邂逅
さくらこたちが北校舎へ登るさなか、獣人の2人組とすれ違う。ニャルゴとドグルだった。
「おっとっと!さくらこにゃ!」
「さくらこさんだ!さくらこさんだ!」
彼女たちは縦横無尽に壁を蹴り、移動してる最中だった。彼女らがさくらこたちの頭上に降りたった時に、目があったのだ。
「あなたたちも参加してたんだ」
「もちろんにゃ!」
「宝探しは記憶の中の野生の本能がくすぐられるの!」
彼女らは嬉しそうにいった。彼女たちは壁から壁へ飛び移る。
「取りにくいところにある宝箱はいいもの入ってるの!」
普段おっとりしてるドグルもニャルゴに負けずに俊敏にうごいき回っている。
「ひょえー、さっすが、獣人。すげぇ身体能力だな」
「うらやましい」
ぜぇぜぇと息絶え絶えに階段を登ってきた2人がいった。
「ま、お前たちより、魔心臓が弱いんだ。このくらいのハンデはもらわねーとな!」
しっしっしとニャルゴはわらった。
「会長たちとは出会った?」
「いんや。こっちの塔には書記さんがいたけど、慌てた様子でどっかいっちゃった。」
「そうなんだ……」
「おいさくらこ!こいつぁチャンスだぜ!さっさと食堂に行ってお宝をゲットしちまおう」
「食堂になにかあるのかにゃ?!」
校舎内に浮かぶ宝箱。近くにあるもので異世界の魔女の持つ、魔力の波長は感じられない。上か。あまり魔力を放っての大規模な情報探索はこちらのことが見つかるリスクがある。さきほど、喰らった守衛の魔力を体表面にまとっているとはいえ、いずれ消えてしまう。何人かの生徒たちとすれ違う。大小様々だが、所詮ガキ。喰らうほどの価値すらない。手を出すなとも言われてるが。
「あなた?なに?」
不意に声をかけられる。
「1年生っすよ。先輩」
リボンの色で見分け、声をかける。長い前髪に隠された表情は見えない。だが、秘める魔力は素晴らしい。
「つまみ食いくらいはいいかな」
目の前のご馳走に食指がうごく。
「あなた部外者?」
「馬鹿なこといわないでくださいっす。ここの新入生っす」
「見かけない顔だったから。ごめんね。」
ルイズは謝った。
「いいっすよ。誰にでも間違えはあるっす」
2人はすれ違う。
「……処すね」
「……嘘突き」
そして2人の攻撃が交差する。ルイズは彼女の足を拘束具で動かなくし、バランスを崩させるもなおも迫る首筋への刺突を首を傾けることでギリギリで躱す。よろめく相手の首にギロチンが現れる。
「ギロギロチンチンギロチンチン!!」
「やるっすね」
体をどろりと溶かして、拘束を外す。さらに怪人は腕を変形させ巨大な斧で切りかかる。
「見た目通りの身体ってわけじゃないのか、処しがいがある」
「ノーモションで、多重召喚術っすか。化け物っすね」
体に課せられたいくつもの拘束具を体を液状化させ外す。
「どっちが。変身、血にそまれ!マジブラッド!!」
「へ~。これが噂の。……魔女の再来。」
「怪人は皆!!わたしが正義の元に処す!!!!」
数多の拷問具が、空中に現れる。さきほどよりも格段に多い。
「……。世界樹のブーストっすか。所詮、あの女のおままごと。魔女になれない、魔法少女……。」
マジブラッドは、言葉の意味を理解するよりも先に、闇に飲み込まれた。
「正義なんてもんはないっすよ。先輩」