剣
ルイズの目の前が真っ暗になりそうになった。頭に過ぎる走馬灯。怪人に襲われる町。捕縛される人々。魔心臓を抜き取られたり、拷問じみた実験にかけられる家族。まだ死ねない。やつらを根絶やしにしなければ、
「西瓜!!!」
猛る声とともに視界が開ける。
「無事か!!救命を!マジカルブルー」
「了解っ!あいつ再生してるぞ、気をつけろ」
うっすらと、会長の姿が見える。
「あんだけ恥ずかしい思いをしたんだ。きっちりしとめさせてもらう」
会長は剣を抜き、追撃してきた腕を切り捨てる。
「おかしいっすね。会長さんは、グランドにいたはずだったっすよねぇ!」
「ああ、あれは偽物だよ。あたしが作ったな!外部からの侵入はすでに伝わってんだ。なめんな。魔法花・ドッペルゲンガー」
マジカルブルーは杖を振るう。するとマジカルソードが2人になった。
「規格外が2人……。喰らいがいがあるっすね!」
手足を斧や剣に変えて襲いかかる。
「頼むぜ、ソード」
「心得た」
切り結んでいるあいだに。マジカルブラッドに治癒魔法をかける。
「……っ。あいつ、やばい」
「大丈夫、あたしも参戦する。すぐにこの場を離れなよ」
逃がすのを確認して、マジカルブルーも参戦する。
「蒼拳!!」
両手に魔力の炎があがる。
「持ってくれよ。あたしの体」
踏みしめ走り出す。マジカルソードは、剣をとり次々に技を放つ。
「蒲公英!向日葵!」
「秋桜!!椿!!四季斬撃!!」
「ははっ!さすがに2人になると強いっすね!なら、」
鬼気迫る剣技に変身した手足を振るって応戦する。手足の武器を壊させ、本体へのダメージを受けないようにしているようだ。
「こっちぃ!!」
攻撃を1人に集中させ、質量で押しつぶす。マジカルソードの1人が霧のように消える。
「ハズレだよ!!蒼拳!!」
魔力の炎が爆ぜる。
「オラ、オラ、オラァ!」
拳を叩きこむたびに火の粉が舞う。
「ゴリラっすか!っ」
変身する手足を爆散させ、再度変身させるのを遅らせる。次第に本体に肉薄していく。
「流石に分が悪いっす」
彼女は全身を膨らませると、パンッとはじけて消えてしまった。
「ち、にげたか」
「ベアーズ先生、奴は」
念波を飛ばす。
「上に向かう未登録の魔力がある。このまま上にいくと、食堂があるぞ。生徒の魔力も感じる。急ぎ向かってくれ。我々は下から順に生徒の避難と消毒を行っていく。」
食堂にて、新入生たちが宝箱を漁っていた。
「おい、どうするよ。魔法つかえねーじゃないか」
獣人の2人もなし崩し的についてきてしまい、秘密に教えて貰った魔法を使うことが出来なくなってしまった。仕方なしに1個1個お宝の鍵穴を覗きこみ選別していく。別に隠すもんじゃないからわたしはいいんだけど。
「いたいたいた!ひよっこどもがうじゃうじゃと!小腹が空いたから、いただいてもいいっすよね」