2通目
短いですが続きです。
翌朝、枕元に置いていた手紙を確認した。
つい夢だったのではないかと考えたのだがそこにある手紙をみて現実の出来事だったんだと再確認した。
無くさないようにしっかりバックに仕舞い、
親類たちとまた四十五日に、と挨拶して両親と帰路へ着いた。
帰りの列車内では祖母の思い出を語りながら外を見ると昨日探検した山は行きに見た時より輝いて見えた気がした。
長かった帰路に就き、ようやく帰宅した。
自室に荷物を置いて財布だけ持ち買い物に行くと両親に声をかけて出かけた。
買うものはもちろん便箋だ。
あの手紙に返事を書いたら返事が来るんじゃないかと好奇心に負けた結果だ。
ただ僕は便箋で手紙を送ったことのなかったので買い物に行く道中で何が必要か調べた。
便箋、それを入れる封筒、切手…と必要なものを買い帰宅し、さっそく手紙を書くことにした。
手紙には「あなたはどんな人ですか?
どんな所に住んでいますか?」と書かれていたので、なんで書こうか悩んだ。
僕はどんな人なんだろう?
悩んだ末に手紙にはこう書いた。
「はじめまして。あなたの手紙をある山で見つけた者です。
僕は中学生で勉強は苦手だし、運動も嫌いです。けど僕は絵を描くのが好きです。
パレットに絵の具をのせて画材に色を落としていく瞬間が好きです。
僕の中学校は賑やかで、本当は静かなところで時間を忘れて絵を描いてみたいなといつも思っています。
あなたはどんなことが好きですか?
よかったら教えてください。」
書いているうちに迷走してしまい、自分のことばかりだな。と思ったが、
相手の手紙にはこちらのことを聞きたい、という内容しかなかったのだしいいだろうということにして、
手紙に書いてあった住所を封筒に書き、
それから手紙を入れてポストに投函してきた。
もちろん返事が書けるようにと僕の住所も書いた。
きっとこの事を誰かに話すと怒られそう、と思った僕はあえて誰にも言わずに過ごした。
手紙を送ってから一週間ちょっと。
返事が返ってきた。
「お返事嬉しいです。まさか本当にあの手紙に返事が来るとは考えていませんでした。
どこへ行くかもわからない、もしかしたら誰にも拾われずに終わるかも知れなかったものですから。」
とそれからは彼女の事が書かれていた。
名前は東雲 透と言って僕より歳上の18歳らしい!(ここが一番驚いた。)病弱で学校にはなかなか行けないらしい。
あるテレビの企画で今回のような手紙を風船につけて飛ばすものをやっていたのをきっかけに、
近くで開かれていた縁日で風船を買い、家の人にバレないようにこっそり手紙をつけて空に放したらしい。
どうか誰かに届きますように、と祈りを込めて。
そうして僕が拾ったのだ。
彼女の手紙の最後には、
「どうかこれからも私とやり取りを続けてもらえませんか?私は上記のように体が弱く学校に行けていないため友人がいないのです。嫌でなければきみとこれからもお話がしたいです。」とあった。
僕は返事が来てくれれば嬉しいな、とはたしかに思っていた。けれどまさか続けて欲しいと頼まれるとは思わずかなり悩んでしまった。
そうして3日も悩みに悩んで、
考えた結果彼女にまた手紙を送ることに決めた。
きっと女の人と話す機会なんて僕には今後ないと思ったのだ。悲しいけど。
けどここからまた悩んだ。
なんて手紙を書けばいいのか。
前回は彼女の質問に答えて書いていたからそこそこの長さに出来たが、今回は彼女のことしか書いていなかった。
そこでまた3日、いやそれ以上に悩んでしまっただろう。
もうどうすればいいのか、こんなに返事を待たせていいのかと焦ってしまって堂々巡りを始めてしまったので、
誰かに相談を乗ってもらおうときめた。
ダラダラとしてしまってるかもしれません。
気長に続きをお待ちください。