第2話 大発見
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1人の猫背気味の少年が、行く宛てもなく市場の続く道を歩いている。
その少年、新堂悠馬は寒さで体を小刻みに振るわせながら色々と考えていた。ユーマは目覚めるととある袋小路にいたのである。
ーここどこだよ。殺されたと思ったら外国に捨てられたのか?けど、それにしても腹と腕の傷の治り方が不自然だな。
そんなことを思いつつ、ユーマは辺りを見回す。
かなりの読書家なユーマですら、どんな本でも見たことのない街並みだった。
見回すうちに、人混みの中にケモミミの女性を見つけ、ユーマは思わず声を上げた。
「えっ、それってコスプレ!?」
「コス…プレ?」
ーどうやら、コスプレという言葉を知らないらしい。
というか、何で俺の言葉が通用するんだ?
言葉の意味は通用しなくとも、言葉自体が通用したことを疑問に思ったユーマは試しに、壁の掲示物を読んでみた。
そこには、『領家ウェルモンド主催 聖騎士団最強決定戦 開催』的なことが書かれていた。
ーあれ?読めるぞ。やっぱり何かおかしい。
体を振るわせていた寒さすら忘れて、彼は色々と考えた。
そして、この数分間目にしてきた光景を一つ一つ思い出す。
ケモミミ、コンクリで舗装されていない道、中世っぽい建物、カラフルな髪色、剣、現代じゃ当たり前のスマホや自動車が一切見当たらない…。
ーこれはもしや、転生したのか?いや、まだ舞い上がるには早い。姿と服装は変わってないみたいだし、本当に外国に捨てられただけの可能性もあるからな。…いや、そんな可能性無いか。
しかし、ユーマは普段から用事もない相手に積極的に話しかける方ではなく、見も知りもしない市場の客や露天の店員にこの世界について尋ねることを躊躇った。
ークソ、コミュ障が裏目に出たな。もしあのまま日本社会で生活してかなきゃだったら詰んでたかもな。
しかし、ユーマは異世界であるかどうか不確定であることからギルドを探すことを非効率と考え、道に突っ立ったまま考え込んだ。
「おい、邪魔だ」
道を歩いてきた男に話しかけられ、ユーマはすぐに道を開け、目覚めた場所とは違う袋小路に座り込む。
ーさて、どこに色々と尋ねれば丁寧に教えてくれるだろうか…。分っかんねぇなぁ。
ただ、ユーマはそのままそこで寝落ちしてしまうのであった。
*
彼、ユーマはあの刺された時の痛みを想起して目を覚ました。
ただ、痛みはあの時のものと似ているようでどこか違う。
ー寒い、寒すぎだろ!?クソ、一文無しじゃ宿にも入れねぇじゃん…。
全身が恐ろしいほどに震え続けた。ユーマを標的にするように袋小路に吹き込んでくる風は、無防備なユーマを嘲るかのようだった。
ユーマは、自分の熱が少しづつ奪われていくのを痛感した。
ー俺、また死ぬのか?転生したんだろ、これは神様がくれたチャンスじゃないか!このままチートに覚醒して、可愛いヒロインを手に入れて、色んな人を救って…。とりあえず、今ここで死ぬな、俺!
ーもしかしたら、あの子も転生してきてるかもしれないじゃないか!
ユーマは、前世の彼女を思い浮かべる。しかし、体の限界が近い所為かぼんやりとしか思い出せない。
「かっ…、かっ…」
寒さで口が震え、うまくその名を口にできない。そして、ユーマは諦めた。
ー次だ。次の来世で逢おう。約束したんだ、幸せになろう、って…
そして、ユーマの意識は遠のいていった。