鬼宝探し②
「さて、あたしの隠したお宝を見つけるのは誰だろうね。あと、」
校長はすこし切なげにつぶやく。
「あまり校舎は壊さないで欲しいな」
会長が走り出し20人くらいは一気に捕まってしまった。さくらこたちはパニックになっていた。そんなときに声が響く。
「さくらこ!アンリ!はしれはしれはしれ!出口に」
マツリの声で我に帰り、体育館の混乱から抜け出そうと出口へ急ぐ。とことこと走るアンリをマツリは拾い上げる。小脇に抱えつつ、杖をふるう。杖の先には、彼女の召喚獣のアルファがいた。
「アルファ!!魔法種・巨大化!さくらこ!つかまれ!!」
大きくなった使い魔の背中に乗っかる。アルファの背中は、あったかく、とてもふわふわしていた。
「てめえらズルするんじゃねーよ」
「ズルじゃありません。魔法ですぅ。使い魔ですぅ。」
「跳んで!アルファちゃん!!」「おわっ!」
すぐ目の前にルイズがいたからだ。
「処す。」
彼女が手を床につける。
「カクカク三角!三角木馬!」
床がせり上がり、三角木馬が大量に生えてくる。
「おいおいおい!ガンマ!ブラスト!!」
もう1匹の召喚獣に命令して硬い岩石を飛ばさせるが、破壊できた木馬は二三個で、着地に不十分だった。このままではぶつかる!!
「魔法種!飛翔!、と、鳥王突風」
抱えられたままアンリが杖を振るうとアルファの体に羽が生え、力強く羽ばたいた。さらに追い風が吹き滑空するアルファ。
「すごいよアンリちゃん!」
「うぉ!ナイスだアンリ!」
「ふふっ!」
得意げなアンリ。そのまま体育館を脱出し、ひとまずグランドを目指した。
「最後の子、新魔法と旧魔法を組み合わせた?面白い。絶対処す」
「処すなっての。だいぶ捕まえましたね会長。三分の一くらいか」
「ははは!いやぁ、楽しいな。」
廊下に出たさくらこたちは息を飲む。
「あー、こっち方面か」
「とりあえず手当り次第持って、逃げ場の多いグランドへいこう」
「了解」
廊下のあちこちに手のひらサイズの宝箱が至る所に浮いていた。
サーチ対策として、宝箱を隠すのではなく、探す対象を増やすことで魔法を無効化する。これはこれで厄介だ。
「待って~新入生諸君。もっと私と遊ぼうよ。」
地獄からはいでてくるような会長の声が背後から聞こえてきたので、大急ぎでグランドまで逃げることになった。
グランドにもたくさんの宝箱があったがひとまず宝箱を開けてみることに
「ん?あかねーな」
「ほんとだね。んぎぎぎぎぎ!だめだ。どれもこれも、開かない」
思いっきり引っ張っても、2人がかりでも開く気配は無かった。
「見て。ここ」
しばらく、宝箱を観察していたアンリが指を指す。
鍵穴の中を覗き込むと何やら数字が書いてある。
「100.B?」
「おい、待て、これ、まさか」
マツリが自身の杖を取り出して、
「……支払い、100ブロッサム」
カチャっと音がして、宝箱が開く。
「「有料なのかよ!!!」」
宝箱を叩きつける。
宝箱は光の玉になり、空に飛んでいった。
「あ、これも、魔法なんだ」
「見て」
アンリが紙をひろいあげると、木下ベーカリーのさくらクロワッサン引き換え券と書いてあった。
「なんだよパンかよ」
「うぉ?!!!」
普段感情に乏しいアンリちゃんが目を見開いてる。
「どったのアンリちゃん」
「入手困難!限定発売!幻のクロワッサン!!!」
目が輝いている。
「あー、、、ほしいなら、やるよ。アンリ」
「マツリ。あなたは、神か。」
「やめろよ、たかがパンだろ?他のもあけてみよーぜ」
5個開けて当たりは3つだった。
「課題の免除券、あとは学食200ブロッサム券か」
「鍵穴のポイントも宝箱によってちがうよね」
「支払うポイントによって、中身の価値もだいぶちがうね」
「となると、さくらこ、あの先輩に教えて貰った魔法が役にたつんじゃねーか?」