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【SOO】星ノあかりVS粘着PK『UNKNOWN』まとめ

 キララ、こと白谷(しらや) 真耶(まや)は、いちご牛乳のミニペットボトルを片手にPCデスクに座った。滑らかなタッチタイピングでブラウザーの検索バーに文字を打ち込んでいく。


「星ノあかり、粘着PK、切り抜き……」


 真耶は、検索結果のトップに出てきた『【SOO】星ノあかりVS粘着PK『UNKNOWN』まとめ』という動画を再生する。


◆◇◆


 砂漠フィールドを歩くあかりに、1人のプレイヤーが近づいてくる。UNKNOWNだ。


「辺境でプレイヤーさんを見つけると嬉しくなりますねー、こんにちはー」


 軽く手を振って付近を通り抜けようとするあかり、しかし、UNKNOWNはあかりを目指してまっすぐ歩いてきた。あかりの前に立ちはだかるUNKNOWN。


「えっと、こんにちは?」


 UNKNOWNはいきなり肉切り包丁を振り上げ、あかりに襲いかかる。


「え、ちょ、まって! まってまって! なんで! ぎゃー!」


 圧倒的なステータス差に抵抗できるはずもなく、あかりは数回殴られただけで死亡してしまった。


「うぅー、ひどいよー」


【無差別PKか、仕方ないね】

【悲鳴助かる】

【可哀想は可愛い】


 あかり自身もコメント欄も、まだ穏やかな空気を保っていた。このくらいであれば所謂『撮れ高』の範疇だからだ、しかし────


「はっ、はっ、はっ、はっ」


 シーンが切り替わり、暗い廃墟の中を走って逃げるあかり、背後からあかりを追う足音。瓦礫に躓いたあかりは転倒してしまう。


「うーいてて……っ!」


 あかりが振り返れば、そこには拳銃を突きつけるUNKNOWNが立っていた。


「わー! やめてやめて! やめてくださいああああっ! ………うぅ、ひどいよぉ、同じ人に2回も会うなんて……」


 数発の銃声の後死体になるあかり、あかりは笑顔を保っていたが、どこかぎこちなかった。


【悲鳴助かる】

【ホラー映画みたい】

【これ大丈夫? ゴースティングされてない?】


 以降は、ひたすらあかりがUNKNOWNにキルされるシーンが流された。あかりは気丈に可愛らしい悲鳴をあげ続けたが、その悲鳴がだんだん真に迫ったものになっていくのを隠しきれていなかった。


【粘着PKきも】

【あかりん可哀想】

【運営に通報した方がいい】

【可哀想は可愛い】

【もう辛くて見れん】

【俺らであかりちゃんを守ろう】

【可哀想は可愛いとか言ってる奴、面白いと思ってんならクソつまらんぞ】

【普通にガチ悲鳴やん、察しろよマジで】

【普通に可哀想】

【俺らで粘着のこと一斉通報すればAIが自動BANしてくれんじゃね?】

【そうしたいところだけど、SOOってキルログとかに出てくる名前とIDがイコールじゃないから、通報出来ないんだよね】

【何そのクソ仕様】

【他プレイヤーとの名前被りを気にしなくていい神仕様だぞ、基本的には】

【他プレイヤーと被っちゃいけないのはIDだけだから、名前を自由にできる】

【オンラインゲームあるあるの、『その名前は既に使用されています』が発生しない神仕様なんだけど、こういう時には不便】

【名前もコロコロ変えれるしね】

【あかりん泣かないで】


 キララは動画の再生を停止した。いちご牛乳のペットボトルを開けて、ひと口飲む。


「あと分からないのは、理由、くらいか……」

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