第3話 来世に期待しよう
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ー思えば、俺の前世はロクなことがなかったように思える。
幼少期からピアノ、習字、そろばん、水泳、テニス、剣道…。さまざまな習い事をやらされた。
どれもそこそこ優秀な成績は修めたと思うが、5年と続いた覚えはない。
中学になれば塾にもぶち込まれ、週4日の夜が潰れた。その分、テストの点は取れたけども。
そんな俺の唯一の楽しみはラノベだったか。学校の図書館で借りては、その読書の速さにものを言わせて色んな作品を読み漁った。
俺は夢見たんだ、主人公たちに。けど、冒険のぼの字も始まらずに俺は凍え死んだ、しかも転生した矢先に。
来世こそは、あの子と、御門冠那と再会して、幸せに…。
*
ソファーの上で寝かされていたユーマは勢い良く飛び起きた。
ーやっぱ、また転生したのか?今度こそ赤ん坊からか…。
しかし、ずっと着ていたジャージが目の前の暖炉の熱で乾くように干してあるのを見て、誰かに助けられたのだと直感した。
ーここは一体…。
ユーマは振り向きざまに、ソファーから瞬時に飛び退いた。
目の前には、修道女、というかシスターらしき美少女がいた。
ー異世界の美少女…。アニメで見るより多少は見劣りするような気がせんでもないが、完全に前世の人間よりは顔面偏差値高いだろう。しかしあの子、冠那には及ばない。いや、この子がメインヒロインでも悪くはないのだが、悪くはないのだがあまり早い段階でメインヒロインが出てくるのはあまり喜ばしい事態でも…。
その時、少女が口を開いた。
「やっとお目覚めになりましたか。よかったです」
「えっと、これは Do you 状況ですか?」
「あなたが路地裏で倒れていたので、この教会に運び込んだのですよ。ここは本来、シスター専用の部屋ですがお気になさらず」
ーつまり、死んだのは俺の思い過ごしで、俺は保護されたってワケだが、倒れてるところで偶然助けられた?偶然にしては出来すぎてる。
まさか、主人公属性!?いや、テンプレはやめてくれマジ。異世界転生って時点でテンプレかもしれんが…。
「私、雪の降る日は町中を誰かが倒れてないか見回ってるんですよ。領家ウェルモンド一族様のところの聖騎士団長様にも手伝ってもらってはいますがね」
そう言って、少女は微笑んだ。
ーうーん、冠那と比べて70点。けど、領家の聖騎士団に顔が利くなら自己紹介くらいしといて損は無いか。
「そういえば、自己紹介がまだだったな。俺はシンドウ・ユーマだ」
「私はこの聖ウェルモンド教会で修道女をやっています、リーリア・エンテールと申します。それで、あなたは転生者の方ですよね?」
「え?まあ、はい。髪も黒いし、見慣れない服装してるからわかりますか?」
「はい。それに、名前も聞きなれないものでしたからより確信が持てました。もし転生者の方なら、何かしら神々から恩恵を受けているはずです。ステータスを確認しますか?」
「あ、はい」
そして、ユ-マは案内された先の石板に手を当てた。すると、そこにあった木の板らしきものに文字が映し出された。
「…おかしいですね?特別なスキルはおろか、スキルが一つもありませんね。過去の転生者様方は皆スキルを持っていましたが…」
ーやっぱ、俺は主人公じゃないらしい。来世に期待しよう。