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世界線

午後の授業の合間、ようやくミナト先輩を見つけた。

「ミナト先輩」

「よぉ!さくらこ1年生じゃねーか」

「よぉやく見つけました。先輩、忙しすぎませんか」

2年生の彼女の級友に時間割を聞いても、なかなか捕まえることが出来なかった。ある時は人助け、ある時は生徒会の仕事、ある時にはふらりと消えていたり、霧でも捕まえようとしているのかというところだった。一日かけて、ようやく出会えたのだ。


魔石を取り出した。昨日渡されたものだ。

「これ、授業で習いました。マジブロッサムの地下にある大事なものだって。これで魔法が使えるんですよね」


「1度あげたもん返されちゃ、カッコつかないぜ。」

「でも、」

「じゃあ、お前がこの魔石使わなくてもいいくらいの実力になったら返してくれ。お前、魔力すくないんだろ?魔法なし、魔力なしじゃあ、この【鳥の巣】じゃ。苦労すっからよ。それにほら」

彼女は自身の杖を見せる。

「これって、……魔石?」

「そうさ。魔力を補うなんてみんなしてることさ。まぁ、恥ずかしいから、幻術とかで普段は見えないようにしてるんだけどよ。安心して、もっときな」

「はい……。」

「んで、用事は終わったか?」

「あ、そうだ。昨日の体育館でのことなんですけど。」

ことのあらましを説明したあとに、タコニチュアさんを先輩に見せる。追跡の魔法がかけられていたこと、体育館をもう一度調べたほうがいいこと。

「あの場に魔法の痕跡はなかったが、一応守衛さんに伝えておく。んで、ふーん、こいつがね」

「つまみ上げないでいただけるか?惨めな気持ちになる。」

「お前、主人は?」

不思議なことを聞く先輩にさくらこは首をかしげた。

「……いない」

「ふむ」

メキッ。

ぬいぐるみのような体を圧し曲げようと先輩はした。

「ちょ、なにへし折ろうとしてるんですか?」

「生意気にだんまりだから?……さくらこ忠告しておくぞ。自我をもつ訳の分からないものを身近に置くと後悔することになるぞ。体育館は見ておくから、お前は授業に行ってこい」


「は、はい」


タコニチュアをさくらこに放り投げると、先輩は行ってしまった。

「ごめんね。タコさん大丈夫だった?なんで黙ってたの?」

「かまわぬ。……わたしは主人を失っている。」

2人に背を向けたあと、ミナトは考える。魔法を分析する魔法生物や召喚獣はたしかにいる。だが、契約主が残す印が無かった。攻撃を加えても、消滅しなかったところを見ると、魔力によって生成されたものではない。怪人にしては理性的すぎる。

「……。怪人でも、召喚獣でもなさそうだから、返したが……。未確認生物アンノウンは油断ならねーな。」




研究室ラボでは教授プロフェッサーがモニターを見ていた。82.5パーセント。仕込みは上々。あと少しで起動できそうだ。

「ふぅ」

振り向くと助手がカップ片手に戻ってきていた。

「助手君、【魔法少女世界線】のズレはどのくらいだい」

「ノイズはいくつかありますが継続圏には収まってますよ」

「魔王石が隠してある候補地は?」

「マジブロッサムの商店街で一瞬反応がありましたが、空振りでした。小粒の魔石だけでした。」

「怪人が現れてから倒されるまでの時間は」

「世界樹から離れれば離れるほど長くなります。魔法少女は世界樹の中に校舎のある第一か第三の魔法学校の生徒に間違いないでしょう」

「…………。今後の計画のためにも、仕掛けるか」

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