第18話 現れる悪魔
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ユーマはシャーマの後について行く過程で様々なものを目にした。
見たこともない種族、不思議な屋台、ドラゴン、魔道具の類い、などなど。
それらにユーマが見入っていると、シャーマが訊いてきた。
「俺をあの男と似てると思っただろう?」
「あの男ってメッサーのことか。確かに思ったが」
「俺の苗字がルルヌなのは知ってるな?そして、あの男の苗字も覚えているな?」
「確か、ロールルヌだったか?苗字まで似てるんだな。もしかして、親戚なのか?」
「そうだ。俺の一族を放逐された男の一族だ。その放逐された男は、ルルヌの一族の名を語る事を禁止され、じゃあ、堕ちたルルヌの人間ってことでロールルヌと名乗り始めたらしい」
「で、その子孫がメッサーってことか」
「俺としては、あんな男が親戚なのは嫌なんだがな。俺まで女に鼻の下伸ばしてるなんて思われたら困るからな」
シャーマは苦笑した。
「けど、メッサーはいい奴だぞ?最初、俺は堕天使だとありもしない疑いを持たれて殺されそうになったからな。けど、俺が『聖剣を刺すことで身体強化できる』体質だって知ったら次の日からちゃんと仲間として接してくれたし…」
「それは責任追及を逃れる為の、我が身可愛さの行動でしかない。だから、本当にあの男は…」
シャーマはドルトメッサーに呆れたが、すぐに話をもとに戻した。
「お前、『聖剣を刺すことで身体強化できる』体質だと言ったな?」
「ローデンスからお前も同じ体質だってことは聞いてるよ。それと、現代唯一の『剣聖神話』持ちだってこともな」
「そうか。まあ、ルルヌ家は『剣聖神話』を持つ者が一族の中に多かったからな。王都の人間たちからは「またルルヌか」くらいにしか思われない。まあ、剣の英才教育のおかげで『剣聖神話』を持たざる者でも洗礼された剣術を使うことができるんだがな」
「へぇ」
ーそういえば、『剣聖神話』を持ってるってことは、聖剣も持ってるってことだよな?
「シャーマって、聖剣持ってるんだよな?」
「そうだ。もともと俺は親父から貰った聖剣の亜種である魔槍グングニルを使ってたんだが、ウェルモンド領の聖騎士にアスターという少年がいるだろう?」
「ああ、あの人とは俺も仲いいぞ」
「あの魔槍は本来、攻撃を確実に命中させるもののはずなのにあの少年は見事に攻撃を外してのけた。それで、面白かったから勢いであげてしまったんだ」
「そ、そうか…。じゃあ、今はどの聖剣を使ってるんだ?」
「ただの剣でとある農村に降り立った<72柱>の悪魔に重体を負わせた功績が称えられ、その時に貰った聖剣エクスカリバーを使っている」
「マ、マジか…」
ー聖剣エクスカリバーって、絶対ヤバいヤツじゃん…。まあ、『剣聖神話』を持ってる自体でヤバいには変わりないし、コイツは敵に回さないようにしよう
ユーマがそんなことを思っていると、森の方で爆発があった。
「おい、何かヤバいんじゃないのか?」
「分かっている。行くぞ」
三人がその場所と思しき場所へ行くと、フギンが光り輝く剣で何者かと戦っていた。
「主人…ッ、正直、コイツは強い…!任せてもいい?」
「任せろ。俺が討伐する」
そのフギンが戦っていた相手は、赤い甲冑に身を包んだ騎士のような男だった。
「我が名はゼパル。<72柱>の悪魔の一人である」
ゼパルと名乗った男は何かに気づいたようで、甲冑から僅かにのぞかせた目元を歪ませながら紫色の気を放ち始めた。
「貴様か、アンドロマリウスを殺害したのは」
「彼女は殺害せず、俺の仲間として色々と協力してもらっている。無論、<72柱>としての権能は奪わさせてもらったが」
「人間ごときが悪魔を使役できると思っているのか?我が貴様を殺し、アンドロマリウスを取り返す」
「『剣聖神話』持ちに勝てると思うなよ?」
こうして、強者同士による壮絶な戦いが幕を開ける。