第1話 切実な願い
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ー俺が、何をしたっていうんだ。
俺はいたって真面目に生きてきた。そこらの奴よりも断然価値のある生き方をしてきたはずだ。
なのに、どうして俺がこんな目に…?
縛られた手足。冷たい床に転がっているその少年、新堂悠馬は焦っていた。
目の前には、吐き気がする程気持ち悪い顔でほくそ笑む2、3人の男がいる。
「団長、コイツどうします?」
「レンのこと見下したんだろ、ソイツ。どうにでもすればいい」
「オッケ、じゃ、殺してもいいんです?」
「構わん」
悠馬は同級生の仲間らしき奴らに拉致されている。
ー俺は間違ったことは言ってなかったはずだ!
「女子に嫌がることをする男ほど最低な奴はいない」
悠馬はただそう言っただけ。
気づかぬうちに、彼は腕から腹部にかけて痛みともつかぬものを感じていた。
激しく悠馬を襲う感覚に、彼は声を上げることすら忘れて床を転げ回った。
「無様だな、ざまあみろ」
ー確かに、今の俺は無様かもしれない。だが見ていろ、いずれ人生が無様に壊れるのはお前らだ!
「そろそろ楽にしてやれ」
「ま、コイツは遅かれ早かれ死ぬもんな」
悠馬は自分の死を直観した。そして、彼は目の前のナイフを持った男に声を張り上げて途切れ途切れに言った。
「お前…ら、最後、に…一つ、いいか…?」
「あぁ?」
「錬に会ったら…、言っとけ…。―あの子にこう伝えろ…。『来世、また会えたら…、その時こそは、幸せになろう』って…」
「知ったことかよ!!」
悠馬は刺された場所の近くを蹴られ、悶絶する。
悠馬の虚ろな目には、自分の真下に広がる血の池が映っていた。
「ま、遺言としてそれくらいは伝えといてやるただ、問題はそれをレンが伝えるかってトコだがなぁ!」
男がそれを発すと同時にナイフを振り下ろし、悠馬はそれを見届ける間もなく目を伏せた。
彼の中で走馬灯が駆け巡る。
その中に、彼は大好きな人の笑顔を見つけた。
ー太陽のように輝くその笑顔を、もう一度見たい。
だが、悠馬のその切実な願いが叶うことはない。
こうして、新堂悠馬は14年の人生を打ち切られたのであった。