第6話 神話スキル
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ユーマは、視界に差し込む日光に目を細めながらベッドの上で上半身を起こした。
回りを見回すと、その部屋は見慣れないほど豪華な装飾が施されていた。
ー俺、今度は貴族の家に転生したのか?だったら今度こそ主人公ルートだろうが…。
しかし、ユーマが真左を向くと、そこではドルトメッサーが土下座をかましていた。
「あの時は本当にすまなかった!最近、俺自身のリーリアと関わる時間が減っていたことで嫉妬してしまい、ちょっとばかり暴走してしまった。この通りだ、どうか許してくれ!」
ーちょっとばかりの暴走で人なんか刺すかよ、普通。しかも聖騎士がそんなことしてるようじゃこの世は相当ヤバいぞ。
ドルトメッサーを許すかどうか、ユーマは少しばかり悩んだ。自分の命を奪おうとした者を許すこと自体に、ユーマはあまりメリットを感じなかった。ただ、許さないことにもメリットはない。むしろ敵対関係を築いてしまう可能性があった。
ー仕方ない、ここは借りでも作るか。
「まあ、俺が死ななかったんだから何も問題はないじゃないか。ただ、殺されそうになったことに変わりないから、いずれ俺がお前を必要とした時に協力して、この借りを返してくれ」
「あ、ありがとうございます…。ああ、俺は騎士団長失格だ…。そう言えば、まだちゃんとした自己紹介をしていなかったな。ドルトメッサー・ロールルヌだ」
「俺はシンドウ・ユーマだ。あ、それで、お前が昨日言ってた『剣聖神話』って一体何なんだ?」
「それを教えることは借りを返したことになるか?」
「ならねぇよ。とりあえず、教えてくれ」
「仕方ない、教えるか。もしお前が聖騎士になるのを希望するならばいずれ教えることになるだろうし。それと、今日はお前と勝負してから3日経ってるぞ」
ーいくら自分の『神聖力』とやらが高いとはいえ、聖騎士とか面倒そうだな…。俺は遠慮するとしよう。
日にちの経過のことは聞き流して、ユーマは真面目に話を聞く体制になった。
「『聖剣神話』というのは、最上位スキル『神話スキル』のうちの一つだ」
「へぇ。で、その『神話スキル』とやらは?」
「『神話スキル』と称され、『○○神話』となるスキルは全てその名前に関連するスキルの最高峰で、例えば『剣聖神話』なら剣技系統のスキルの、『魔導神話』なら魔術系統のスキルの最強だ。ただ、スキルの系統の名称に当てはまらない『神話スキル』には異常な効果を持つものがある」
「例えば?」
「『桜花神話』、だ。このスキルがあれば、100種類以上の『神話スキル』を使うことができる。つまりは、『桜花神話』は『神話スキル』最強、いや、全てのスキルにおいて最強だ」
「へぇ」
正直なところ、ユーマは話を適当にしか聞いていない。『神話スキル』に関する要点を抑えつつ、前世の記憶の中に似たようなスキルが登場する作品がなかったかを探していた。
ただ、ユーマの知りえる中に『神話スキル』たるものが登場するラノベや漫画はなく、自分の知っている作品の世界に転生したわけではないことを理解する。
「えっと、つまりはその『桜花神話』を持ってる奴は世界最強ってことか?」
「世界最強かどうかは分からないが、『桜花神話』を持った者ならこの屋敷の中にいる。ここはこのウェルモンドの屋敷の6階だ。ここを出て右に曲がり、一番初めに通る部屋が我らが主、領主様のいらっしゃる部屋だ。多分そこにその『桜花神話』を持った者もいるから、色々と聞いてみるといい。立てるか?」
「おう」
ユーマは病み上がりの体ながらもベッドから勢いよく降り、部屋を後にした。