1枚目
書くのは遅いですが、
最後までよろしくお願いします。
お盆の頃、祖母の家に行くことになった。
田舎の町で山と田んぼしかないそこは僕には苦痛でしかなかった。
それでも行くことになったのは、
その祖母が亡くなったからだった。
式も終わり父や母が忙しくしてる中、僕だけは遠くまで行かなければ好きにしていていいと言われたので汚れてもいいような服と動きやすい靴で外へ出かけた。
祖母の家の裏は大きな山になっていて、
獣道しかないがそこへ入って冒険するのだけは好きだった。
ただここへ来るには必ず祖母に許可を得てからじゃないと来れなかったからこそ、
なかなか来れなかったのだがようやく自由に来れると言う嬉しさ半面、
山に入ること以外でうまく僕を楽しませてあげれるようにといつも色々と考えてくれていた祖母がいなくなったことに悲しさと寂しさを覚えた。
それでもその気持ちをだれかに見せたくなかった僕はそれまで来れなかった山に入ることで人に見られずに泣くことができるんじゃないかと、
ひとりで逃げてきたのだ。
獣道の少し先には小さく開けた場所があるのを昔から知っていたのでそこを目指して歩いていくとそれまで暗かった道なりは明るくなってきた。
ひらけた場所に出てこれたのだ。
そこでようやく僕は祖母のことを思い泣き腫らした。
きづけばかなり時間が経っていたのだろう。
きた時は明るかったこの場所が随分と薄暗くなってきたのだ。
もう帰ろう。そう思ってきた道を見たときに目の端に妙なものが目に入った。
それは草木に囲まれていて木の色と草の色だけしかないはずのそこに似つかわしくない、
赤い風船だったのだ。
まだ新しそうだが、萎れて木の枝にぶら下がっていた。
よく見ると風船に紐がついていてその先に小さな入れ物がついていた。
中には丸めた紙が入っていた。
なにか書いてあるのだろうか。気になった僕はその入れ物だけを取り、
暗くなってきた獣道を急いで戻り帰ることにした。
家へ着くと両親にはかなり怒られた。
それもそうだ。時刻はすでに19時近くになっていてあたりはもう真っ暗だったのだから心配しないわけがない。
しかもこのとき僕は連絡手段のひとつも持たずに出かけたのだから怒られて当然である。
こってり絞られたが、もう遅いからと夕食と風呂をさっさと済ませ、早めに寝るようにと言われた。
両親たちはまだやることがあるからと、
僕だけを寝室に連れて行くと足早にリビングへ戻った。
その時ふと、山の中で見つけた入れ物を思い出した。
部屋の豆電球の明るさだけを頼りに、
中の紙を取り出して開いてみると、
それは手紙だった。
『この手紙を拾ってくれた見知らぬあなたへ。
はじめまして。あなたはどんな人ですか?
どんな所に住んでいますか?
私とは違う生き方をしているあなたのことを知りたいです。お返事待っています。』
最後に住所が書かれていた。
なんだか物語の主人公にでもなった気分になった僕はこの手紙に返事を書いたら届くだろうか?とそれだけを考えて、
気づいたら夢の中に入っていた。
まだまだ続く…?