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夜空に舞う星々のノクターン  作者: 餅月 響子


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第12話 青春の軌跡

雲一つない空に、

渡り鳥が優雅に飛んでいく。


今日は翔太先輩の3年最後の地区大会の

試合が行われていた。


野球部の応援に吹奏楽部もやってきていた。

この試合を勝ち進めば、甲子園の切符を勝ち取れる。


この高校は一度も県大会にさえ、

出場したことがない弱小校だった。


地区大会には、毎年甲子園に出場する強豪校が参加している。勝てる余地なんてないと、皆が思っている。

測り間違って、ごく一部の選手が

エラーを起こさないかと願う。


人の不幸を願うなんて、

よろしない行為。


そんなことしてるから県大会にも

出られないんだろうと感じる。



そんな中、星矢といえば、

1年生でありながら、

野球部応援に積極的に参加することが

できた。


それも、部長である

翔子とともにねんごろにしてるからか。


演奏も自信がついてきた。


まあ、学年に関わらず、

やる気と根性があれば参加できるようだが。

星矢は、翔子先輩の近寄った。


「部長、配列はこんな感じであってます?」


 顧問が作成したA4用紙に書かれた配列と

 実際の配列を確認する。


「そうだね。

 前の方がクラリネットとトランペットで、

 その後ろにホルンと打楽器メンバー

 だから、合ってるね。大丈夫。」



「よかった。」



「あとは、練習の成果を本番だから

 存分に活かしましょう。」


 マウンドを見ると、先に翔太先輩が

 ボールをグローブに入れて、

 投げようとしている。

 1回目は守備からのようだ。

 応援は攻撃するときだ。

 試合が始まろうとしている。


 サイレンがなった。


 敵チームにバットで遠くに打たれたが、

 ファウルになった。



 ◻︎◻︎◻︎


 次は自分たちの高校の攻撃だった。


 1人目から三振で1アウトになってしまう。

 翔太の活躍は4番目だった。

 ピッチャーでもあって、

 バッターとしてもホームランを

 何度も打てるくらいで、

 第二の大谷かと思われていた。

 二番煎じは嫌だと自分では

 表立っては言っていなかった。


 キャプテンとしてはどちらも

 知っておかないと教える立場として

 経験も役割も大事だと思っていた。


 吹奏楽部の皆は、攻撃だと思い、

 張り切って、演奏を開始する。

 場内は盛り上がりを見せていた。


 星矢も翔太の活躍を見ながら、

 フルートを吹いた。

 クラリネットほど、

 存在はアピールできなかったかも

 しれないが、

 自分なりに頑張っていたと思う。


 星矢も応援しながら、

 悔しがったり喜んだりして

 忙しくしていた。

 

 こんなに誰かのために思い入れを強く

 したことはない。

 誰かのための演奏が響けばいいなと

 思っていたが、焦点が変わって、

 本当に翔太先輩の力になればと

 感じていた。

 少しでも演奏で力になればと

 肺活量を倍にして挑んでいた。


 時々、スタンド側の様子を見る翔太を

 見かけた。帽子で振ってアピールするのを

 見て、星矢は小さく手を振った。


 気づいていたかどうかなんて

 わからないが、嬉しかった。


 炎天下、水分補給をこまめにとりながら、

 応援を続けた。

 途中、相手側の応援席で倒れる騒動が

 あったが、どうにか逆転満塁ホームランで

 その日の試合は見事勝ち進んだ。


 ヒットに持ち込み塁に進んだが、

 盗塁を失敗して

 エラーを出してしまう者もいた。

 

 大きくライト側に

 打ち上げてすぐにアウトになることも

 あった。


 空振り三振を何度してしまったか。

 悔しい気持ちを乗り越えて、

 最後の回では気持ちを切り替えて、

 翔太がホームランに持ち込めた。


 両手をあげて、みんなは喜んだ。


 野球部員と吹奏楽部員は

 興奮冷めなかった。


 飛行機が飛ぶ音が会場に響く。


 空が清々しいくらいに晴れていた。


 

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