値を今から証明してやればいい。そしたら、あいつもうかばれるだろう」
「……はい」
さくらこたちの足元に広がる世界樹は太陽の光を受けて、輝いて見えた。
拙い文章ですが、ここまでお付き合い頂きありがとうございました!第一章はここまでです!感想等いただけたら幸いです