第4話 恋する聖騎士団長
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ーそう、俺は最初から主人公じゃなかった。そもそも、主人公だったら転生初日に凍え死にそうになることなんてない。
自分にチートスキルが無いと知り、ユーマは肩を落とした。彼は正直、期待していたのであった。自分にもチートスキルが眠ってるのではないか、と。
「その結果って、本当に間違ってないんだよな?」
「はい。石板もまだ今月交換したばかりなので誤作動したという可能性はほぼ皆無に等しいですね」
「そうか…」
「ただ、朗報といえるかどうかは分かりませんが、『神聖力』のステータスだけ一般人よりも高いです。ステータス自体が数字や文字で表されるわけではないのであくまでも目安程度にしかなりませんが、これなら入団の洗礼を受けずに聖騎士団に入団できますよ!」
「そ、そんなレベルなのか?」
「はい!少なくとも、私の知っている範囲内でいえば現聖騎士団長様が聖騎士になられる前の『神聖力』よりは高いですね。これだけ『神聖力』が高いなら、<七つの大罪>の悪魔を倒してみてはどうですか?」
「嫌だよ、めんどくさいし」
ユーマとリーリアがあれこれと『神聖力』について話していると、教会の扉が開いた。
そこからは一人の武装した金髪碧眼の美青年が入ってきた。
「お疲れ様です、聖騎士団長様」
「リーリア、先に帰ってたのか。それと、言ってるじゃないか、俺のことは呼び捨てでドルトメッサーと呼ぶか、さん付けでいいから名前で呼んでくれって」
「修道女である私に聖騎士様を名前で呼ぶ資格は無いですよ。身分のこともありますし」
「身分なんか…。おっと、客人がいたのですね」
「はい。凍えて今にも死んでしまいそうだったので保護しました。初めてですね、雪の日の見回りで誰かを保護したのは」
ー俺を気づくまでのやり取りから察すに、この聖騎士団長はこのシスター、リーリアのことが好きなのか?ま、俺のヒロインじゃなかったのは想定通りだし。
ただ、先ほどまでリーリアと二人きりだったことがあってか、その聖騎士団長、ドルトメッサーはユーマのことを睨んでいるような感じだった。
「リーリア、この少年が堕天使の可能性は考えなかったのか?髪の黒色が堕天による色であれば、転生者でない可能性も十分にあるぞ」
「はい。しかし、『邪』を感じないじゃないですか。聖騎士ならあなたもそれくらいは…」
「そういう問題じゃなくて、もしも大天使の類いが堕天していれば自身の『神聖力』で『邪』をカバーできてしまう。この策で<傲慢>がどれだけの人間の命を奪ったと?」
「確かに…。では、どう証明すればいいでしょうか?」
「ならば、俺と勝負してもらえばいい。俺の『神聖力』で<退魔の加護>が発動し、それに触れることでこの少年が堕天使かただの転生者かくらいの判断はすぐにつく」
「そんなことをするのはいいですが、このユーマさんが人間であることは私が断言します」
ーコイツ、リーリアが絡むと善悪の判断つかなくなりそうだな。もしここで生還できたらなるべく関わらないようにしよう。
ユーマは、恋する聖騎士団長に呆れてため息を大きく吐いた。