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世界は魔法に満ちている。1

いくつもの通路を抜けた先、この世のものか分からぬ材質の分からぬ壁は、所々チカチカと点滅していた。通路を抜けた先に燃えるような瞳の魔女がいる。

「よう、Happyかい?マイダーリン。お前が、えーと、このあたりに、あー、そうそう、28人目の勇者だ。」

彼女は退屈そうに欠伸をしながらそういった。彼女は何やら、薄い板のようなものを見てそれを空中に浮かす。ただ目だけ鋭く光っていた。

「2……8人目、だと」

彼は勇者の剣を構えて、彼女に合わせながらも動揺する。

地上から遥か上空にある魔女の住処。どこが上なのかも分からぬ歪な空間。窓らしき場所から見える外は黒い空間が永遠と広がり、星が瞬いている。

「こんな、世界の果てに、俺の他に28人も、そんなはずないだろう!俺がここにたどり着くまで、どんな犠牲を、払ってきたのか!ミーシャや、レオン、それに」

仲間たちの顔が目に浮かぶ。優しく気高い幼なじみのミーシャ。親友でライバルのレオン。

「あーいい、いい。そう言ったくだりは聞き飽きてんだ。どいつもこいつも、自分たちが特別だと思ってな。今回の世界線……あー、あんたの国は、なかなか遅かったな。ここまで到達するのに。ざっと、3000年ほどか。本題を伝えるよ。あたしは、なぁ、名も知らぬマイダーリンさんよ。この世界を滅ぼそうか迷ってんだ。海のような青い目をした勇者さんよ。あたしは、世界をどうしたらいい?」

「……?滅ぼされては困る。犠牲になった仲間たちのために、俺は世界を守らなければならない。それに、俺が死んでも次の戦士がここに来るだろう。」

まだ弟子がいる。子供たちがいる。圧倒的な力をもつ魔女に殺されたとしても、次の世代がいる。

「勇者100人までは頑張りたかったが、だいぶ飽きてきたな。あ、ちなみに、あたしはなんでもできるぞ。未練があるなら、ほれ」

城全体がゆれ、彼女は窓の外を見るように促した。とんでもなく大きな青い球体が漆黒の世界に浮かんでた。

「青い球?」

「こいつが星ってことも分からぬままここまで来たのか。呆れた根性だぜ。ポチっとな。」

ヒュポンっ


という音。黒い人間大の弾頭が吸い込まれるように青い巨大な玉に近づき小さくなっていく。宇宙からも確認できる巨大な樹。そのふもとにある国。

数秒後に大きな黒い煙をあげた。

「ほい。ダーリンの国~消滅。もう未練はないだろ。かっはっはっは」

彼女は先程の薄い板、タブレット型端末を向ける。焼け野原になった大地が移されていた。巨大樹こそまだ立っていたが、シャボン玉がドーム状になっているような美しい水の都は消滅していた。

「これは」

「マイダーリン、あんたの国の今の様子さ」

炎が燻り、辛うじて建物の残骸があるだけだった。

「……嘘、だ……。二千年の歴史をもつ、タコニチュア王国が、壊滅、、、、」

目の前の光景が信じれない。

「二千年か~浅い、浅いよ。ダーリン。君は知ってるか。今の爆発が核融合のものであること、君は知ってるか。ここが、宇宙ステーションだと言うこと、君は知ってるか?私はなんども世界を滅ぼし作り直していること。かつての人類の歴史には、空白の20万年があった。理由は簡単さ。なんども人類は作り直されているからね!人類の手足が2本ずつだった頃から」

勇者は自分の手足を見る。6本の腕に吸盤がついている。2本の腕なんて気持ち悪い。

「まさかタコが進化して、世界を支配してるとはね。今回の人類はなかなかに賢かった。」

「……俺はどうなる」

彼は水で満たされた鎧の中から問いかける。

「あたしはちょうど、たこ焼きが食べたかったんだ。君は知らないだろ?あたしの忘れられない遥か昔の記憶に残るふるさとの味さ。キャベツとかは何とかなるんだが、流石に海鮮を用意することはできない。いつもなら、ドローンに取りに行かせるんだが、まぁ、暇つぶしさ」

彼女は、包丁を取り出し、たこ焼き機を取り出す。この宇宙ステーションはあらゆるものを生み出す完璧だが。生み出すことはできないものもある。勇者は杖を構えるも、目の前の彼女の前には無力であることをさとった。

「殺せ。生きてる意味はない」

「はははは!生きてる意味?んなもんだれもねーよ。この世はすべて玩具。あたしの玩具さ!!歴史をやり直す度に、世界の魔力は高まってきている!この次の世界線は、大魔法時代になってるかもしれねーな!!」

「魔法が使えるものは、ほんのひと握りの選ばれたものだけだ。」

自分たちのパーティを結成するにあたり、世界中から魔力と呼ばれるエネルギーを持つものが集められたが、100人にも満たなかった。

「だからよぉ!日々増えてんのさ。あたしがまだJKだった頃は魔法なんて存在しなかった。科学の世界だったのさ。まぁ、なに言ってんのかわからねーだろーな。マイダーリン、あんたの魂は次の世界に引き継がれる。安心して眠りな。ムダにはしねーよ」

彼女は、嬉々として、彼を解体し、たこ焼きを作り出す。捌いている最中に光る宝石を体内から、発見する。

「やっぱりな。魔心臓も世代を重ねる毎に大きくなってきてる。あと、何回か重ねたら、魔法が当たり前な世代が産まれるだろうよ。さて、ノアよ」

「ハイ」

宇宙ステーションの人工知能が返事をする。

「データは収集してるな。今回のタコの人類から得たデータ、サンプルを解析、蓄積、反映を頼む。この魔鉱石はいつも通りに魔獣への埋め込みを行え。」

「リョーカイ」

「あたしはまた、一から作り直しだ。あたしの夢を叶えるのは何時になるのかねー。ノアまた、ここまでたどり着ける人類が産まれたら、起こしてくれ。さぁRe startだ」

ノアは世界線を更新する。今回は海に魔力分配を多く割き過ぎた。3.56の世界線は失敗した。配分を調整しよう。また次の人類を作らねば。より魔力が高く、それでいてマスターの姿形に近い生命体をデザインせねば




世界線が更新される。




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