鬼宝探し(オーガトレジャーハント)①
月曜日放課後。【鳥の巣】は異様な熱気に包まれていた。
「すっごい賞金が出るんだろ?」
「なんか、昔の魔道具らしいよ」
「いやいや、ポイント100万ブロッサム」
子供たちの中でさまざまな噂が流れていた。
「なぁ、アンリとさくらこは何が欲しいんだ?」
マツリはアンリの頭に乗っ掛かりながら聞いた。アンリの方は気にしてる様子はなく、むしゃむしゃと菓子パンをたべていた。体育館に集合と言われ、30分くらい待っている。
「食堂タダ券」
「わたしは食堂タダ券も魅力的だけど、自分で作るのも好きだしな。あ、新しい包丁とか欲しいかも」
「普通に買えばいいじゃねーか。せっかくなんだから、豪華なお宝とかないかな。」
体育館の中は次第に騒がしくなっていき、人が集まり始めた。突如放送がかかる。
「あー、マイクテスッマイクテスッ!はい!わたしは、放送部部長!3年!ウグイ=スージョウです!1年生諸君!これから、校舎を使って、宝探しが行われます!ただし、ただの宝探しじゃありません。鬼宝探しです!」
周りがザワつく。
「君たちには、校舎内にあるお宝を探してもらうのですが、鬼にタッチされてしまったら、終了です。宝箱に杖で魔法を当てると、登録され、あとから景品が授与されます!チームのどなたが見つけても、大丈夫です。なので、最後まで楽しんでくださいね。追いかける鬼の役目は、我らが第三魔法学校【鳥の巣】生徒会!麗しき鬼の生徒会長あかね。狂気の処刑人ルイズ。硬い胸、コホン堅い拳の鉄拳制裁ミナト 」
「ちょ!まてこら!あたしだけ喧嘩売られてるんだが!?」
「はぁ、わたし、そんなにこわいか?鬼て。校長先生も、仕事をして欲しい。やるだけやるが」
「捕まえたら、処していい?処していい?」
体育館のステージから3人が現れた。
「あ、ミナト先輩!」
さくらこが手を振ると、さりげなくウインクをしてくれた。
「たった3人で鬼って捕まえられるのか?」
「学校のサービスかな。やったあ!」
「さて、みなさん長ったらしい説明はしまいだ!探してきな!捕まったら終了!!鬼宝探し開始!」
しゅ、ぱん!!!!!
ものすごい破裂音。開始早々に体育館に響く。
「へ?」
参加者の目が点になる。今の音はなんだ?
視線が右に集まる。壁にめり込み、動けなくなる参加者。
「さっき、わたし、見たんだけど、いや、早すぎて見えなかったんだけど、たぶん、あれ、ひ、平手、打ち……」
1人の生徒の告白と恐怖が広がっていく。腕をぐるぐると回しストレッチをはじめる生徒会の面々。
「先生方から聞いた。君たちは、基礎魔法は修了していると。加減しなくても大丈夫だと」
会長たちの目が光る。
「さぁ、行こうか。いや、逝こうか新入生諸君」
「待ってって会長。せっかちだな。処刑会、じゃ無かった。鬼ごっこなんだから、10数えないと」
「む、そうなのか?かわいい後輩のみなと遊べると聞いて。気持ちがはやってしまった」
普段の仏頂面の口端がにまにまと隠しきれない喜びをもらしていた。
「ほら、会長数えますよ。いーち、にー」
「さーん、よーん。処す処す」
「5678910。よし行こう!!」
「「うそだろ!?」」
ぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱん
「へ?」
「「「「「えー!!!」」」」」
あっという間にタッチされていく。
「逃げろ!逃げ、うわあああ!!」
「やばい、やば」
「は、早すぎるって」
体育館はすぐさま阿鼻叫喚の状態に。遅れてやってきた校長は頭を搔く。
「あらまぁ、手加減するように言うの忘れてたぜ」