【デコイ】24年通常国会などでまともだったと思える法案・行政規則【マッチポンプ】
※あくまでも現時点で僕個人が考える“良かった内容”であり、実際の法運用で変わる可能性があります。
本日は当エッセイをご覧いただき誠にありがとうございます。
今回は212回国会とその周辺での行政令における「良かった点」について見ていこうと思います。
⇒ より先に僕の個人的な解説を書いてありますのでどうぞご覧ください。
〇地方自治法改正の一部
・地方公共団体に基本方針策定を義務付け
総務省は、サイバー攻撃に対処する地方自治体の体制強化を推進するため、各自治体にサイバーセキュリティーに関する基本方針の策定と公表を義務付けた。
⇒サイバー攻撃に関しては官民一体で防御しなくては国家の通信インフラは破綻する可能性があります。
※一方で同法案では大規模災害や感染症の大流行などの非常事態に「指示」(義務に近く法的拘束力がある)が出来るようにもなる。(こちらが“プチ緊急事態条項”として本丸か?)
〇入管・難民法
・永住権剥奪要件の追加
永住者が故意に納税などを怠る悪質なケースについては地方自治体が同庁に通報し、許可を取り消せる仕組みに変更。
1年超の懲役刑や禁錮刑(来年6月から「拘禁刑」に一本化)を受ければ現行制度でも強制退去の対象となるが、新たに1年以下の懲役・禁錮刑を受けた場合も取り消し可能となった。
⇒ この制度だけならば問題は無いが「強制退去」になったとしても「強制送還」に実効性が無ければ「不法滞在者」が増えるだけになってしまう。
・不法就労する外国人の雇用やあっせん行為を取り締まる「不法就労助長罪」を厳罰化する
不法就労助長罪は、雇用主や仲介業者が外国人を不法に就労させた場合に成立するもの。現在の法定刑は「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」だったものを、
「5年以下の懲役(来年6月から拘禁刑)もしくは500万円以下の罰金」に引き上げる。
⇒ 外国企業に適用できるか(特に埼玉県)が課題になってくるように思います。
※一方で政府は「外国人技能実習制度」を廃止して「育成就労制度」を創設する関連法案を今国会に提出する方針。現行制度では実習生が働く場所を変える「転籍」(転職)を原則認めていないが、新制度は一定の条件を満たせば認めるとしている。
⇒ 事実上の“移民“にも関わらずそれをごまかすのは許されない。1年の就労要件は外国人の方にとっても酷な内容となっています。
〇 入管法規則改定
・留学生受け入れ停止を大学に要請
留学生への在籍管理が不適切な大学などに対して留学生を受け入れ停止できるようにする入管法規則を制定。
授業への出席やアルバイトの実施状況を把握していない場合などを想定する。留学生が行方不明になり不法滞在などにつながらないよう要件を厳しくするもの。
⇒ 非人道的と言われかねないですが、東京福祉大では2016年度から18年度までの3年間で約1万2千人を受け入れたが、うち1610人が所在不明、700人が退学、178人が除籍になっていたという経緯があります。
・在留特別許可の「積極要素」に「日本で育った子供の利益」を追加
非正規滞在の外国人の個別事情などを踏まえ、法相が総合的な判断で在留を特別に許可する「在留特別許可」(在特)について、出入国在留管理庁は24年3月5日、可否を判断する際の新たなガイドライン(指針)を公表した。
非正規滞在の期間が長いことを「消極要素」とする一方、地域社会との関係や日本で育った子どもの利益を「積極要素」とすることも明記した。
法相は、家族関係や素行、在留している期間、入国した経緯――などを踏まえ、積極要素として考慮すべき事情が消極要素を明らかに上回る場合に、許可をする方向で検討する。2022年には1525件(人)が許可されている。
⇒ 「難民申請無限ループ」による不法滞在の長期化によって子供が産まれその子が日本で学校に通う年齢になっても通うことが出来ないという複雑なケースも増えてきています。
「強制送還制度の不備」から「新たな子供人権問題」という本来あり得ない歪みが生じてしまい、それを改善するための制度としてやむを得ない措置といえます。
〇 犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律
『犯罪被害給付金 一歩前進ながら課題が残る』京都新聞 6月16日の記事より、
『政府は、犯罪の被害者や遺族に国が支給する給付金を増額する法施行令改正を決定し、きのうから実施した。
給付額を底上げし、遺族に支払う最低額を現行の320万円から、多くのケースで1千万円を超えるようにした。
事件の遺族給付金は昨年度の平均額が約707万円だった。改正後、全体の給付額は約13億8千万円から数億円増えると見込まれている。
ただ、交通死亡事故に支払われる自動車損害賠償責任(自賠責)保険は、将来得られる「逸失利益」を基に平均約2500万円とされる。3倍超ある格差 遡及的には救済されない』
⇒ 遡った被害者に適用されないのは非常に残念ですが、かねてから犯罪被害者の救済について補償があまりにも足りなさすぎることは問題に思っていたので一歩前進できたのは良かったです。
〇 改正プロバイダ責任制限法
今回の改正で事業者に対し義務付けることは、
・削除申出窓口や手続を整備、公表。削除申出への対応体制の整備。
・削除申出に対して、削除に応じるか否か一週間程度で判断、通知する必要がある。
さらに削除基準を策定、公表した上で、削除した場合は発信者への通知も行うこととする。事業者は、削除の実施状況とそれに対する自己評価を年1回公表する必要がある。
⇒ インプレッション稼ぎのための過激な投稿、有名人を偽った詐欺広告などが横行している。これらをしっかり海外ビックテックに対して履行することが出来るか? が1点目の課題。
もう一つは「削除基準」が公明正大で明確な基準が無ければただの言論弾圧になってしまうためにだれでも閲覧できるようにし、きちんと行われているかどうか確認する必要がある。
〇CCS事業法
二酸化炭素(CO2)を地下に貯留するCCS(二酸化炭素回収・貯留)について、
国が二酸化炭素をためられる区域を指定したうえで、公募によって選ばれた事業者にCCS事業の許可を与えるとしています。
許可を受けた事業者は、
・二酸化炭素をためるのに適した地層かどうか確認するため掘削する「試掘権」の取得
・実際に二酸化炭素をためられる「貯留権」が与えられます。
⇒ CO2が温暖化に寄与しているかどうかは置いておいて、いわゆるカーボンニュートラルを目指すのであれば避けて通れないCCSの技術を進めることには大きな意義があると言えるでしょう。
〇水素社会推進法
製造時に出る二酸化炭素(CO2)が従来の手法よりも少ない低炭素水素の供給や利用を促す狙い。水素を製造・輸入する企業の事業計画を政府が認定し、既存の燃料との価格差分を補助する。
⇒今現在水素エンジンなどの技術はトヨタなどの日本企業が世界でも頭一つ抜きんでています。そんな中、補助金の格差が他の再生エネルギーの中でも低く設定されていました。
その格差是正がなされたことはとてもいいことと言えます。
〇陸上風力発電規制法
時事通信 5月17日『陸上風力発電規制法が成立 自衛隊レーダー影響防止』 より
『自衛隊のレーダーなどに影響する陸上風力発電施設の建設を規制する新法が17日、参院本会議で自民、公明両党や立憲民主党などの賛成多数で可決、成立した。自衛隊施設周辺を「電波障害防止区域」に指定し、事業者に事前の届け出を義務付ける。
政府は再生可能エネルギーを推進するが、陸上の大型風車群は、自衛隊の警戒管制レーダーや通信に用いる電波を反射し、任務に支障が出るとの懸念が出ていた。
指定された区域内に風力発電設備を新設する際、事業者は事前に防衛省に計画を提出。同省は自衛隊の電波利用に障害が生じる恐れがあると判断すれば、協議のため2年間建設を制限できる。違反者には1年以下の拘禁刑などの罰則を科す。』
⇒ そもそもむやみやたらに「再生エネルギー」の旗印を掲げれば何でもいいという状況が問題だったと思います。風力発電が国防にも影響が出ていたというのは衝撃的な話だと思います。
〇 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法
山間部で相次ぐ開発トラブルの解消策として4月から軽度の違反でも再生可能エネルギー事業者向けの売電収入や供給促進交付金を受け取れないようにすることがきるようになった。
設計・施行・完成後の保守点検について改正が施行される前に設置をした業者に対しても適用されることになっている。
⇒ 内容としては素晴らしいです。研究がないために明確な証明はできませんが、クマの大量出没も太陽光パネルが責任の一端があると思っています。
一方でこの法案では追加投資をしやすくもなる条項も存在するために、
どういった軽微な違反でも停止されるのか? もうハゲ山になってしまった山間部や農地などに対する原状回復などの実効性などが非常に問われると思います。
〇 重要経済安保情報保護法
漏洩すれば日本の安全保障に支障を与えるおそれがあるため特に秘匿する必要がある政府保有の特定秘密に「経済」「技術」を加えたもの。
6月24日にいまだに曖昧になっている
保全される情報の範囲や、重要情報にアクセスするために必要な「適性評価」に関する運用基準は年内をめどに策定する考え。
⇒ 一度認定した後の有効期間が各国と比べると長いことや、認定者の信頼などまだまだ足りないがないよりかはマシ。各国がこれで安心できる保証は全く無く、スタートラインに立つ権利を得たかも怪しいといった状態と言えます。。
〇性暴力防止法(日本版DBS)
DBSとは子どもに接する仕事に就く人について、雇用する事業者がこども家庭庁を通じて法務省に照会をかけ、その人に一定の期間、性犯罪歴がないかを確認する仕組みです。この確認について、学校や認可保育所などは確認が義務づけられることになりますが、
一方で個人事業主や塾や学童保育、ベビーシッターなどの民間事業者は「認定制」となりました。
⇒ ザル感はぬぐえないが無いよりは絶対的にマシ。これまでは似たようなところに転職することで逃れることが可能だったため。
照会できない・罰則を受けていないと証明(犯罪経歴証明書・無犯罪証明書等)できない個人事業主などは「危険」と認知させることが重要になってくると思われます。
◇総括
注目点としては入管難民改正法や地方自治法のように「良いところと悪いところを混ぜている」というところです。
そのために上記の「良いところ」は「デコイ」として存在し、本命は僕が「悪いところ」と見ているところなのかもしれません。
また、太陽光パネルや永住権取り消しなどの一件は政策立案の段階では想定しきれなかった(敢えて見て見ぬふりをした?)「政府が自ら蒔いた種」を消す「マッチポンプ」であると言えると思います。
やはり制度設計の段階から国民側が徹底追及していく必要があるようにも思いました。
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